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「普通って、なんだろう」双子の母・元自己理解コーチ、山田千紘さんが見つけた生き方

「普通」という言葉に、違和感を覚えている人に届けたい。

完璧に家事をこなし、子どもの成長を支え、笑顔を絶やさない。
そんな「理想のお母さん像」を追いかけて、苦しくなった経験はありませんか?

山田千紘さんは、言語聴覚士として働いたのち、双子の娘さんたちを育てながら自己理解コーチとしても活動してきました。
発達特性のある娘さんたちと向き合いながら、完璧を捨てて「できない」「無理」と言えるようになるまでの道のりを、Kindle本として出版予定です。

今回は、Kindle本出版に先駆けて、肩の力を抜いて生きるヒントをもらえる対談インタビューをお届けします。

山田千紘さん|プロフィール


山田千紘さん

言語聴覚士として病院勤務ののち、結婚・出産を経て退職。
知的障害・発達障害のある双子の母。娘さんたちは現在小学校6年生。
2022年に「自己理解プログラム」を受講し、2023年から約2年間、自己理解コーチとして活動。
現在はその経験をもとに、子育てなどをテーマにした電子書籍を制作中。


自己理解プログラムとの出会い

シーア:
千紘さんは、2022年に「自己理解プログラム」を受講された後、コーチになられたんですよね。
参考:自己理解プログラム

千紘さん:
はい。2023年から2年ほど、自己理解コーチとして活動しました。

自己理解コーチとしての仕事はとても楽しくやりがいもあったのですが、ちょうど夫が転職するタイミングで、一区切りつけることにしました。
社宅からの引っ越しが必要で、双子たちの中学校進学についても考えなくてはいけない時期が重なり、「今は家族のことと自分のことを整える時期」だと思い、コーチとしての役割をいったん終えました。

だけど、私は何かしら動いていないと気が済まないタイプで…実は今、Kindle出版に向けて執筆中です!
私の自伝的な書籍で、子育てについてなど、世の中のお母さんたちに伝えたいことを盛り込んだ1冊になっています。

双子の娘たち、それぞれのペースで育つ日々

シーア:
千紘さんは小6の双子のお母さんでもあります。お子さんたちは、それぞれ違う個性を持っているんですよね。

千紘さん:
はい。うちは、発達の特性がある子どもたちで。
長女は知的障害があり、フリースクールに通っています。そのフリースクールには中学校もあり、本人も引き続き同じところに通いたいと言っています。
次女は特別支援学級です。気性が難しく、幼い頃は手が出てしまいがちで。癇癪がひどい時期を乗り越えてきました。

それぞれ特性が違いますが、本人にとって安心できる環境を選ぶことがいちばん大事だと思っています。
無理に「普通」の枠に合わせるより、その子のペースで学べる場所を探してあげたいという気持ちになっています。

シーア:
「普通」の定義が、今回の電子書籍のテーマにもなっていると伺いました。

千紘さん:
そうですね。「普通って、なんだろう?」という思いは、双子たちを育てる中で日に日に増していきました。
誰しも、自分が育った家庭が「普通の家庭」、自分の母親が「普通の母親」だと思って過ごすものです。
でも、実際に自分が家庭を持って母になったとき、現実はそうはいかなくて、うまくいかず焦ったり落ち込んだりして…。
それでも、双子たちを育てながら、「私たちは私たちの形でいい」と思えるようになりました。

できないことはやらない、無理だと言っていい

シーア:
ただでさえ大変な双子育児、さらにお子さんたちがそれぞれの個性をお持ちで、想像を絶する時期があったのではと思います。
現在のような考えに至るには、どのような背景があったのでしょうか?

千紘さん:
まず、現代は母親が忙しすぎると思っているんです。
仕事も子育ても人付き合いも、とにかくやることが多い!

私は「もう無理です」「これはやりません」とはっきり切り捨てることにしました。
自己理解プログラムやコーチを経て、自分の強みや弱みを把握できたのも大きかったです。
なんでもできる自分でいたかったけど、できない自分を受け入れることができるようになりました。
そうしたら、捨てるたびに強みが際立ってきたんです。
「これも捨てられるんだ」という気付きを得ながら、たくさんのこだわりや、やるべきことをどんどん捨ててきました。

シーア:
たとえば、どんなことを捨ててきたんですか?

千紘さん:
まずは料理をするのをやめました
そもそも、私の母親って、料理が大得意な人だったんですよ。肉料理と魚料理が同時に出てきて、副菜もいろんな種類があって、ものすごい品数が毎食並ぶみたいな…。
だから、「お母さんってこういうものなんだ」という思い込みがありました。
このくらいの品数を用意しないと、家族を満足させられないんだ、って。

だけど、私にはそこまでできなかった。料理をひとつ作るだけでも手いっぱい!
そこで、家電に頼ったり、調理器具を導入したり、いろいろ試行錯誤してきました。
今は、週1回家事代行に来てもらって、1週間分の料理を作り置きしてもらっています。
最初の頃いろんな方に頼んでみて、味付けが気に入った方を選んで、毎回固定で来てもらうことに。
ご飯とお味噌汁くらいは作るけれど、それ以外はノータッチ。
その人は、お買い物もしてきてくれるので、私はスーパーに買い出しに行かなくても済むようになりました!

