【創作大賞2025応募作品】魔力量∞なのに魔法が使えない!? 最強物理賢者爆誕!!【第2章】
前作からの続きです。
まだ読んでいない人は、第1章からお読みください。
第2章:覚醒と幼き日の記憶
――まるで、全身を焼かれるようだった。
祠の光が収まり、異様な気配が消えた後も、レイの身体は熱を帯びていた。
血が、魔力が、肉体の隅々までを駆け巡る。
力が、内側から溢れ出すような感覚。
けれど、それは魔法を発動するときに感じる“術式の走り”とは違った。
もっと本能的で、荒々しくて、身体の構造そのものが書き換えられているような――そんな異質さ。
「……はぁ、はぁ……っ。これが、俺の……力?」
拳を見つめる。手が微かに震えていた。恐れではない。確信でもない。
ただ、未知の何かが確かに“目覚めた”のだと、そう思った。
◇ ◇ ◇
「レイっ!!」
遠くから少女の声が響いた。
振り返れば、金色の髪を揺らしながら、フィリア・クレストが駆けてくる。
琥珀の瞳は不安と焦りに染まり、レイの姿を確認するなり大きく息を吐いた。
「……無事……だった……!」
駆け寄ってきた彼女は、レイの胸に顔をうずめ、安心したように呟いた。
「……ごめん。心配かけた」
「……当たり前でしょ。退学なんて通知受けたのに、何も言わずにいなくなるなんて……」
涙をこらえるように、フィリアはレイの胸を軽く拳で叩く。
「……ばか」
それは、彼女なりの愛情表現だった。
◇ ◇ ◇
二人は祠のそばに腰を下ろし、しばらくの間、静かな森の風に身を委ねていた。
そして――フィリアが口を開いた。
「レイ。覚えてる?」
「……ん?」
「昔、あの丘で一緒に遊んでたときのこと」
レイはゆっくりと顔を上げた。
小さなころ、村のはずれにある丘。花が咲き、木陰には鳥が巣を作っていた。
そこは、フィリアとよく遊んだ秘密の場所。
「……あぁ。崖の下に、妙な石があった」
「そう。赤く光って、脈打つように震えてた。まるで生きてるみたいだった」
「あのとき、俺が触ったんだよな。……そして」

「石が……壊れたの」
フィリアの声が震える。
そうだ。レイがその石に手を伸ばした瞬間、赤い光が迸り、石は砕けて消えた。
レイはその場で気を失い、目を覚ましたのは半日後だった。
それ以降――レイの魔力量は、急激に増加し始めた。
周囲の測定器が狂うほどに。
「ねぇ、レイ……あれって、ただの石じゃなかったよ」
「……そう、かもな」
フィリアは言葉を選びながら続けた。
「そのあと、あなたの魔力量は測定不能にまで跳ね上がった。けど、魔法は……出せないまま」
「……何度も練習した。必死に。でも、出なかった」
拳を握る。今でも、その悔しさは胸の奥に焼き付いている。
けれど、それでも諦めなかった。諦めたくなかった。
「私ね……少しだけ、診断士のお手伝いしたことあるの。魔力量だけじゃなく、魔力の“流れ”や“変換”の性質を見る方法」
「……?」
「レイの魔力は、普通の人と“逆”なの。放出するんじゃなくて……自分の中に、魔力が戻ってくるような構造」
「……魔力が、自分の中に?」
彼の中で、祠で聞いた言葉が脳裏をよぎる。
《魔力は、ただの器にすぎぬ。真なる賢者は、それを“変換”する》
「……まさか、俺の魔力は、外に出るための力じゃなくて……内に変えるための……」
「うん。もしかしたら……それが、あなたが“魔法を使えない”理由で、“魔力量∞”の正体かもしれない」
◇ ◇ ◇
再び祠へ戻った二人は、崩れかけた石碑を見つめていた。
フィリアの治癒魔法で、石碑の表面の一部が読みやすくなる。
そこに刻まれていたのは、古代の言語。
《魔力の本質は、外に放つものではなく、内に変えるもの。内在の理を知る者、賢者とならん》
レイはその文字をゆっくりと読み、胸の奥で何かが繋がるのを感じた。
「俺の魔力は……“変換”されている」
「うん。きっと、“魔法”という形じゃなくて……“力”として」
その言葉に、レイは微笑んだ。
「だったら、それでいい」
ゆっくりと立ち上がり、拳を握る。
その拳が、そばに落ちていた拳大の石を――軽々と砕いた。
「俺は、俺の力で。この手で、大切なものを守る」
レイの瞳は、まっすぐに前を見据えていた。
フィリアもまた、その横顔を見つめて、静かに微笑む。
「レイらしいね」
空には、雲間から一筋の光が差していた。
それはまるで、新たな物語の始まりを告げるかのように――。
~続く~
おわりに
いかがでしょうか。
創作大賞の連作短編に投稿しているため、回想シーンを早い段階で入れました。
感想などがあれば、遠慮なくコメントください。
あなたの貴重な意見で作品をよりよいものにしたいためです。
よろしくお願いします😸
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