生物進化論の嘘③ ~進化論は幻想と喝破したファーブル~
前回の記事では、生物進化論が説く突然変異と自然選択が生物進化の原動力になり得ないことを説明したが、実はダーウィンと同時代に生きて、生物進化論の欺瞞に気づき、生物進化論を幻想と喝破していた人物がいた。「ファーブル昆虫記」で有名なジャン=アンリ・ファーブルである。今回は、「ファーブル昆虫記」という大著を残したファーブルの精緻な昆虫観察の記録から生物進化論を考察する。
アラメジガバチの解剖生理学の知識は、人間の外科医レベル
ファーブルは幼少の頃から昆虫に興味を持ち、長年にわたって昆虫の生態を観察・記録してファーブル昆虫記を執筆した。今回の記事では、昆虫記の中のアラメジガバチの狩りについての観察記録から、進化論を検証してみたい。
アラメジガバチはヨトウムシの狩りをする。自分より、はるかに力が強いヨトウムシを狩るために毒針を使って仕留めるのであるが、その方法は人間のベテラン外科医の手術のごとき芸当なのである。
狩りの目的
アラメジガバチの狩りの目的は、ヨトウムシの身体を麻痺させて巣の中に蓄え、その脇腹に卵を産みつけ、幼虫の餌に供することである。幼虫は腐敗した餌を食べたがらないため、ヨトウムシを殺すのではなく、運動神経を麻痺させて昏睡状態にする必要がある。つまり、絶対に死なせてはならないという条件がある。そのため、全身麻酔の処置を施す必要があり、極めて高度な生理学・解剖学の知識と外科手術の技術がないと、目的を達成できないのである。
驚くべき狩りの技術
狩りの方法であるが、毒針を用いて、筋肉に刺激を送る大もとの神経中枢を傷つける。そのような手術をするためには、ヨトウムシの複雑な身体構造を理解し、神経組織の構造と神経節の数を熟知している必要がある。各体節にある神経中枢は、それぞれ独立して機能しているので、一つの体節が麻痺させられても、その隣りの体節が無感覚になることはない。そのため、主要な体節を全て手術する必要があるのだ。このような難易度の高い手術を、アラメジガバチは平然とやってのける。ひとつの体節の急所から次の体節の急所へと、九回にわたって正確な場所に毒針を指して、ヨトウムシの運動神経を完全に奪うのである。
アラメジガバチの外科手術の知識・技術は「本能」によるもの
人間が上記のような外科手術を正確に行うためには、医学・解剖学・生理学を学習し、手術の経験も積む必要がある。生まれたばかりの人間の赤子がそのような手術をできるわけがない。誰かから教えてもらって手術をできるようになるのである。
しかし、驚くべきことに、アラメジガバチは誰からも教わらず、この手術をできるのである。というのも、アラメジガバチは卵を産み付けると死に、次世代との関係は絶たれるので、ファーブルいわく、ハチは絶対に誰からも狩り(外科手術)の方法を教わっていない。つまり、人間が猛勉強して習得する医学・解剖学・生理学の知識・技術を生まれながらに脳にインプットされた状態で、ハチは生まれてくるということになる。そして、生まれた後に、外側からは全く見えないヨトウムシの神経組織の構造と神経節の数を理解して、急所を針で刺し、全身麻酔を施すのである。信じられないようなことだが、ファーブルが観察した厳然たる事実であり、ファーブルはこれをアラメジガバチの「本能」と呼んだ。それでは、この「本能」は生物進化論者が言うように進化によって段階的に発達したものなのだろうか。
段階的な「本能」の進化はあり得るか
アラメジガバチが人間の生理学者・解剖学者・外科医なみの知識・技術を生まれた時から持ち、狩りを行うという、生命の神秘ともいうべき現象であるが、生物進化論者は、ハチは何回もの試みと訓練によって、狩りの能力が段階的に少しずつ上達してきたと主張する。しかしながら、この主張は間違っているだろう。
アラメジガバチは、ヨトウムシの体節の急所9か所だけを正確に毒針で刺し、昏睡状態に陥らせるが、もし生物進化論者の言うように、段階的にこの技術を習得したのだとしたら、地球上に生まれ出た最初の世代のアラメジガバチは、9つの急所を探すために、手当たり次第に何回も針を刺して急所を探し当てたことになる。
しかし、ファーブルは、そのような事はあり得ないと断言する。その判断理由については、まず、確率論から考える必要がある。ヨトウムシの体に刺せる場所が1万か所あるとしよう。その1万か所のうち、手当たり次第に9か所を刺して、それらの点がたまたま体節の急所9か所である確率はどのくらいであろうか。超天文学的な確率になるであろう。
次に、ヨトウムシは非常に力が強い生物なので、短時間で正確な急所9か所を刺して完全に神経麻痺をさせなければ、ヨトウムシの脇腹に産み付けたハチの卵など、つぶされてしまうだろう。つまり知識・技術が不完全なアラメジガバチが狩りをした場合は、ハチの方が殺されてしまう可能性がある。また、前回のコラムで説明したとおり、ヨトウムシを殺してしまうと、幼虫の餌にできないため、殺さずに昏睡状態にする必要があるのだが、知識・技術が不完全なアラメジガバチが狩りをした場合、麻酔手術を行えず、殺してしまう可能性がある。すなわち、未熟な暗殺者がヨトウムシに下手な戦いを挑んだ場合、やり過ぎて殺してしまい、幼虫の餌にできなくなるか、もしくは、ハチの方が殺されてしまうのである。どちらにしても、未熟な暗殺者は子孫を残せず、最初の世代で滅んでしまう。このような容赦ない理論から、アラメジガバチは最初の世代から完璧な外科手術ができたということになる。
ファーブルによるダーウィン進化論の評価
ダーウィンと同時代を生きたファーブルは、ファーブル昆虫記の中で、生物進化論は「精神的な遊び」であり、「妄想」であると断じ、進化論を批判していた。何十年にもわたり、昆虫の現実の生態を分析し続けたファーブルにとっては、ダーウィン進化論は非常に脆弱で幼稚な理論であったのだろう。
最古のハチの化石が示すもの
以上のように考えると、アラメジガバチは、地球上に誕生した最初の世代から、人間の生理学者・解剖学者・医者レベルの知識・技術を脳にインプットされた状態で誕生したということになる。
そのようなファーブルの理論を証明するかのように、2600万年前の最古のハチの化石が発見されたという。タール状の堆積物の中でミイラ化したハチは、何から何まで現代のハチとそっくりだったそうである。
ファーブルは、狩りバチは最初から完璧なものとして創られたと結論づけた。それでは一体、どのように創られたのであろうか。
→次回の記事へ続く
※参考文献
「ファーブル昆虫記 第一巻 上」、「ファーブル昆虫記 第一巻 下」、「ファーブル昆虫記 第二巻 上」、「ファーブル昆虫記 第二巻 下」ジャン・アンリ・ファーブル (著)、奥本 大三郎 (訳)
