【創作大賞2025応募作品】魔力量∞なのに魔法が使えない!? 最強物理賢者爆誕!!【第3章】
前作からの続きです。
まだ読んでいない人は、第1章から読むことをおすすめします。
第3章:森を駆ける咆哮、そして目覚めの一撃
森を渡る風が、どこかざわついていた。
祠を後にしたレイとフィリアは、山道を下る途中、周囲の空気の異変に気づいて足を止めた。
「……さっきから、森の魔力の流れが妙に乱れてる」
フィリアの声が静かに響く。琥珀の瞳が、薄暗い森の奥へと向けられた。
「もしかして、祠の影響……?」
「あるいは、もともと何かがこの辺りに封印されていたのかも。注意して進もう」
フィリアは魔法障壁を展開し、レイの隣を歩き始めた。
そんな彼女の後ろ姿を見つめながら、レイは――自分の変化を再確認していた。
足取りが、驚くほど軽い。
木の根に躓きかけても、無意識に体が跳ねるように反応し、自然にバランスを取る。
試しに、小さな岩を握ってみると――
パキンッ。
簡単に砕けた。
「……ほんとに、俺の中で何かが変わってる」
魔法は出せない。それは今も変わらない。
けれど今は、確かな“力”が体の内に息づいている気がした。
◇ ◇ ◇
「ッ……来る!」
フィリアが鋭く叫んだ、その瞬間だった。
――咆哮。
森の奥から、凶悪な気配とともに、唸り声のような音が響いた。
次の瞬間、黒い影が木々をなぎ倒しながら現れる。
牙、爪、うねるような毛並み。全身を魔力の膜で包んだ巨大な狼――
「バサロウルフ……!」
フィリアが身構える。
レイはその名を知らなかったが、本能的に理解した。あれは、ただの獣じゃない。魔獣だ。
バサロウルフは、咆哮を上げながらフィリアに突進してくる。
「っ……《障壁・展開》!」
フィリアが咄嗟に防御魔法を展開し、衝撃を受け止める。
しかし、魔獣の勢いは想像以上だった。結界が軋み、フィリアの体が地に押し込まれる。
「レイッ、援護を……!」
「任せろッ!」
レイは地面を蹴った。
体が軽い。速い。風を裂くように魔獣へと飛びかかる。
目の前に広がるのは、咆哮と牙の暴力。
「うおおおおおおッ!!」

レイの拳が、バサロウルフの左顔面へ突き刺さった。
――ドンッ!
魔獣の体が跳ね飛ぶ。
重たい音を立てて地面を滑り、木々に激突しながら転がっていく。
その場に残ったのは、レイの拳から立ち上る蒸気と、ひび割れた地面だった。
「なっ……」
フィリアが絶句する。
普通なら、魔獣の体は強靭な魔法障壁に覆われていて、物理攻撃など通用しない。
それを、レイは――素手で貫いたのだ。
「……俺の力……通った……?」
「……まさか、本当に魔法じゃなくて……魔力を、拳に変えて……?」
フィリアの言葉に、レイはゆっくりと頷いた。
「たぶん……これが、俺の“魔法”なんだ」
拳を見つめる。
そこに宿るのは、魔法ではない。
けれど、確かな魔力変換の証だった。
◇ ◇ ◇
倒れたバサロウルフの体が、黒い霧のように崩れかけたその時――
その腹部から、何かがコトリと落ちた。
「……これは?」

レイが拾い上げたのは、灰色の石板だった。
厚さは五センチほど、四角く、表面には古代文字のような模様が刻まれている。
「見たことある……この文字。祠の石碑と同じだわ」
フィリアが近寄ってきて、石板をのぞき込む。
「もしかして……これも、“賢者”の遺物?」
「……なら、きっと次の道を示してる」
レイはそう呟き、石板を見つめた。
自分の中で、確信が芽生えていた。
この力は――まだ始まりにすぎない。
◇ ◇ ◇
「レイ、次はどこに行くの?」
問いかけるフィリアに、レイは迷いなく答える。
「この力が、何なのか。俺が何者なのか……確かめたい」
拳を握る。
かつて夢見た“賢者”という存在。
魔法が使えなくても、誰かを守れる存在。
フィリアは、そんなレイの横に立ち、言った。
「なら、私も行くわ。あなたがまた一人で突っ走る前に、隣にいさせて」
レイは、少しだけ驚いたように目を見開き、そして――小さく笑った。
「……心強いな」
夜の森に、月が差し込む。
光に照らされながら、二人の影は、確かに並んでいた。
その背中が向かう先には、まだ見ぬ“真実”の扉が、静かに口を開こうとしていた。
~続く~
おわりに
いかがでしょうか。
今回はバトルシーンを入れました。
まだ、レイは自分の力について理解が追い付いていないため具体的な技名については記載していません。
のちのち技名について入れていくつもりです。
感想などがあれば、遠慮なくコメントください。
あなたの貴重な意見で作品をよりよいものにしたいためです。
よろしくお願いします😸
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