シーア:
料理を丸ごとアウトソースするんですね!

千紘さん:
家事代行を頼んでよかったのは、気持ちに余裕が生まれたこと。
自分のストレスが減るのはもちろん、空いた時間で「料理を作ってみようかな」という気持ちになったんです!
あんなに嫌だったはずの料理なのに、気持ちにゆとりができたら「作ってみたい」って思える。
いかに普段がカツカツの中で生きているか、身にしみて感じました。
「こういう選択肢をとってもいいんだ」って、世の中の頑張っているお母さんたちに伝えたいんです。

正反対夫婦のパートナーシップ

シーア:
お子さんの状況が大変な中、旦那さんとの関係性や協力度はいかがですか?

千紘さん:
「母親は料理を作るものだ」という思い込みと同じく、「夫になんでもやってもらいすぎるのは良くないんじゃないか」とも思っていました。
夫は、洗濯物を片付けたりお皿を食洗機に入れたり、そういう細々とした家事を積極的にやってくれるんですけど、最初は甘えきれず、ちょっとは私もやらなきゃいけないかな…と罪悪感をもっていました。

でも、私がやろうとすると、夫が怒るんですよ(笑)。「これはここじゃない」「触らなくていい」とか言って。彼なりにやり方があるみたい。
それで夫に全面的に任せるようになってから、格段に楽になりました。
やっぱり、できない・やらないことを決めた方がいいんだ、という確信につながりました。

シーア:
旦那さんは自分でやりたいタイプで、千紘さんは手放したいタイプ。ちょうどバランスが良いご夫婦ですね。

千紘さん:
ストレングス・ファインダーで、私は1位がポジティブ。夫は、1位が慎重さ、2位が規律性。正反対の資質を持っているんです。
互いのことをわからないままだったら、なんで夫はこうなんだろう?ってイライラすることもありました。
ストレングス・ファインダーに出会ったおかげで、自分のことも夫のことも深く理解できるようになって本当に良かったです。

教育移住の苦い思い出

千紘さん:
子どもたちが小2の頃、オルタナティブスクールに通わせたいと、東京から300km離れた場所に「教育移住」したんです。
夫は仕事があったので、ひとりで東京に残り、私と双子たちの3人で移り住みました。
ただ…長女にはとても環境が合っていたのですが、次女には合わなかったんです。
大人が私ひとりだと、長女と次女の異なる要望に応えきれません。
さらに、次女には感覚過敏があって、車生活にも耐えられなかった。
次女に「パパと暮らしたい」と言われたことで、もう帰ろう、と決断しました。
結果的に、たった1学期、4ヶ月程度で東京に戻ってくることにしました。

そのスクールを探して選んだのも、教育移住すると決めたのも、私です。
より子どもたちに合った環境を…と願っての行動だったのに、結果的にすぐに手放すことになってしまい、長女には悲しい思いをさせてしまったし、次女にも負担をかけてしまいました。
もちろん、移住するために確保した住まいや車など、相当お金がかかっています。
いくらポジティブな私でも、そのときは凹みました。

でも、夫は常に受容し続けてくれていたんです。
「教育移住をする」と相談したときも、「東京に帰る」と言ったときも、「ママが決めたことならいいんじゃない?」と。
私が決めたことで家族が振り回されているのに、責めるようなことを一切言わないんです。
この人、本当にすごいな、ヤバい人だな、と思いました(笑)。

Kindleで伝えたいのは、「頑張る」を卒業すること

シーア:
Kindle本を執筆中とのことでしたが、今回お話しくださったことも含めて、どのようなことを伝えたいお気持ちで書かれているのですか?

千紘さん:
私自身の人生をたどり、これまで子育ての中で「こうでなければならない」を捨てて、自分と家族の居心地の良さを追い求めてきたことを伝えたいです。
世の中のお母さんたちがとらわれている、「頑張らなきゃいけない」という固定概念を取り払って、ありのままに生きられる人を増やしたいと思っています。
「頑張る私」でなくなったら、誰からも評価されないのではないか?家族が満足してくれないんじゃないか?と、恐怖を感じる人もいるでしょう。
でも、こだわりを捨てることで見えてくることが必ずあります。
「〜すべき」「〜ねばならぬ」に縛られた人たちを解放したいですね。

シーア:
本日はありがとうございました!

まとめ

山田千紘さんは、これまでの経験を1冊の本にすることで、次のステージへ踏み出そうとしています。

双子の母として発達と向き合いながら、自分自身の人生を見つめ直し、無駄なものは手放していく。
できない・無理と言ってもいいんだ、という言葉には救いを感じる方も多いはず。
その誠実なまなざしが、きっと多くの読者の心を優しく照らすでしょう。


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湯浅邦枝|インタビュー・ブックライター 気に入っていただけたら、SNSでシェアしていただけると励みになります!

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