流山唯一の公立幼稚園廃園問題の裏で何が起きたのか?市長は私立向け補助金17.5倍を説明できるのか
就園相談は、要配慮児や医療的ケア児も含めて引き続き幼児教育支援センターが対応していくとの説明を受けています。
— 流山市議会議員 小沢えみり (@ozawaemiri_n) June 12, 2026
また、幼稚園事業者が要配慮児を受け入れた際には、保育園と同様に昨年度から補助制度も設けられています。
市として相談支援や受入れ体制の整備は継続して行っていくとのことです https://t.co/hqNaUUb0FO
小沢議員のポストで、少し興味深い記述を見かけました。流山市 公立付属幼稚園の廃園問題で「要配慮児を受け入れる私立幼稚園への補助制度がある」という趣旨のポストがありました。
なるほど。
では、その補助制度は、いつから、いくらで、どういう経緯でできたのか。
気になったので、流山市の公式資料・議会資料・協議会議事録を追ってみました。
結論から言うと、これは市民がかなり注意深く見るべき話だと思います。
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■ 1. 予算が急に増えている
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令和6年度まで、私立幼稚園向けの該当補助は、
「私立幼稚園心身障害児指導補助金」
4,500千円=450万円
でした。
ところが令和7年度になると、
「私立幼稚園等要配慮児受入支援補助金」
78,826千円=7,882万6千円
になっています。
単純計算で、約17.5倍です。
しかも令和7年度の予算資料には、この補助について、
「特別な支援が必要なこどもの受け皿を確保するため」
「職員の加配や環境整備等を行うための費用の一部補助を拡充する」
という趣旨の説明があります。
つまりこれは、単なる通常の補助金ではなく、附属幼稚園の廃園方針の先に問題となる「受け皿」を、私立幼稚園側に確保するための予算と読むのが自然です。
もちろん、補助金を拡充すること自体が直ちに問題だと言っているわけではありません。
ただ、令和6年度まで450万円だったものが、令和7年度に約7,882万円まで急増している以上、その経緯と使途はかなり丁寧に説明されるべきです。
【資料】
令和6年度予算説明資料
https://nagareyamagikai.jp/doc/2024022600015/file_contents/R6-1_saisyutu_setumeisyo.pdf
令和7年度予算説明資料
https://nagareyamagikai.jp/doc/2025030500014/file_contents/R7_saishutsu_setsumeishiryou.pdf
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■ 2. 私立幼稚園側から「金銭的補助」の要望があった
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さらに気になるのは、令和6年6月17日の教育福祉委員会資料です。
この資料では、市教育委員会と私立幼稚園との協議において、私立幼稚園全体で既に138名の要支援児を受け入れている実績があり、今後も受け入れ可能である旨を確認した、とされています。
ただし、その受け入れには、
・職員の加配が必要
・そのための金銭的補助について要望があった
とも書かれています。
そして市は、保育園に対して行っている補助制度に準じたものを整備し、来年度予算化に向けて検討する、と説明しています。
つまり流れとしては、
附属幼稚園の廃園方針
↓
要支援児の受け皿が問題になる
↓
私立幼稚園側から加配・金銭補助の要望
↓
令和7年度から約7,882万円の補助金
という構図に見えます。
ここはかなり重要です。
しかも、この流れを見ると、市民側からは、附属幼稚園の廃園方針が正式に進む前から、すでに私立幼稚園側へ補助金を配分して受け皿を作る仕組みが、裏側で検討されていたのではないか、と見えてしまいます。
もちろん、現時点でそれを断定するつもりはありません。
しかし、少なくとも公開資料上は、
公立の受け皿をどう残すか
という議論よりも、
私立幼稚園に補助金を出して受け皿を確保する
という方向が先に動いていたようにも読めます。
だからこそ、この補助制度がどういう経緯で作られ、誰と協議し、どのような積算で約7,882万円になったのかは、市民に見える形で説明されるべきだと思います。
【資料】
令和6年6月17日 教育福祉委員会資料
https://nagareyamagikai.jp/doc/2014061700029/file_contents/R6_0617_kyouikuhukusi_shiryou2.pdf
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■ 3. その前段にも気になる発言がある
