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安克昌『心の傷を癒すということ』第4回振り返り(NHK100分de名著2025年1月)

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 第1~3回にかけて精神科医の安克昌さんの著書『心の傷を癒やすということ』を通して、心のケアの重要性について考えていきました。
 第4回では心のケア活動に奔走する安さんの根底にあった想いについても触れられていました。

 心理的な居場所とは、他者から受け入れられ、しかも他者から侵害されず、そこにいることが安全に感じられるような環境である。安全な対人関係があって、ある集団や地域社会(コミュニティ)の中で自分の位置が確保されているということである。

安克昌『[新増補版]心の傷を癒やすということ――大災害と心のケア』p.321-322

 安さんは在日コリアンの両親の間に産まれました。NHK土曜ドラマ『心の傷を癒やすということ』の第1回では、そのアイデンティティゆえに葛藤する主人公(安克昌さんがモデル)の姿が随所に見られます。本書で「心理的な居場所」の重要性について説かれているのは、社会的にマイノリティな存在であることに思い悩んでいた安さん自身の経験が深く関係しているのではないでしょうか。

 今後、日本の社会は、この人間の傷つきやすさをどう受け入れていくのだろうか。傷ついた人が心を癒やすことのできる社会を選ぶのか、それとも傷ついた人を切り捨てていくきびしい社会を選ぶのか・・・・・・。(中略)
 世界は心的外傷に満ちている。"心の傷を癒やすということ"は、精神医学や心理学に任せてすむことではない。それは社会のあり方として、今を生きる私たち全員に問われていることなのである。

安克昌『[新増補版]心の傷を癒やすということ――大災害と心のケア』p.258-259

 阪神淡路大震災の後も日本は東日本大震災や熊本地震、能登半島地震など大きな自然災害に見舞われてきました。安さんは傷ついた被災者らと向き合う過程で「人間とは以下に傷つきやすいものであるか」を思い知らされたと語っています。

 「人間の傷つきやすさ」を受け入れる社会の実現には何が必要なのか。

 『心の傷を癒やすということ』は、それについて考えるきっかけにもなると僕は思います。


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