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マルチ・ポテンシャライト - AI時代は器用貧乏の価値が変わる

「あれもこれも中途半端で、結局どれも極められなかった」
そんなふうに、自分を“器用貧乏”だと感じたことはありませんか?

でもAIが台頭するいま、その「多様な引き出し」こそが、時代をつなぐ力になるかもしれません。
本記事では、「マルチ・ポテンシャライト(多分野型人間)」の価値がどう変わりつつあるのかを、社会構造やAI技術の進化と照らし合わせながら考えていきます。



マルチ・ポテンシャライト』(エミリー・ワプニック著)を今読んでいる。
マルチ・ポテンシャライトとは、「興味が色々な分野におよび、強い専門性をもっていない人々」という感じだろうか。

分かりやすい日本語にするなら、「器用貧乏」ということになるだろうか。印象の良い言葉ではない。

まだ本は読み終えていないが、マルチ・ポテンシャライトについて思うこと。特に、AIの発達が著しい現在の状況を考慮して書いてみようと思う。



1. はじめに


私の趣味は読書だ。私の読書スタイルは特定の分野の本を読むのではなく、その時々の興味に合う本を読み漁るというもの。興味が変わったら、また別の分野に移っていく。本棚の本には一貫性がない。


私は高専(高等専門学校)を卒業し、大学の工学部に編入した。だから、学歴からしたら理工系だ。
しかし、その後の職務経歴は理工系ばかりではなかった。

資格もいくつか持っているが、統一感はあまりない。役に立った(立っている)ものもあるし、全然使えていない資格もある。


要するに、私もマルチ・ポテンシャライトの側面があるのだと思う。


私は40代後半、50歳も見えてきた。それなのに専門性を持っていないことは弱点だと思っていた。

しかし、時代が変わり始め、この私の性質もプラスに働く可能性があるのではないだろうか?



2. 社会は今、過渡期にある

専門家とオールラウンダーを称賛してきた日本社会

日本では一つの領域を探求してきた専門家、あるいはオールラウンダーが賞賛されてきた。今もその傾向はある。
野球の大谷翔平選手がこれだけ話題になるのも、彼が突き抜けたオールラウンダーだからではないだろうか?


高度経済成長から続く“単一的な価値観”が制度の根底にある

戦後の高度経済成長からその後の社会の作りでは、その方が都合の良い社会構造だったのだろう。それは今も続いていているように思う。

表面的には「働き方の多様化」と言いながら、本心では多くの人間がサラリーマンでいてくれたほうが都合が良いのだろう。


インボイス制度に見る、個人を圧迫する構造

インボイス制度の問題点は、

  • フリーランスや個人事業主の参入障壁が高くなり

  • 小さく始める・実験する・複数のスキルを細かく活かす働き方が萎縮してしまう

  • 「組織に属して働く方が安全」という旧来の価値観を補強してしまう制度

だということだ。

実際、多くのクリエイター、ライター、エンジニア、漫画家、声優、同人作家が影響を受けた。

そして、これだけ多くの人が声を上げても、それが制度の骨格を変えるには至らなかった。
マイナンバー保険証も現場で働く人々も含め、多くの反対があった。なのに政府は導入した。

国民の声を政府が聞いていない。
政策ありきの政治が行われている。


上っ面だけの「改革姿勢」への違和感

今の政治や大企業の一部は、

  • 表向きは「多様性」「デジタル化」「柔軟な働き方」などを掲げながら、

  • 実際には旧来の価値観と利権構造を温存している

というケースが少なくない。

それはまさに「言葉だけの変化」であり、実態は変わっていない。あるいは、変わったフリをして若い世代の関心をそらす戦略とも言えるだろう。

特に、選挙が近づくとこの傾向が強まる。



3. テクノロジーが変えた“人間の価値”

AIの登場による「知識・スキルの逆転現象」

かつては、知識や経験を積み重ねた専門家や、幅広い業務をこなせるオールラウンダーが社会の中心にいた。
でも今や、AIが数秒で専門的な情報を引き出し、処理・要約・提案までできる時代となった。この流れはさらに進むだろう。

オールラウンダーの「何でも屋的な処理力」も自動化の波に飲まれつつある。


突き抜けた人材以外は“代替可能”になる?