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令和5年度の流山市立幼稚園協議会の議事録も確認しました。
令和5年8月の第3回協議会では、C委員が、公立幼稚園は廃止にして、他の園への補助でカバーできる体制を作ってほしい、という趣旨の発言をしています。
https://city.nagareyama.chiba.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/042/209/gijiroku3.pdf
また、第1回協議会では、私立幼稚園の立場から、特別な支援が必要な子どもを受け入れるには職員1人では見きれず、加配職員2名でも足りない、私立なので補助金ももらえない、という趣旨の発言もあります。
もちろん、協議会に私立幼稚園関係者が入ること自体が直ちに問題という話ではありません。
ただし、
公立幼稚園の廃園方針が示される
↓
私立幼稚園への補助でカバーするという意見が出る
↓
私立幼稚園側から金銭的補助の要望が出る
↓
翌年度に補助金が約17.5倍になる
という前後関係は、市民にきちんと説明されるべきです。
特に気になるのは、「公立幼稚園をどう残すか」という議論と並行して、あるいはそれ以前から、「私立幼稚園に補助金を出して受け皿を作る」という方向が事実上の前提として動いていたのではないか、という点です。
もしそうであれば、これは単に「補助制度があります」という話ではありません。
公立幼稚園の役割を私立幼稚園への補助金で置き換える政策判断が、どの段階で、誰の判断で、どのように形成されたのか、という話になります。
ここは、かなり丁寧に検証されるべきだと思います。
【資料】
令和5年度 第1回 流山市立幼稚園協議会議事録
https://city.nagareyama.chiba.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/042/209/1gijiroku.pdf
令和5年度 第3回 流山市立幼稚園協議会議事録
https://city.nagareyama.chiba.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/042/209/gijiroku3.pdf
流山市立幼稚園協議会 委員名簿
https://city.nagareyama.chiba.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/042/209/iinmeibo.pdf
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■ 4. 問題は「補助金があるか」ではない
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補助金があること自体は確認できます。
問題は、その補助金が本当に、
・要配慮児の受け皿確保につながっているのか
・附属幼稚園が担っていた役割を代替できているのか
・実際に加配職員が増えているのか
・園別にいくら交付され、何に使われているのか
が見えないことです。
関係者によると、実際に加配として確認できる事例は、一部園の1名程度しか見えていない、という声があります。
また、園庭や柵などの環境整備にも使われているのではないか、という話もあります。
ここで注意したいのは、令和7年度予算資料上、この補助は「職員の加配」だけでなく「環境整備等」も対象とされています。
なので、園庭や柵に使われたから直ちにおかしい、という話ではありません。
しかし、市はこの補助を「特別な支援が必要なこどもの受け皿を確保するため」と説明しています。
であれば、「環境整備等」という広い言葉でまとめられていることには、どうしても疑問が残ります。
もちろん、特別な支援が必要な子どもを受け入れるために、園庭や柵、施設面の整備が必要になる場合はあると思います。
ただ、その内訳や必要性が見えないまま、「環境整備等」とだけ書かれていると、市民側としては、これは本当に要配慮児の受け皿確保のための支出なのか、それとも別の施設整備にも使える補助金になっているのか、と勘ぐってしまいます。
補助金の名目は「要配慮児受入支援」です。
であれば、少なくとも、
どの園に
何人分として
いくら交付され
実際に何が整備され
加配職員は何人増え
どのように受け皿確保につながったのか
ここを市民に見える形で説明する必要があります。
「補助制度があります」だけでは、受け皿が確保されたことの証明にはなりません。
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■ 5. 附属幼稚園は、単なる“定員割れ園”だったのか
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もう一つ、非常に重要なのが、附属幼稚園の役割です。
