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「Webライター」と「ライター」は何が違うのか。何が同じなのか (Webライターラボ代表中村昌弘さん×さとゆみ対談)

ライターの職種の中に「Webライター」という呼ばれる職域があることを知ったのは4年前。『書く仕事がしたい』を書いたあとだった。「さとゆみさんは取材ライターであってWebライターではないけれど、『書く仕事がしたい』に書かれていることはWebライターにも役立つと思う」というレビューを見つけて「はて?」となった。Webライターって、何だろう。そして、取材ライターって何だろう? 
雑誌ライターとは、雑誌で記事を書くライターを指す。書籍ライターは、書籍の文章を聞き書きするライターを指す。でもどうやらWebライターは、Webで原稿を書く人を指すのではないらしい。
いろいろと調べた私は、「Webライターとは、おもにSEO対策を目的とした記事を書くライターである」ことを知った。そしてこの時はだいぶジャンルが違う文章なのだなと思った。

ところが、さとゆみビジネスライティングゼミの応募に年々、「Webライター」を名乗る人が増えてきた。
そしてついに、1500名規模のWebライターが所属するオンラインコミュニティ「Webライターラボ」の代表、中村昌弘さん(以下:ヒロさん)が受講しにきてくれた。
ヒロさんといろんな意見交換をするうちに「Webライターの仕事が時代とともに少しずつ変わってきていること」「いわゆるまとめ記事を書くだけではなく、取材を伴う仕事も増えてきていること」などを聞いた。
さとゆみゼミには、取材ライティングしか知らないメンバーも多いので、ヒロさんにゼミ内で講義をしてもらったこともある。ともに「書く仕事を通して、私たちが住む地球Aを豊かにしていきたい」と思う仲間として、切磋琢磨していけたらいいなとも思っている。

だがしかし、そう思っているはずの私が、どうもWebライターのことをよくわかっていないような気がする。そして、両者の間には、どこかわだかまりがあるような気もする。
ライターとWebライターは本当に違う職業なのか。何が同じで何が違うのか。ヒロさんに話を聞かせてもらうことにした。


「Webライター」という主語は大きすぎる

さとゆみ:ヒロさん、今日は時間を作ってくれてありがとうございます。まず、お詫びがしたいと思って。
先日は、ごめんなさい。私があるWebライターの人の仕事のやり方に関して、ヒロさんがまるでWebライターの代表であるかのような言い方で文句を言ったこと、本当に筋違いだったと思って。申し訳なかったです。

中村昌弘さん(以下、中村):さとゆみさんの性格を考えると、絶対、次の日にお詫びの連絡が来ると思っていました(笑)。

さとゆみ:ごめんなさい(汗)。
これまで私、「Webライターと、(Webライターの人たちが言うところの)取材ライターは、別の職業であると思う」「どちらが上とか下とかではない」と言い続けてきました。
ただ、あの日ヒロさんに「Webライティングの仕事って、誰かが一生懸命作った料理を、別の皿に盛り付けるだけになってない?」「それ、ライティングじゃなくてリライトじゃない?」と言った自分を振り返ると、あきらかにWebライターと呼ばれる人が書く記事に、思うところがあったんだと気づいたんですよね。

中村:はい。僕もそれを感じました。やはり、さとゆみさんも、そこに本音がありますよね。どれだけ「別の職業だと思っている。上下じゃないと思っている」と言っても、本心では「私たちが時間をかけて取材して書いた記事をパクりやがって」という気持ちはどこかにあると思うんです。
そしてその気持ちも、もっともだと思います。実際、取材ライターの人たちがお金をかけて書いた記事を、ただまとめただけの記事があることは否めない。

さとゆみ:うん、あの日ヒロさんと話していて、私、「両者を分断したくない」と言いつつやっぱり心の底で、お金も時間もかけて書いた取材記事を切り貼りして別のコンテンツにされることにモヤっとしているのだと気づきました。
とくに今は、自分でCORECOLORというメディアを運営するようになって、取材にいくらかかっているのかもわかるようになったので、フリーライド(自分でお金を払わず無料でのっかる)されているという気持ちがあったのかも。

中村:そう。それもあって、今日、さとゆみさんと話したいと思ったんです。
さとゆみさんが思っているようなWebライティングもたしかにあるんです。いわゆる「こたつ記事」と言われるような原稿ですよね。そして、Webライターを快く思っていない取材ライター、ここではあえて取材ライターと言いますが、そういう人たちも少なくない。
でも、今のWebライティングはそれだけじゃなくて、ちゃんと取材をしていたり、独自の情報を集めて書かれていたりするものも多いんですよ。

さとゆみ:それ、ヒロさん前から話してくれていたけれど、私やっぱりよくわかっていなかった気がするの。具体的に、どんな書き方をするんですか?