突き抜けた専門性、もしくは統合力・影響力のあるオールラウンダーなら今後も価値は残るだろう。

でも、それは一握り。

しかも、その「突き抜ける」には膨大な時間と集中力が必要で、誰でもできることではない。



4. AI時代に必要なのは“掛け算できる人”

マルチ・ポテンシャライトのような多様な視点を持つ人の価値

どの分野にもすごい人がゴロゴロいる。
しかし、マルチ・ポテンシャライトは「何者にもなりきれなかった人」ではなく、「複数の興味を持ち、接点をつなげ、創造的な結合ができる人」だ。

ここにAIが組み合わさると、どうなるか。

  • 「そこそこの知識・スキル」でも、AIを使えばすぐに補える

  • 専門家にならなくても、必要に応じて情報を集め、組み合わせ、実装できる

  • 結果として、「多様な領域を組み合わせた“思考の化学反応”」が起きる

これこそが、AI時代における人間の創造性の源ではないだろうか。


AIが“差”を埋めてくれるからこそ、“発想”と“接続”が力になる

AIが提供する知識をただ受け取るだけでは、誰でもできる。

でも、異なる分野から得た知見を接着し、新しい文脈に落とし込むことは、今も人間にしかできない。

  • IT×教育×共感力

  • 数学×絵本×ストーリーテリング

  • 自動化×人間らしさ×社会課題

こうした掛け算型の思考と、社会的文脈を理解する力は、今後の時代にこそ求められるのではないだろうか?


「知識の深さ」より「知識のつなげ方」こそが生き残りの鍵

「多様な関心」と「つなげる力」を持つ人こそ、AIの持つ可能性を社会に活かす“触媒”のような存在になれるのではないだろうか?

  • 自分は専門家ではない。でも、専門家とAIをつなげられる

  • 自分は発明家ではない。でも、発明の文脈を見出せる

  • 自分は決定者ではない。でも、意思決定の方向性を見通せる

これこそが、“AIと共生する時代”における新しい人間の役割なのかもしれない。



5. AIリテラシーという新しい教養

AIは誰でも使えるが、結果を変えるのは“問いの立て方”と“使い方”

AIは今では人間と一緒に考え、創造し、判断するパートナーとなった。だから“使える”だけでなく、“付き合い方”を考える力が問われている。

プロンプトの工夫・文脈の整理・出力の評価など、使う側の思考力と設計力が問われ、「適切な問いを立てられる人」「正しく受け止め、再構成できる人」が強い。


「詳しい人を見つけて巻き込める力」も立派なリテラシー

これはAIに詳しい人以外はこの先厳しいという話ではない。
「自分が詳しくなくても、誰を巻き込むべきかを理解できる能力」も極めて重要だ。

これはつまり:

  • 「自分に足りない部分を自覚するメタ認知」

  • 「知識のある人を見極め、信頼関係を築く力」

  • 「目的に応じて適切な専門家やツールと連携する調整力」

これはプロジェクト型社会や共創型ビジネスでは必須スキルとなるだろう。

新しい考え方ではない。自分の苦手分野は得意な人に任せようという話だ。



6. これから求められる“AIの案内人”

AI時代には「技術者」と「非技術者」の間をつなぐ役割が必要

これまでは、

  • エンジニア/データサイエンティスト=AIをつくる人

  • コンサルタント=AI導入を提案する人

が中心だったが、これからは「使う人」と「技術者」の間に立つ新しい職種やサービスが重要になるのだろう。


AIコーディネイター、コンシェルジュのような存在

● AIコンシェルジュ(AIコーディネイター)

  • クライアントの課題をヒアリングし、最適なAIツールや組み合わせを提案

  • 技術は浅くてもいいが、目的の翻訳力・AI活用の知見・コミュニケーション力が求められる


● AIリテラシー・ナビゲーター

  • 社内研修や個人向けに、「どのAIをどう使えば効果的か」を解説

  • ChatGPT、画像生成、音声変換、ワークフロー自動化などから選定


● AI人材のマッチングサービス(人材派遣/業務委託)

