社長辞めた郎、プロギタリストデビューしました
日給5万円のアルバイトをした話は、前にも書いた。
書いてて思ったけど、あれだな。
冷静に考えるとアルバイトって言葉さえもしっくりこない(笑)。
だって俺、
・1時間で終わるタスクをやって
・残りの時間は雑談して
・相談に乗って
・営業に同席して
これを何と呼べばいいのか。
強いて言うなら、
「社内にたまに現れるレアキャラ」
そんな存在だ。
そう俺は、まるで伝説の土の子だ(笑)
日給5万円の正体
さて、その日給5万円のバイト。
ありがたいことに、なぜか好評だった。
ありがたいことにまた社内に来て欲しいと声がかかった。
何度も言うけど、本来の業務はマジで1時間程度。
・数字をまとめる
・レポートを整える
・経営資料をちょっといじる
はい、終了。
ここまでで午前10時半。
「よし、今日も一日終わったな」
…いや、終わってねぇ。
あと7時間半ある。
しかも人さまのオフィス。
家だったら「もう一回寝よ」で終わるやつだが、
ここはオフィスだ。人がいる。目も合う。
ここで一番キツいのは何かというと、
暇なこと。
金をもらえるからいい、という話じゃない。
俺は暇が嫌いだ。
暇っていうのはな、
HSPにとっては騒音のない地獄なんだ。
「社長辞めた郎さん、お時間ありますか?」
そんなことを考えていると、声をかけられる。
「社長辞めた郎さん、お時間ありますか?」
この一言が、どれだけありがたいか。
研修を受けた子達から営業相談。
その噂を聞いた他部署の事業相談。
ロープレ。
フィードバック。
「そこ、言い切った方がいい」
「今の沈黙は、客が悪いんじゃなくて君の間が長い」
「その資料、3枚目いらない」
俺の口は止まらない。
元社長、元営業、元修羅場経験者。
1対20名のフルボッコ会議だって経験した(笑)
なので大抵の相談は答えてあげることができる。
気づけば昼。
今回はありがたいことに高級弁当が用意されており
社長辞めたろうを囲む会が勝手にスケジューリングされていた(笑)
昼飯食いながらも相談。
周りに聞かれたらマズい話は喫煙所。
疲れたらラウンジでコーヒー。
「これ、炭酸じゃないのか…」と軽く絶望。
そんなこんなで、
今日も俺は忙しいフリをして忙しい。
そして事件は起きる
そんな中だ。
意外なところから声がかかった。
経営陣ど真ん中。NO2。取締役。
「少しお時間もらえますか?」
おいおい。
いきなりラスボス前の中ボス来たぞ。
俺の脳内では、
・何かやらかしたか?
・報酬減額か?
・「暇ならもっと働け」案件か?
いろんな妄想が走る。
で、案内されたのが取締役室。
これがまた、
やたら広くて、
やたらおしゃれで、
やたら俺の趣味に合う。
ギターがある取締役室
まず目に入ったのが、ギターアンプ。
次に、ギター。
しかも、俺が好きな系統のやつ。
おいおいおい。
会社だよな?
ライブハウスじゃないよな?
思わず聞いた。
「取締役さん、ギター好きなんですか?」
ギターのメーカーはもちろん、使っている木材や木材の厚み
指板のRまで伝えた。
すると返ってきた。
「もしかして…社長辞めた郎さんも?」
この時点で、もう勝ち確。
俺、間髪入れず答える。
「大好きです。
ガンズ、ヴァン・ヘイレン、80年代ロックです」
その瞬間。
取締役、泣きそうな顔。
そして、笑う。
わかる。
わかるぞこの顔。
「やっと分かり合えた人間に出会った」顔だ。
爆音と青春
取締役は何も言わず、
ギターを手に取り、
アンプの音を上げた。
会社とは思えない爆音。
「これ、大丈夫ですか?」
「個室だし、防音してるから大丈夫なんですよ。」
この一言でわかった。
この人取締役室で毎日ギター弾いてるな(笑)
…強い。
そして始まる、テクニカルなプレイ。
俺の脳内BGM、青春。
懐かしい。本当に懐かしい。
気がついたら高校時代が思い出されるような
かなり「エモい」時間が流れた。
社長は立ち上がり、ギターストラップまでして
ライブさながらにプレイしていた。
そして攻撃的な目を俺に。
取締役は俺にギターを差し出した。
何も言わない。
微笑みながら小さく頷いている。
試されている。
これはもう、無言の面接だ。
「どれくらい弾けるか見せてみろ」
そう聞こえた。
臨むところだ
安心してほしい。
M&A以降俺は暇だった。
それも1年近く。
そして暇な俺は、
狂ったようにギターを弾いていた。
練習していた曲は、
ミセスグリーンアップルの「ライラック」。
これな、
テクニカル系ギタリスト泣かせ。
指、死ぬ。
頭、混乱する。
でもその分、
スキル爆上がり。
そうさ、俺の全盛期は今なんだ。
得意のライトハンドから、
懐かしのハードロック祭りだ。
取締役は、また泣いて、
また笑っていた。
2時間経過
気づけば、YouTubeを大画面モニターで流し、
「このエディ最高ですよね」
「いや、この時期のスラッシュも捨てがたいですよ」
そんな会話をしていた。
時計を見る。
2時間経過。
俺、何しに来たんだっけ?
そうだ。
アルバイトだ。
気がついたらフロアの社員は全員帰宅し
社内は俺と取締役だけになっていた。
プロギタリスト爆誕
ここで誤解のないように言っておく。
プロの定義とは何か。
「それで金をもらっているかどうか」
そう考えると、
俺はこの日、
・ギターを弾き
・青春を共有し
・日給5万円をもらった
つまり、
俺はプロギタリストだ。
異論は認めない。
ガンズ、
スキッドロウ、
メタリカ、
オジー。
その他たくさん。
弾き倒した。
取締役も負けじと弾く。
気づけば、社員は全員帰っていた。
会社に残っているのは、
・取締役
・社長辞めた郎
・ギター
・爆音
地獄か、天国か。
そして次の依頼
最後に取締役が言った。
「社長辞めた郎さん、
来週○曜日、また経営相談できませんか?」
…経営相談、だよな?
ギター持っていけばいい?
俺の旅は終わらない。
俺のギターも鳴り止まない。
俺ってM&Aが終わって全然FIREできないで悩んでいた
ただのおじさんだったよな。
うん、楽しい1日だった。
社長辞めた郎、どこへ向かうのか。
俺の旅は終わらない。
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