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女性の半数が90歳まで生きる社会へ。平均寿命は再び延びたが、健康寿命は2022年で止まったまま。2025年簡易生命表が2027年度介護報酬改定に突きつけるもの

平均寿命は0.20年戻った。健康寿命の答え合わせは、あと1年待たなければならない

85歳以上を前提にした改定へ、事業所が2026年度中に確認すべき利用者データの読み替え


2026年7月24日に公表された2025年の簡易生命表は、平均寿命が男性81.35年、女性87.33年まで回復したことを示しました。ただし、この回復は「過去最高の更新」ではなく、コロナ禍前の水準への戻りの途上です。より重い意味を持つのは、女性の50.8パーセントが90歳まで生存するという生存率の数字と、この平均寿命と比較される健康寿命が2022年値のまま更新されていないという時間差です。読み終える頃には、自事業所の利用者名簿と2027年度介護報酬改定の論点が、今より近い距離で見えているはずです。

セオドアアカデミー独自まとめ

2025年の女性の平均寿命は87.33年です。

しかし、女性の半数がまだ生きている年齢。寿命中位数は90.17年でした。差は2.84年です。

平均寿命という一つの指標だけを見ていると、この2.84年の余白は見えません。事業所の利用者名簿に90歳、92歳、95歳という数字が並び始めているのは、この余白がすでに現実になっているからです。

厚生労働省は2026年7月24日、2025年の簡易生命表を公表しました。男性の平均寿命は81.35年、女性は87.33年で、前年より男性は0.25年、女性は0.20年延びました。女性は国別で世界1位を維持し、男性はスウェーデン、スイス、イタリアなどに続く7位です。

一つの数字としては、明るいニュースです。ただ、名簿を眺めながらこの数字を受け取る立場からは、少し違う景色が見えます。

回復軌道には戻った。だが、まだ2020年の水準ではない

過去6年の推移を並べると、今回の数字の位置がはっきりします。

2020年の平均寿命は男性81.56年、女性87.71年。ここから2022年にかけて、男性は81.05年、女性は87.09年まで下がりました。新型コロナウイルス感染症の直接・間接の影響が反映された時期です。2023年、2024年はほぼ横ばいで、2025年になって男性0.25年、女性0.20年の回復です。

それでも、男性は2020年より0.21年、女性は0.38年、まだ短いままです。

つまり、2025年の数字は「戻りつつある」段階の記録であって、「更新」ではありません。ここを混同すると、次に議論する「延びた寿命の中身」を読み違えます。

死因の内訳が示す、医療と介護の非対称

前年からの平均寿命の押し上げ・押し下げを、死因別に見てみます。

がん、心疾患、脳血管疾患のいわゆる3大死因だけで、男性の平均寿命を0.17年、女性を0.12年押し上げました。新型コロナの影響が落ち着いたことによる寄与は、男性0.08年、女性0.06年です。合わせると、これらだけで今回の延伸幅のかなりの部分を占めます。

一方、肺炎はわずかに寿命を押し下げました。老衰も同様です。

この非対称は、医療政策の観点から見ると素直な話です。
急性期医療、がん治療、循環器治療、救急医療の進歩によって、致命的な発症から生き延びる人が増えています。同時に、その後を過ごす場所と時間は、介護と地域生活の側に移っていきます。

ここで一つ、混同されがちな理屈を整理しておきます。

医療の成果は、介護需要の減少を意味しません。

むしろ、命を救えるようになるほど、その先の慢性疾患、認知症、フレイル、多剤併用、生活支援を必要とする期間は長くなります。
肺炎と老衰が寿命をわずかに押し下げているのは、死亡の中心が、高齢者のフレイル、嚥下機能低下、複数疾患、看取りへ移っていることを示しているとも読めます。

女性の50.8パーセントが90歳まで生きる、という数字

平均寿命よりも、事業所の名簿に近い数字があります。生命表の生存率です。

2025年の生命表では、出生者100人のうち、90歳まで生き残る割合は男性26.7人、女性50.8人でした。95歳では男性9.9人、女性26.4人です。

女性は、半数以上が90歳を超える。4人に1人が95歳を超える。

これは、平均寿命という点の数字ではとらえきれない、社会の分布の姿です。介護施設の入居者、在宅サービスの利用者、住まいの契約者、家族介護者の年齢構成は、平均値ではなく、この生存率の分布に近づいています。

ちなみに男性の平均余命は、65歳で19.68年、75歳で12.24年、90歳で4.38年。女性はそれぞれ24.52年、15.88年、5.66年。65歳から先を「老後」とひとくくりにするのが、いよいよ実務にとって扱いにくくなっています。

少なくとも、65歳から74歳、75歳から84歳、85歳から89歳、90歳以上、95歳以上――このくらいの区切りを持たなければ、サービスの設計もケアプランの重点も曖昧になります。

平均寿命と健康寿命を、同じ図に並べてはいけない

ここが、今回のニュースで最も注意すべきところです。

平均寿命は2025年まで公表されました。ところが、厚生労働省が公表している最新の健康寿命は、まだ2022年の数値のままです。

2022年時点では、男性の平均寿命81.05年に対して健康寿命72.57年。女性の平均寿命87.09年に対して健康寿命75.45年。差は男性8.49年、女性11.63年でした。

この2022年の健康寿命を、2025年の平均寿命と単純に引き算して、「男性8.78年、女性11.88年が不健康な期間」と結論づけることはできません。

調査年が違うからです。

もう一つ、2019年から2022年にかけて、平均寿命と健康寿命の差は男女とも縮小しました。数字だけを見れば、健康な期間の割合が増えたように見えます。しかしこの間、男性の健康寿命そのものは72.68年から72.57年へ、0.11年短くなっています。統計的に有意な変化ではありませんが、差が縮んだ理由の一部は、平均寿命が短くなったことにありました。

平均寿命と健康寿命の差が縮まったからといって、健康状態が改善したとは限らない。

この一文は、次に公表される2025年基準の健康寿命を読むときの補助線になります。健康寿命の基礎データである国民生活基礎調査の大規模調査は3年周期です。2025年調査の結果は公表済みで、これから健康寿命として算定・公表されます。そのとき、平均寿命の回復に健康寿命が追いついているのかどうかが、次の検証点です。

答え合わせは、まだ1年ほど先です。それまでは、2022年の健康寿命と2025年の平均寿命を、事実のように並べて語らないほうがいい。

今回概要まとめ図

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