第5回 業界No.2のM&Aカンパニーからの衝撃メールと、涙をこらえた俺〜社長を続けたかった俺が、M&Aの道を選ぶ理由〜
No.2からの連絡、ついにメールが届く
最大手との「喫茶店で待ちぼうけ事件」を経て、俺はNo.2に全力で夢を託していた。なぜなら、No.2の簡易査定フォームで表示された「8,000万~1億2,000万」という金額が、俺の心を完全に掴んでいたからだ。
「よし、No.2なら俺の会社を正当に評価してくれるはずだ!」
そんな期待を胸に、2日間待ち続けた。だが、2日待たされた時点で、どこか不安が顔を出し始めていた。「最大手の対応は早かったのに、No.2はちょっと遅いな…。でも、大事な会社の査定をじっくり検討してくれてるに違いない!」と自分に言い聞かせ、希望を繋いだ。
そして、ついにメールが届いた。
「このメールで、俺の会社の未来が動き出す。」
そんな期待を抱きながら、俺はメールを開いた。
期待を裏切る、衝撃的な一文
メールの冒頭部分は、よくあるテンプレートの挨拶文だった。
このたびはお問合せいただき、誠にありがとうございます。早速ですが、御社の売却に関する手数料についてご案内いたします。
まあまあ、こういう挨拶は大事だ。俺は早速手数料の詳細を確認する。
成功報酬手数料は2,500万円となります。なお、当社では手付金100万円は不要ですので、ご安心ください。
「おお、最大手とは違って手付金は要らないのか!これは良い!」やっぱりトップを追いかけるNO2となるとサービスが良い!素晴らしいじゃないか!と思いながら、次の文章に目を移す。その瞬間、俺は目を疑った。
手数料が2,500万円のため、御社の場合、売却後の手数料支払いで利益が出ない可能性がございます。もしよろしければ、手数料が安い別のM&A会社をご紹介いたします。
え?
いやいや、ちょっと待て。これ、どういうこと?売却後の利益が出ないって…。
思わず心の中で叫んだ。
「8,000万~1億2,000万という査定を出したのはあなたたちですよね!?」
このメールって「お前の会社なんぞ2500万でも売れない可能性があるぞ!なに夢やがるんだ!」と言っているのと同義である。

残酷すぎる…零細企業にとっては非情とも言える宣言…それなら査定フォームで期待させないで欲しかった。
というかあの査定フォームはなんだったんだ。スクショまでとって夜な夜な眺めていたぞ。なんならここにエビデンスとしてアップしちゃうぞ、とも思ったが大人なので自重する。
あの夢のような査定額を見て、俺はこの3日間どれだけ心を躍らせたと思っているんだ?その査定額を出した張本人が、「うちじゃなくて他社をどうぞ。うちが紹介してあげるからね」って、これ冗談だろう?
優しいようで全然優しくない。
悔しくて震える拳、涙をこらえた俺
メールを閉じたあと、俺は無言でスマホをテーブルに置いた。頭の中は「どうしてこうなるんだ」という悔しさでいっぱいだった。夢を見せられておいて、最後には別の会社を紹介される――これ、完全に肩透かしじゃないか。
拳が自然と震えた。ラオウのように拳を空に突き上げてみた。ただラオウと異なるのは俺のM&A奮闘記は悔いばかりということだ。
こんな扱いを受けて、悔しくないわけがない。目には涙が浮かびそうだったが、必死でこらえた。顔を上げて天井を見つめながら、なんとか気持ちを落ち着けようとした。
「仕方ない…次に進もう。」
俺はそう自分に言い聞かせた。
冷静になって考えたNo.2の対応
冷静に考えれば、No.2の対応はある意味で誠実だったのかもしれない。最大手のように「とりあえず契約させて手付金をもらう」というスタンスではなく、現実的なアドバイスをくれたわけだから。
それでも、俺の心の中では悔しさが拭えなかった。特に、「別の会社を紹介します」という一文が刺さった。「うちは無理だから他へ行け」と言われたような気がして、どうしても納得がいかなかったのだ。
だが、それ以上に、これ以上時間を無駄にするわけにはいかない。俺はNo.2が紹介してくれるという「手数料が安い別のM&A会社」のオファーを受けることにした。
