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John Hott Lures 名作クランクの復刻

オハイオ州ケタリングのクランクベイトビルダー、ジョン・ホット(John Hott)は廃盤となった名作バルサクランクを、独自の技術で蘇らせてきました。
彼の活動とその作品について、本稿では自分なりに調べた内容を整理してまとめます。

地域文化的背景 ― バルサクランク黄金期の遺産

ジョン・ホットの仕事は、アメリカ中西部から南東部にかけて広がる、ハンドメイドバルサクランクベイトの文化圏の延長線上にあります。

1950年代にジム・バグリー(Jim Bagley)がBagley Baitを興し、Balsa BシリーズやKill'r Bシリーズなど、後年ホットが範とする名作群を世に送り出しました。(Bagley Bait Co.

ジョージア州では、エド・チェンバース(William Edward Chambers Sr.)が、ソフトプラスチックのZoom Bait Companyを率いる一方で、自身のイニシャルを冠したハンドメイドバルサWEC Custom Luresを手掛けます。
1992年ごろから木を削り塗り始め、なかでもBagley Balsa Bをモデルにしたスクエアビルを、同じくE-1・E-2・E-3の3サイズ展開で世に送り出しました。
当初は知る人ぞ知る存在でしたが、ケヴィン・ショート(Kevin Short)がE-1を使って2009〜2011年に全国B.A.S.S.トーナメントを3勝したことで一気に知られるようになった、とバスフィッシングの歴史サイトBass Fishing Archivesは記録しています。

バグリーは2004年、チェンバースは2018年に逝去し、両者ともバスフィッシング殿堂入りを果たしています。

これらの名作クランクは、製造工程の変化やオリジナル製作者の逝去によって市場から姿を消し、価格が上昇しました。エド・チェンバースの小型フラットサイド、MuttやHickyが、逝去後にeBayで100ドル超で取引される例も出ています。
その空白を埋めるように、Wood Bait Nation等のFacebookコミュニティを軸に多数のガレージビルダーが名作に連なるバルサクランクを制作し、ジョン・ホット(John Hott)もその一人に挙げられます。(BBC BoardsBass Resource

ジョン・ホット(John Hott)― 人物像

彼の人物像を知る一次資料は、オハイオ州の地方紙Perry Tribuneの記事「Darting R Revival」と、その寄稿者ダグ・クリフォードの個人サイト、Doug Clifford Outdoorsです。

幼少期と原体験

ホットの出発点は、幼い頃の記憶にあります。父と叔父の釣行に同行し、その日の主力ルアーとして「Darting R」を袋いっぱいに持ち込んでいたといいます。
しかし、カバークランキングで多くが壊れ、タックルボックスに戻ることなく消えていく――。

ホットはこう表現しています。

"We called the Darting R the best one day bait on the market,"
(要訳)ダーティングRは、市場で一番の『ワンデイ・ベイト』だった。

Perry Tribune

その Darting R を作っていたのが、ケンタッキー州コールドスプリングの、ロン・リップバーガー(Ron Ripberger)でした。リップバーガーは1997年にこの世を去り、Darting R は市場から姿を消しました。(Perry Tribune

創業前夜 ― CNC計画の頓挫と成形機の自作

大人になったホットは、Darting R の完全なコピーを謳う者たちに、たびたび出くわしたといいます。しかし、そのどれもがオリジナルには及ばない、とホットの目には映りました。

そこでホットは、かつて兄チャーリー(Charlie)が看板事業のために導入し、使わなくなっていた木工用CNC(コンピュータ数値制御のルーター)を譲り受け、Darting R の再現に挑みます。
しかし、CNCではわずかな仕様変更のたびにプログラムを組み直す必要があるため、手間と費用がかさみ、この計画はうまく行きませんでした。

そこでホットが選んだのは、専用の成形機を数か月かけてゼロから自作することでした。
この機械は、4インチのバルサブロックを約10分でルアーの基本形状に削り出します。
以降はすべて手作業で進められ、トリミング、ペーパーがけ、ウェイト用の穴あけ、リップ用スロットの切削、シーラーディップ、乾燥、そして最後に塗装となります。

ホットの塗装を、Perry Tribuneはこう表現しています。

Real magic occurs when John Hott picks up a paint brush.
(要訳)本当の魔法は、ジョン・ホットが絵筆を手に取った時に起きる。

Perry Tribune

そんなリップバーガーの Darting R を蘇らせる取り組みを、ホットはこう言い表します。

I'm just a guy making baits in his garage.
(要訳)私はただ、ガレージでルアーを作っている男にすぎません。

Perry Tribune

そんな謙虚な人柄のホットではありますが、クリフォード記者は彼とじっくり話せば、ホットの作品は単に塗装の美しさだけでは無いと語ります。

"as much science in his baits as he does skill"
(要約)ホットのベイトには技巧と同じだけ「科学」が詰まっている

Doug Clifford Outdoors

さらに彼の作品のいくつかを、自宅で大切に保管していると記しています。

主要製品ラインナップ

プロショップWood Bait Countryは、John Hott Luresを、廃盤バルサベイトを蘇らせる達人として、廃盤モデルを多彩なハンドペイントカラーで作り直すブランドと紹介しています。
製品群は、大きく Ripberger系・Bagley系・WEC系に分けられます。仕様は商品ページで確認できます。

