Lazer Lures
はじめに
本稿は、オハイオ州南西部を拠点とするハンドメイド・バルサクランクベイトブランド「Lazer Lures」と、その製作者リック・シュライバー(Rick Schreiber)についての調査レポートです。
本稿では自分なりに調べた内容を整理してまとめます。
1. 地域文化的背景 ― オハイオリバー・バルサクランク文化
Lazer Luresの拠点であるオハイオ州南西部は、オハイオリバー流域文化圏に属します。Outdoor Life誌は、この流域と東テネシー地方を、アメリカのハンドメイドバルサクランクベイト文化の二大拠点として紹介しています。(いつものOutdoor Life)
この文化の起点として、オハイオの名ビルダー、ウェス・イングランド(Wes England)のWee Baitが挙げられます。Outdoor Lifeは、Bassmaster Elite Seriesプロのビル・ローウェン(Bill Lowen)の言葉として、Wee Baitの影響を次のように伝えています。
The Wee Bait inspired others, such as the D Bait, the Lazer Lure
(要訳)Wee BaitはD Bait、Lazer Lureなど、他の多くのルアーに影響を与えた。
Lazer Luresは、この系譜の中に位置づけられるブランドとされます。
2. 公式サイトの記録 ― Wayback Machineで確認できた内容
Lazer Luresの公式サイトは現在ドメインが失効していますが、Wayback Machineにアーカイブが残っています。
以下は、そのアーカイブ本文から直接確認した内容です。
2-1. トップページ(2016年8月時点)
公式サイトのトップページには、次のように記されています。
LAZER LURES 35 operations include soldering and watertesting
(要訳)LAZER LURESは、ハンダ付けと水中テストを含む35の工程を経て製作される。
We have been making and painting crankbaits for over 15 years
(要訳)クランクベイトの製作とペイントは15年以上のキャリアがある
2016年時点で「15年以上」という記述から、ブランドの活動開始は遅くとも2001年頃、あるいはそれ以前まで遡る可能性があります。ただし正式な創業年を示す一次資料は今回の調査では確認できませんでした。
トップページはさらに、"endorsed by ELITE SERIES PRO BILL LOWEN"(エリートシリーズプロ、ビル・ローウェンの推薦を受けている)と、ローウェンの公式サイトへのリンクを掲げていました。
2-2. LZシリーズのスペック
公式サイトのproductsページには、LZシリーズ全7モデルの正式スペックが掲載されています。(Lazer Lures公式サイトアーカイブ)
LZ-1 : 2 1/2inc、潜行深度3〜5ft。フラットサイドベイト
LZ-2 : 2 1/4inc、潜行深度3〜5ft。ファットボディのラトリングベイト
LZ-3 : 2 1/4inc、潜行深度4〜6ft。ファットボディのラトリングベイト
LZ-4 : 2 3/8inc、潜行深度2〜2.5ft。ファットボディのラトリングベイト
LZ-5 : 2 3/4inc、潜行深度8〜10ft。ディープダイバー
LZ-6 : 2 3/4inc、潜行深度5〜6ft。
LZ-7 : 2inc、潜行深度4〜5ft。「Lead In Bill」(リップ内蔵ウェイト)による強波動ルアー
このラインアップは、フラットサイド(LZ-1)、ラトリング系ファットボディ(LZ-2〜4)、ディープダイバー(LZ-5)、強波動系(LZ-7)まで、シャロー〜ミドルレンジのクランキングを網羅する体系的な構成です。LZ-5の最大潜行深度(8〜10フィート)を除けば、主力モデルは2〜6フィートのシャローレンジに集中しており、これは前述のオハイオリバー流域の「浅場での格闘釣り」という文化と対応しています。
2-3. Bill Lowen'sシリーズ
公式サイトには、LZシリーズとは別枠で「Bill Lowen's Series」という専用ページがありました。そこには次のように明記されています。
We worked with Elite Series Pro Bill Lowen to create this series of baits
(要訳)エリートシリーズプロのビル・ローウェンと共同でこのシリーズを開発した。
Bill Lowen’s Craw : 全長1-3/4インチ、潜行深度4〜5フィート。
2-4. カラー番号制システム
公式サイトのcolorsページには、以下の記載があります。
Below is a list of our colors....any color can be painted on any bait. Note the number next to color
(要訳)以下がカラーリストです。どの色もどのベイトにも塗装可能で、色の横の番号に注目してください。
全カラーを番号で管理し、モデルとカラーを自由に組み合わせて受注する体制であったことが確認できます。後述の2016年のBassmaster Classicでマット・ヘレン(Matt Herren)が使用した「bad mo'stanky」カラーも、このシステムの中にラインナップされています。
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3. トーナメントでの実績
3-1. 2016年 Bassmaster Classic(グランドレイク)
2016年3月のBassmaster Classic(グランドレイク、オクラホマ州)で、プロアングラーのマット・ヘレンが、Lazer Lures LZ-1クランクベイト、bad mo'stankyカラーを使用し、21位でフィニッシュしました。(Bassmaster)
3-2. ビル・ローウェンによる使用
ビル・ローウェンは、2014年Bassmaster Elite Series 第3戦のテーブルロックで、複数のフラットサイドクランクベイトを併用してトップ12入りを果たしました。Bassmaster公式の記事は、ローウェンが3種のフラットサイドクランクベイトを使い分けていたとしたうえで、次のように記録しています。
His main lures consisted of a Lazer Lure, Ima Shaker and a PH custom crankbait.