第1回協議会の議事録には、附属幼稚園について、外国籍の子や海外からの帰国子女を、年長児であっても、年度途中からでも受け入れていたはずだ、という趣旨の発言があります。
さらに事務局も、附属幼稚園には途中入園しやすいメリットがある、と答えています。
つまり、附属幼稚園は単に園児数が少ない公立幼稚園だったのではなく、
・外国につながる子
・帰国子女
・年度途中に転入してきた子
・発達面で配慮が必要な子
・私立園では受け入れが難しい可能性のある子
にとってのセーフティネットだった可能性があります。
関係者からは、ここ数年、外国につながる家庭や年度途中の転入家庭に対して、附属幼稚園を積極的に案内しないように調整していたのではないか、という声も上がっています。
もちろん、これも現時点で断定はできません。
しかし、もし市の案内運用が変わっていたのであれば、「園児数が減ったから廃園方針」という説明の前提そのものを検証する必要があります。
単に自然に園児数が減ったのか。
それとも、案内の仕方や募集のあり方によって、附属幼稚園に入りにくい状態が作られていなかったのか。
この点は、前回のnote記事でも触れた「単なる定員割れではなく、意図的に定員割れの方向に持っていったのではないか」という論点ともつながります。
附属幼稚園が本来担っていたセーフティネット機能を十分に市民へ案内しないまま、園児数の減少だけを理由に廃園方針を進めるのであれば、それはかなり大きな問題です。
これは数字で確認すべきです。
もし、市の案内運用が変わったことで附属幼稚園への入園や途中入園が減っていたのだとしたら、「園児数が減ったから廃園」という説明の前提そのものを検証する必要があります。
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■ 6. 私が確認したいこと
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今回の件は、感情論ではなく、税金と子どもの受け皿の話です。
令和6年度まで450万円だった補助金が、令和7年度に7,882万6千円まで急増した。
その理由は「要配慮児の受け皿確保」。
しかし、その受け皿が本当に確保されたのか、公開資料だけでは十分に見えません。
市には、少なくとも以下を説明してほしいです。
□ 園別の交付額
□ 園別の対象児童数
□ 軽度・重度など区分別の人数
□ 実際に増えた加配職員数
□ 環境整備に使った場合、その具体的内容
□ その整備が要配慮児の受け入れにどう必要だったのか
□ 私立園で受け入れ不可となったケースの有無
□ 附属幼稚園への途中入園相談・案内・申込・入園件数の推移
□ 外国につながる子、帰国子女、要配慮児の相談件数の推移
□ 廃園方針後に附属幼稚園への案内方針が変わったのか
□ 附属幼稚園の募集定員や受け入れ枠を、あえて減らす方向に運用していなかったのか
□ 附属幼稚園の園児数減少が、自然減なのか、案内・募集・受け入れ運用の結果なのか
個人情報は当然黒塗りで構いません。
しかし、園別交付額や補助金の使途、制度の実績まで見えないとなると、市民はこの予算が本当に子どものために使われているのか判断できません。
特に、附属幼稚園の廃園方針と、私立幼稚園への補助金拡充がセットで進んでいるように見える以上、「補助金を出しました」で終わらせるのではなく、その補助金によって何が実現したのかまで説明する必要があります。
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■ 7. 情報公開請求を検討します
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この件は、情報公開請求が必要だと思っています。
市が「補助金があります」「私立幼稚園で受け皿を確保します」と説明するなら、その補助金が実際にどう使われ、どの子どもの受け皿になったのかを確認するのは当然です。
関係者の話では、この補助金の使途や園別の内訳について、何度も確認を求めたものの、十分な回答が得られていないとのことです。
つまり、現時点では、
補助金の制度はある
予算額も大きく増えている
しかし、園別にいくら出て、何に使われ、どのような効果があったのかは見えない
という状態です。
公立幼稚園の廃園方針を進める。
その代わりに私立幼稚園へ約8,000万円規模の補助を出す。
そして、その使途や効果が市民から見えない。
これは、流山市の子育て政策として、かなり大きな論点だと思います。
「補助制度があるから大丈夫」ではありません。
補助制度があるなら、なおさら、
その中身を市民に見える形で説明してほしいです。
特に今回の補助金は、「特別な支援が必要なこどもの受け皿を確保するため」と説明されています。
であれば、その受け皿が本当に確保されたのか、附属幼稚園が担っていた役割を本当に代替できているのか、そして税金がどのように使われたのかを確認することは、市民として当然のことだと思います。
私はこの件について、情報公開請求も含めて、引き続き確認していきたいと思います。