中村:僕の例で恐縮なんですけれども、たとえば僕は不動産に特化したWebライティングをしていました。前職が不動産関係だったので。
で、僕が書いてきた原稿に関して言うと、いわゆる「まとめ記事」は、そこまで多くなかったのです。

さとゆみ:でも、ヒロさん、さとゆみゼミを卒業するまで、家からほとんど出ずに書きまくっていたって言ってなかった?

中村:そうなんですよね。言いました。でも、僕はそれまでの「自分の体験」をもとに書いていたんです。たとえば、マンションディベロッパーで働いていたときの経験や、自分自身がマンションを売買した経験などをもとにして記事を作っていました。
たしかに誰かに取材したわけではないのですが、いうなれば「自分自身に取材して」書いたような記事だったんです。

さとゆみ:なるほどー! 私がヘアライターをやめたあとに「過去に、プロの美容師さんからこういう話を聞いたことがある」話を書籍にしたのと全く同じですね。

中村:ああ、そうかもしれません。

さとゆみ:すごくよくわかる。

中村:でも、不動産業界で働いていた時の経験や、自分の売買の経験は、どんどん古くなっていきます。だから、Webライターになってからも、不動産会社が主催するセミナーに通って情報を集めていましたし、不動産投資系のオンラインサロンに入って勉強したりもしました。そういった情報を元に、できるだけオリジナリティのある記事を書こうとしていたわけです。
人によっては、Yahoo知恵袋や発言小町のような質問サイトを隅々読んで、読者となる人たちがどんな悩みを持っているのかをリサーチしたり、自分の友達の経験を取材したりもしているんですよね。

さとゆみ:知らなかったとはいえ、「フリーライドしている」は失礼な言い方でした。

中村:いえいえ。実際、さとゆみさんがイメージしていたように、SEOのキーワードだけもらって、それをネットで検索して上位に表示された記事をつぎはぎして原稿を書いている人もいます。だから、嫌な気持ちになるのもわかります。
でも知ってほしいのは、自分の体験を書いたり独自で取材したり、あるいは入念にリサーチして、何とか独自性の高い原稿を書こうと努力している人もいるということです。Webライターという大きな主語でひとかたまりにして議論しないほうがいいなと思います。

さとゆみ:その話もしたかったんでした。「Webライター」という主語が大きすぎるのではないかと。
自分の無知を棚に上げて話すのは恐縮だけれど、Webライターという呼称が何を指しているのかを定義できていないことも課題だなと思って。

中村:それなんですよ。そこが課題ですよね。

「なぜライターになったのか」の違い


さとゆみ:
「Webライティング」自体はもともと「SEO対策に特化した記事」を指していたと思う。いまだとAIモードにピックアップされる元記事になるような記事とか。
つまり、マーケティング特化型ライティングですよね。それは私にはできないし、プロフェッショナルなスキルだと思っています。
でも「Webライター」となると「SEO対策に特化した記事を書ける人」というだけではなく、「取材をせずにまとめ記事を書く人」といったニュアンスも出てしまっているように思うんです。

中村:もっと言うと「その取材記事をパクっていることもあるよね」的な負の感情をもっているライターもいますよね。僕も取材した記事をパクられたことがあるからわかります。でも、話が最初に戻ってしまうから、その話はちょっと置いといて。

さとゆみ:はい。「ライターとWebライターを分断しない」の話でした。

中村:僕、さとゆみゼミに入って、純粋に「書くのが好き」な人が多いことにびっくりしたんです。さとゆみさん含めて、「書かないと生きていけない」人が結構いるじゃないですか。それは羨ましくもあり、でも、自分とは違うなあと思っていたんです。

さとゆみ:ああ、それ、私もヒロさんとその話をしたいと思っていた。ヒロさん、Webライターラボの仲間の方達と本を出したじゃないですか。『ライターとして生きていく』。すごく面白かったです。これからWebライターを目指す人にとっても、今悩んでいる人にとっても参考になるいい本だなあと思いました。
で、読ませていただいて気づいたのですけれど……。