(要訳)主なルアーはLazer Lure、Ima Shaker、PHカスタムクランクベイトだった。
クロー系カラーがローウェンのお気に入りだったと追記しています。
4. 8週間待ちのバックオーダー(2017年)
BBC Boards(Bass Boat Central)の2017年3月のフォーラムスレッドには、当時、生産が終了状態であったDbaitsに代わって、Lazer Luresを推す声が記載されています。
ある投稿者は、シンシナティにはもう一人、カスタムルアーメーカーがある、としたうえで次のように述べています。
His name is Rick Shreiber and his website is lazercrankbaits.com. Great baits!
(要訳)リック・シュライバーという人で、ウェブサイトはlazercrankbaits.comです。素晴らしいルアーを作っています!
しかし別の投稿者は、なかなか手に入らないと嘆きの声をあげ、
"Rick makes a good bait he is about 8 weeks behind"
(要訳)リックは良いルアーを作るが、今は8週間ほど受注が遅れている。
それに対し、また別の投稿者がその理由は、Bassmaster Classicでマット・ヘレンが使用した、LZ-1のbad mo'stankyカラーが日本で人気を呼び注文が殺到していると述べています。
he's busy and working 7 days a week at FMC
(要訳)彼はFMCで週7日働いていて大忙しです。
FMCが何を指すのか、分かりませんでしたが当時の人気ぶりが伺えるエピソードです。
まとめ
Lazer Luresは、オハイオ州オクスフォード周辺を拠点にリック・シュライバーが手がけてきた、ハンドメイドバルサクランクベイトのブランドです。ウェス・イングランドのWee Baitの系譜に連なる存在として、Outdoor Life誌に取り上げられています。
公式サイトのアーカイブから、「35の手作業工程」「LZ-1からLZ-7までの体系的なモデル展開」「ビル・ローウェンとの共同開発によるシグネチャーシリーズ」という、非常に整理された事業体制が確認できました。
看板モデルLZ-1は2016年のBassmaster Classicでマット・ヘレンが使用し21位、ビル・ローウェンもテーブルロック湖の大会でLazer Lureを含む複数のフラットサイドクランクを併用してトップ12入りを果たしました。
ローウェン自身、オハイオリバーでバルサクランクを覚えて育ったアングラーであり、この協業は地域文化を共有する者同士の結びつきが推察されます。(Outdoor Life)(Bassmaster)
公式サイトは現在閉鎖されており、ブランドの現況、シュライバー本人の現在の活動については、確認できる一次資料がありませんでした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本稿は、公開されているオンライン情報源、フォーラム投稿、EC商品説明、追悼記事、そしてルアーコミュニティの証言をもとに作成しました。二次的な証言も多く用いているため、不正確な情報が含まれている可能性があります。
また、本文中の外部リンクのうち一部のサイトでは、閲覧に会員登録を求める場合がありますが、登録を勧めるものではありません。
出典一覧
★★★(公式サイト本人発信・公式トーナメント団体)
Lazer Lures公式サイト トップページ(2016年8月16日アーカイブ): https://web.archive.org/web/20160816142841/http://www.lazercrankbaits.com/index.html
Lazer Lures公式サイト products(2016年6月13日アーカイブ経由): https://web.archive.org/web/20160613031650/http://www.lazercrankbaits.com/
Lazer Lures公式サイト order/Bill Lowen's Series関連(2016年8月アーカイブ): https://web.archive.org/web/20160816112301/http://www.lazercrankbaits.com/order.html
Bassmaster「Bill Lowen アングラープロフィール」: https://www.bassmaster.com/angler/bill-lowen/
Bassmaster「Top Table Rock baits」: https://www.bassmaster.com/gear/slideshow/top-table-rock-baits/
Bassmaster「Meet the Elites: Bill Lowen」: https://www.bassmaster.com/big-bass-big-stage-big-dreams/news/meet-the-elites-bill-lowen/
Bassmaster「Matt Herren アングラープロフィール」: https://www.bassmaster.com/angler/matt-herren/
Outdoor Life「These Fishing Lure Makers Are Quietly Keeping an American Tradition Alive」: https://www.outdoorlife.com/fishing/custom-balsa-lure-makers/
★(フォーラム。参考情報)
BBC Boards「Called to order some D Baits......arrgh!」(2017年3月): https://www.bbcboards.net/showthread.php?t=793158
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