  • 「この業種ならこのツールに強い人が合う」などの最適配置

  • 企業だけでなく個人事業主やチームへの短期導入支援



7. 若い世代への願いと、政治へのまなざし

今の社会を動かしているのは、まだ旧来の価値観に縛られた仕組み

政治家や有識者と呼ばれる人が、「働き方の多様化」という言葉を使っている。
しかしその反面、インボイス制度の導入というフリーランスで働く人たちを苦しめる、あるいは息の根を止める制度を導入した。

言っていることとやっていることが違う。ここで見るべきはやっていることだ。


政治家は聞こえの良い言葉をたびたび発する。特に選挙前は。
前の選挙で減税を訴えた党は、選挙後もその姿勢を貫いただろうか?

選挙前の公約を破る・反故にする政党が当たり前にいるがの現状だ。そして、私には信じられないが、その政党が次の選挙でも票を集めている。
そんな政党、政治家に投票して良いのだろうか?


それでも若い世代は多様性を自然に受け入れ始めている

表面的には旧来の価値観が続いているように見えても、以下のような兆しがある。

  • 若い世代では「複業」「スキルの掛け算」「個人発信」に価値を見出す人が増えている

  • SNSやnote、YouTubeなど、“自分というメディア”を育てる人が増えている

  • 企業側も「一芸」より「文脈理解力」「学び直し力」「変化対応力」に注目し始めている

つまり、「いまはまだ少数派でも、10年後には当たり前になる生き方」をあなたは選ぼうとしている。


その流れを止めるのが政治制度であってはならない

今は時代の過渡期であり、

  • 一方では「安定=大企業・終身雇用・専門職」が美徳とされていた社会がまだ根強く残っている。

  • 他方では「柔軟さ・多様性・自律・掛け算・自己表現」が価値になる社会が静かに台頭してきている。

そのはざまで、新しい考えを持った人が「変化の痛み」を一手に引き受けている構図がある。
そして変化を拒む旧来の価値観や権力構造が、現実に制度や文化の足を引っ張っているのも事実。


「老害」という言葉がある。
年齢が問題ではない。変化を拒み、若い世代や柔軟な考えを抑圧し続ける“思考の化石”のことを老害というのだろう。


政治は遠いものではない。選挙に行って、未来を自分で選ぼう

政治は「遠いもの」ではなく、

  • 税金の使われ方

  • 教育や医療の方針

  • 雇用やフリーランス制度

  • 子育てや老後

  • 表現の自由やIT政策

つまり、「生き方のインフラ」すべてを左右するもの。

それなのに、「政治に無関心でも生きられる」と思わせてきた社会構造こそが、まさに問題の根源といえる。


「上っ面だけの聞こえの良い言葉」に騙されるのでもなく、「自分には関係ない」「誰が選ばれても同じ」という「シニカルな態度」もしくは「皮肉や諦めの姿勢」でもなく、情報を集めて自分でどこに投票するかを決めて欲しい。

政治はあなたの暮らし、未来と密接にかかわっているのだから。



8. おわりに:自分の“多様性”を信じていい時代が来る

自分の掛け算に意味があると信じてほしい

AIという技術により、社会が大きく変わっていっている。インターネットが広まった時と同じように、あるいはそれ以上に。

どうなるのかはわからない。便利になるのか、大きな災いをもたらすのか。


だが、AIの登場により、今までは一人もしくは少数ではできなかったことが可能となった。

生成AIとおしゃべりしていると、最初の話題とは全然違う話に行きつくことがある。連想ゲームみたいで楽しく思う。アイデアが生まれることもよくある。

この連想ゲームこそが私の特性であり、器用貧乏(マルチ・ポテンシャライト)ゆえに持つ引き出しの多さなのかもしれない。

引き出しの数、中身は人によって違う。中身の掛け算により生み出されるものは膨大だ。それこそが、人の可能性なのだと思う。


同じように感じている人たちと、未来をつくっていきたい

専門家やオールラウンダーを嫌っているわけではない。それも素晴らしい生き方だ。
でも、そうは生きられなかった人たちがいる。私もその一人だ。

AIという追い風が今の時代は吹いている。私と同じタイプの人が何を成すのか。それはとても興味深いことだ。



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