3社目突入への決意
こうして、俺のM&A交渉は3社目に突入することになった。
正直、この時点で俺の心は疲れ果てていた。「M&Aってこんなに大変なものなのか?」という疑問が頭の中をぐるぐると回っていた。最初はもっとシンプルでスマートな取引になると思っていたのに、現実は全く違った。
まず最大手は、「日程を間違える」という致命的なミス。そしてNo.2は、「他の会社をどうぞ」というスタンス。どちらも俺の期待には応えてくれなかった。
だが、3社目に進むという選択をした以上、今度こそはという気持ちで挑むしかない。
思っていたM&Aと違う現実
振り返ってみると、俺がM&Aに抱いていたイメージは理想的すぎたのかもしれない。
「会社の未来を託すんですね!全力でサポートします!」といった熱い言葉をかけられ、優秀なプロフェッショナルたちがテキパキと動き、買い手が見つかり、最後には全員が笑顔になる――そんなドラマチックな展開を勝手に想像していたのだ。
俺ってば想像力だけは豊かだからね。そのポジティブな想像力が今回は仇となった。
しかし、現実は、担当者との待ちぼうけ事件に始まり、査定額の現実を突きつけられ、さらに別会社への誘導という想像を超えた展開へと続いている。
「これ、本当に終わるのか?」そんな暇があったら自社の事業をやれよと言われるツッコミも十分理解している。
そんな不安が頭をよぎる一方で、「次こそはうまくいくはずだ」という希望も捨てきれなかった。
「3度目の正直?いや、これが最後のチャンスだ」
最大手に待ちぼうけを食らい、No.2から「うちじゃ無理だから他の会社どうぞ」と軽く流された俺。普通ならここで心が折れるはずだが、俺は諦めなかった。
だって、俺の会社には7年間の汗と涙が詰まってるんだ。それに、ここで諦めたら俺はただの「諦めた郎」になってしまう。それだけは避けたい。
そこで登場したのが、No.2が紹介してくれた「手数料が安い」と評判の3社目のM&A仲介会社だ。正直、最初から不安はあった。だって、「安い手数料」という響きに、どこか「安かろう悪かろう」を感じてしまう。でも、俺にはもう選択肢がないと感じてしまっていたのも事実だ。
最大手にも業界NO2にも縁がない。「これからどうすればいいのだろう?」がどうしても頭に浮かんでしまう。次があるなら進めてみよう。完全に詰んだわけではない。その思いでいっぱいだ。
そうだ進めてみよう。
結論、今度は俺からお断り
次回の話だが頭出しをしておこう。
3社目のM&AカンパニーとのWEB面談をした。連絡はかなり遅かったが3名で話を聞いてくれた。
過去の実績なども話してくれ、具体的な買い手候補のイメージが見えてきた。
「こういう業界の企業なら、御社の事業を引き継げる可能性が高いと思います。」
「この規模感の会社が買い手になるかもしれません。」
おお、ついに具体的な話が出てきたじゃないか!この瞬間、俺は「今度こそいけるかも」と一瞬期待した。でも、それも束の間だった。
色々な話を聞けたし、今までの中では一番マシだったのもの事実。だが連絡期日に、担当者へ連絡を入れた。
「色々とご提案いただき、ありがとうございました。でも、今回はお断りさせていただきます。」
電話越しの担当者たちは驚いていた。あれだけ具体的な提案をしてきただけに、俺の決断が予想外だったのだろう。でも、俺には確信があった。「この会社に託すのは違う」という直感がフル稼働したのだ。
なぜ断ったのかって?これは次回へ続く
こうして俺のM&A物語は新たなステージに突入する。一見すると好印象だと思うこの会社。なぜ俺の方からお断りなのか。そこには昭和のサラリーマンの小さなこだわりがあった。
もしかしたら他人からしてみれば「そんなことで?」と思われてしまうかもしれない。それはまた次回の話。
俺の旅は終わらない。
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