Ripberger系
Darting R-2
「ロン・リップバーガーの Darting R を原型とするモデルです。ラウンドとスクエアビルの2種類のポリカーボネート(Lexan)リップで展開され、3/8oz、2-1/4インチ、潜行2〜5フィート。カバー回避性が高く、シャローのブッシュやレイダウンを攻められます。(Perry Tribune)(Darting R-2 商品ページ

Long Darting R
Darting Rのロングリップです。(Doug Clifford Outdoors

Bagley系
H-3
Bagley B-3 を原型とする大型スクエアビルモデルです。9/16oz、3インチ、潜行3フィート。より大きなベイトフィッシュを模する想定です。ポリカーボネート製リップ。(Wood Bait Country – Facebook H-3H-3 商品ページ

DH-3
「Bagley DB-3 を原型とするディープダイバーです。11/16oz、3インチ、潜行14フィート。岩をこすり、深いブッシュのトップをかすめる釣りに向きます。ポリカーボネート製リップ。(DH-3 商品ページ

Kill'r H-1 MR(ラウンドビル)/KH-1 MR(コフィンビル)
「Bagley Kill'r B-1 を原型に、リップ形状の異なる2種があります。いずれも3/8oz、2インチ、潜行6〜7フィート。ラウンドリップ版はオリジナルよりタイトなアクション、コフィンリップ版はスクエアビルのようなワイドウォブルで、カバーを押し通すように攻めます。(ラウンドビル 商品ページ)(コフィンビル 商品ページ

WEC系
H-1
故エド・チェンバースWEC E-1をモデルにした、ポリカーボネート製スクエアビルクランクベイトです。1/2oz、2インチ、潜行3〜4フィート、ファットなラウンドボディで、タイトでクイックなウォブルアクションと優れたカバー回避性能を発揮します。(H-1 商品ページ

Hott Hicky
故エド・チェンバースのWEC Hickyを原型とするフラットサイドモデルです。5/16oz、2-1/4インチ、潜行4〜5フィート、サーキットボード製サムネイル型ビル。低水温期やハイプレッシャー下でのタイトアクションを得意とします。(Hott Hicky商品ページ

Mutt 2
故エド・チェンバースのWEC Muttを原型とするフラットサイドモデルです。1/4oz、1-7/8インチ、潜行3〜5フィート、サーキットボード製リップ。タイトなウォブルで、ハイプレッシャーの魚に効きます。(Mutt 2商品ページ

その他
Petite Petee
Little Petey を原型とするフラットサイドモデルです。5/16oz、2-5/8インチ、潜行4〜5フィート、サーキットボード製サムネイル型ビル。低水温期やハイプレッシャー下でのタイトアクションを得意とします。(Petite Petee商品ページ

🎣 実物を探す
▶ WorthPointの出品を見る(英語)
※リンク先は海外サイトです。
※WorthPointは過去の売買履歴が見られるサイトです。
 販売はしていません。
 アフィリエイトリンクではありません。


市場評価

WEC E-1 は廃盤となった人気モデルで、これを現代に再現しようとするビルダーは複数存在します。
フォーラムでは「どのクランクベイトがオリジナルの E-1 に最も近いか」がたびたび話題になり、ホットの H-1 もそのひとつとして名前が挙がります。

あるアングラーは、ホットの H-1 を複数購入し、出来のよいベイトだと評価しています。ホットの bull bream カラーの良さを名指しで支持し、手元に置いていると語るアングラーもいます。

一方で、オリジナルの WEC は現在も eBay 等で入手でき、その塗りと仕上げへの愛着は根強く残っています。
再現度を厳密に論じる層では、サイズとアクションで E-1 に最も近いクランクベイトとして Jawjacker J-1 が挙げられることも多くホットの H-1 もその一角にあります。(BBC Boards


ブランドの現在(2026年時点)

2024年冬の Doug Clifford Outdoors の記事では、ホットが現役で製作・カスタム対応していることが記録されています。(Doug Clifford Outdoors
一方、Wood Bait Country の John Hott Lures ブランドページは残っていますが、商品は1点も掲載されていません。(Wood Bait Country
オハイオ州デイトンの Fisherman's HQ のプロショップページには Darting R-2 の記載が今も確認できます。ただしオンライン販売の形はとっておらず、現在も販売されているかは不明です。(Fisherman's HQ

ホット本人の引退に関する情報は確認できませんでした。


まとめ

John Hott Luresは、オハイオ州ケタリングを拠点とするビルダー、ジョン・ホットによるハンドメイドカスタムバルサクランクブランドです。本業である商業・工業塗装の技術がハンドペイント仕上げの品質に直結し、廃盤となったバルサクランク名作群の復刻を核としたラインナップで、コアなアングラーから評価を得ています。

主な復刻対象は、リップバーガーの Darting Rや、Bagleyの B-3・DB-3・Kill'r B-1、WECの E-1・Hicky・Mutt等です。供給は限定的でカスタムオーダーが中心ですが、2024年末時点ではホット本人が現役で製作に携わっていることが確認できます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


本稿は、公開されているオンライン情報源、フォーラム投稿、EC商品説明、追悼記事、そしてルアーコミュニティの証言をもとに作成しました。二次的な証言も多く用いているため、不正確な情報が含まれている可能性があります。
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