中村:僕、今からさとゆみさんが何を言いたいか、わかる気がします。

さとゆみ:うん、多分、同じこと考えていると思います。

中村:ライターになった動機の違いですよね。

さとゆみ:そう。それを感じた。
Webライターという職業が生まれる前にライターになりたいと思った人たちって、「本を読むのが好きすぎた」「作文が大好きだった」「作家になりたかったけれどそれは無理そう」「書く仕事に関わってたい」「だからライター」みたいな感じの人が多い気がするんですよね。
でも、『ライターとして生きていく』を読んで気づいたのは、Webライターの人たちって「書く仕事をしたかったわけじゃない」人が意外と多いんですね。

中村:「在宅で仕事がしたい」「副業がしたい」からスタートする人が多い傾向があります。

さとゆみ:その動機の違いのようなものが、ライターという職業の捉え方の違いになっていたり、ヒロさんが言うところの「分断」の一因になっているような気がします。

中村:もちろん全員が全員ではありません。が、Webライターになった人は「せどり」で稼ごうとしたり、「ブロガー」でアフィリエイトをやろうとしたりして、最終的に「Webライター」になったという人が結構多いんですよね。
「日本語さえ書ければすぐに稼げる」というようなウェブ広告で、商材を買わせるような商売もあるんです。だから、Webライターをそう認識してこの業界に入ってきた人もいるでしょう。
そしてこれが問題だなと思うのは、そういう商材を作っている人たちが実際にはライター経験はあまりなく、ブロガーやインフルエンサーとして稼いでいる人が多いことなんですよね。

さとゆみ:なるほど。だから、実態とかけ離れた「すぐに稼げる」のワードが先行するんですね。

中村:そういうケースもあるかもしれません。そのことが、「Webライター=こたつ記事を書く人」というイメージにつながる一因になっている気がします。
僕もそうなのですが、在宅ワークをしたいからという理由でWebライターになった人は、最初はクラウドソーシングから受注するケースが多いんです。未経験者は伝手がないので。クラウドソーシングには取材記事の募集は少なく、SEO記事の募集が圧倒的に多い。需要が多いのと、取材記事を面識のない人に任せるのは怖いからだと思います。

さとゆみ:うん、イメージできます。

中村:僕もWebライターを始めた当初は、SEO記事の執筆案件をひたすら受注していました。当時は業界のことを全くわかっていなかったので「へ〜。ライターにはこういう記事を書く仕事もあるんだ〜」と思って、書籍などで勉強しながら一生懸命書いてきたんですよね。
そして、自分が未経験からWebライターの世界に入ったとき、こんなことを知っていたらよかったのにと思うことを、同じように苦労しているであろうWebライターの人たちにシェアしてみようと思い、コミュニティの運営をスタートしました。

さとゆみ:そこに、いわゆる「取材ライター」が「Webライターってどんな仕事?」と、やいのやいの言うようになったわけですね。

中村:自分としては、頑張ってSEO記事を書いていたところに、ある日突然「Webライターはライターじゃない!」と言われた感じだったんです。
取材ライターの立場からすれば、そう言いたくなる気持ちもわかります。でも、中には独自性をだそうと頑張っている人もいるから、そこはわかってもらえたらいいなとは思っています。

問いだけを渡すべきか。答えを示すべきか。


さとゆみ:
私が言うのも何だけれど、ヒロさんみたいに業界の情報に詳しい人、近年のWebライティングの実情を知っている人から学ぶのも大事だよね。

中村:僕のコミュニティだけが良いというわけじゃないし、僕自身も足りない部分がたくさんあるけれど、真剣にWebライティングを頑張りたい人たちのための場でありたいと思って努力はしています。
それでいうと、この間、さとゆみさんと「コミュニティのメンバーに何を学んでほしいか」「そのために、さとゆみさんや僕は何を教えるべきか」の話になったじゃないですか。

さとゆみ:うん。私が「大事なのは、答えを教えることじゃなくて、自分で考える習慣をつけてもらうことだと思う」って言ったやつだよね。

中村:それです。「答えがあることなんてもう、AIに任せておけばいい」とも言っていました。

さとゆみ:うん、答えを出すのはもう人間の仕事じゃなくなると思うんだよね。

中村:でも僕、「答え」の中にもAIが出せない答えはたくさんあると思うんですよ。だから「答え」を示すのも必要であり、「問い」だけだと迷走するよなぁと思う。

さとゆみ:!!! たしかに、AIには出せない答えもありますよね。その通りだ。

中村:僕とさとゆみさんの間で、「問い」と「答え」の定義が違うのかもしれないという気がするんですよね。

さとゆみ:なるほど。ヒロさんと私の「問い」の定義が違う話はたしかにそうかもって思っていたんだよね。
私にとっての「問い」は、「いずれ『私自身が(メンバー自身が)』答えを出したいと思っていること」。
世の中には
①「答えを教わると役立つこと」と、②「自分なりの答えを考えると楽しいこと(自分で考えること自体に意味があること)」があって、①はAIにでも(+人間にでも)聞いて、はやく教わったほうがいい。ここはショートカットすればいい。そして世の中のことの95%くらいがこっちかなと思っています。
でも、②は、人に教わりながら、本で学びながら、自分で答えを出していくこと自体が楽しいのではないかと思って。これを私は「問い」と呼んでいるのかも。

中村:なるほど。

さとゆみ:ただ、②に関しても、「人に教わりながら、本で学びながら」と今言ったように、「誰かの答えを聞きながらすり合わせたり、自分は違うと思ったり」するためには、やはり誰かの答えを聞くことや、人に教わることが大事だと思っているなあ。だから、ヒロさんの言う、「問いだけでは迷走する」はたしかにそうなのかもしれない。

中村:この対談の始まり自体が「Webライターが書く原稿に対して、僕に何かを言われても困る」と僕がさとゆみさんに言ったところから始まっているじゃないですか。僕はWebライターの代表じゃないから。
でも、Webライターラボのメンバーに対して、どうすればもっと役に立つことが伝えられるだろう、どんなことを伝えれば彼らがライターとして成長するのだろうということは毎日真剣に考えていて。
だから、「答えを教えるんじゃダメだよ」というさとゆみさんと「じゃあ、どんな学びの場であればよいのか」を、話したかったんですよね。僕は、「答え」を手渡すことも大事だと思っているから。

AIが文章を書くいま。私たちはラボ/ゼミで何を伝えればいいのか

さとゆみ:ところでAIの話が出たけれど、Webライターの仕事にはどんな影響があるんだろう。ラボで伝える内容も変わったりしました?

中村:一旦「Webライター=SEOライター」として話をすすめると、Webライターの仕事の6〜7割くらいは、AIに取って変わられています。それを前提にWebライターラボを運営しているので、「SEOだけでなく仕事の幅を広げよう」としつこく伝えるようになりました。
そもそもSEO記事の目的は「集客」であり、その先の商品やサービスを売ることです。ストレートに言うと、我々はクライアントの売上を上げるために記事を書いています。つまりSEO記事は単なる手段なんです。であれば、それだけに固執する必要はありません。

中村:クライアントの売り上げを上げるためにメルマガが必要なら書くべきだし、LPが必要なら作ったほうがいい、それこそインタビューが必要ならインタビューする。もちろんどれも簡単にできることではありませんが、SEO以外にできることを広げた方がいいのは間違いないかなと。ちなみにこれ、3年くらい前から言っているのですが、AIが台頭してから声を大にして言うようにしています。
AIを活用することで、質を保ちつつ時短できるようになったので、そういう意味でも理にかなっていると思います。昔のように「在宅で誰とも会話せずにお金を稼げる」という時代はもう終わったのでしょうね。

さとゆみ:仕事の幅を広げるためにはどうすればいい?

中村:まず学ぶこと。そして実践を経て実績をつくり、それを武器に営業することです。
たとえばメルマガ運用の仕事をしてみたいなら、YouTubeやWeb記事で情報収集をします。ノウハウはその辺に転がっている時代なので、基礎は無料で学べます。次にメルマガ配信スタンドを契約して、実際にメルマガをつくってみます。その過程で操作方法を学びつつ、疑問があれば都度検索してみる。そこでメルマガのシナリオを一本つくれば、それが実績になります。あとはその実績をアピールしつつ、既存クライアントに提案したり、新規案件に応募したりするだけです。
僕の知人はこの方法で、LP、メルマガ、LINE、インタビューなど、たくさんの仕事を受注していました。かくいう僕も、この方法で案件の幅を広げてきました。AI時代、Webライターが生き残る道のひとつだと思います。

さとゆみ:なるほど。「企業の売り上げをあげる」仕事だと捉えることで、仕事の幅が広がるわけですね。
いまさらながら気づいたけれど、Webライターの仕事って「企業の課題解決」なんですね。私はもちろん企業の仕事もお引き受けするのですが、過去の仕事を振り返ると、メディアの仕事のほうがだいぶ多かったから、「企業の課題解決のためのライティング」という発想が弱かったかも。

中村:さとゆみさんは? ゼミで何か教え方を変えたとか、変えようと思っていることはありますか?

さとゆみ:私、『書く仕事がしたい』で、ライターに必要な技術は3段階ある。
①間違っていないこと
②わかりやすいこと
③面白いこと
と書いたんですよね。で、②までできれば生き残れると本には書きました。なぜならプロのライターさんでも、②まで到達していない人が多かったから。

でも今後は、②まではAIがやってくれる。③までいけないと、多分生き残っていけないだろうなと思います。とくに、メディアから指名を受けるには③が必要になる気がします。

中村:どうすれば、面白い原稿を書けるようになります?

さとゆみ:私自身も試行錯誤中ですが、その上で思うのは、今まで以上に「生の言葉」が大事になってくるんじゃないかなということ。その人固有の経験、感じ方、思考を書けること。
今はいったん、作家性のある文章ではなく「(取材)ライター」に関して最近考えていることを話すんですけれど、ライターが文章において黒子であることは今も昔も変わらないと思います。ただ、黒子であるとは、無味無臭の文章を書くことではない。

さとゆみ:で、これから求められる文章は2つあると思うんだけれど、ひとつは先ほどいったような「生の言葉」「固有の思考回路」のようなものを、どれくらい取材現場で聞いてこられるか。
もうひとつは、それをどうやって味のある文章にするか。「味」ってとても難しいなと思うのだけれど、文章の中にある佇まいとか、侘び寂びとか、背骨のようなものとか、なんかそういうものです。それはやっぱり、自分の手で書いて書いて獲得していくものなのかなあと思う。

中村:その2つが、AIが書く原稿との差になる、と。

さとゆみ:まだいくつか要素はあると思うんですが、その2つはとくに大事だなと思っています。
文章って、生き方そのものが嫌でも滲むものだと思うんですよね。どんなに黒子であったとしても、どのエピソードを選ぶか、どう話を運ぶか、の部分にライターの佇まいが滲んでしまう。だから、「どう書くか」は今後ますます「どう生きるか」になっていくんだろうなと思います。
AIは「生きる」ことはできないから、そこが差異になっていくんじゃないかなと。

中村:それ、さとゆみゼミを通じて同じことを思いました。同じ音源からそれぞれ記事を書く課題があったじゃないですか? できあがった記事を読んでみると、同じ素材なのにみんな内容が違う。それぞれフォーカスを当てている場所が違うんですよね。それがさとゆみさんの言う「生き方」の違いなのかなと思いました。

さとゆみ:わかりやすい文章は教えられる。でも、面白い文章って教えられるものじゃないですよね。この間もnoteで、そんなことを書きました。(人に文章を教えることなんて、不遜でおこがましいことをできるのだろうか。していいのだろうか
ただ、「何を考え続けなきゃいけないか」だけは、共有できると思っていて。これを仲間と一緒に考え続けることが、一番大事なことなのかなあと思ったりしています。
ヒロさんとも、これからもいろんな話をしていきたいなー。

中村:Webライターに対する小さなわだかまりからスタートした対談でしたが、いろいろお話しできてよかったです。Webライターはこうあるべきとか、ライターはこうあるべきみたいな小さい枠組みにとらわれず、またフラットに話せたらなと思います。ありがとうございました!(了)

中村 昌弘(なかむら まさひろ)
ライター。2016年に独立し、未経験からライターとして活動を開始。初期は前職の経験を活かし、不動産分野のSEOライティングを中心に執筆。以降、取材、書籍、LP、メルマガなど多様なライティング案件を手掛ける。2021年には、オンラインコミュニティ「Webライターラボ」を設立。著書に『Webライターフリーランス入門講座』(ソーテック社)、『ライターとして生きていく』(KADOKAWA)がある。

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