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偶発性を活用した アンビエント の作り方 ▶︎ SONICWARE Ambient Ø

日本の電子楽器メーカー SONICWARE(ソニックウェア)が LIVEN シリーズ第8弾としてリリースした

サウンドスケープ・シンセサイザー
『 Ambient Ø 』 (アンビエント・ゼロ)

を使用して、演奏動画を撮影しました。

新緑が美しい季節。久しぶりに

屋外へ機材を持ち出し、
ジャムセッション

を行いました。

心地よいそよ風に身を任せながら、ゆったりと音を重ねていきました。

録音には、zoom R8のMTRを使用し、内蔵マイクにより

鳥や虫の鳴き声を収音した音素材を、
最終的にミックスに加えました。

zoom R8:
最大48kHz/24bit、2トラック同時録音・8トラック再生
筐体左右端に内蔵マイクを搭載

緑に囲まれた場所でのセッションならではのアンビエンスを盛り込み、クラシカルで王道的なアンビエント作品に仕上げました。

今回はこの曲を題材に

Ambient Øを使って
「 偶発性を活用した アンビエント 」を
制作するコツ

をシェアします。

なお、本記事の内容は筆者の主観に基づいています。あらかじめご了承ください。

▼ Ambient Øについての記事をまとめています

・・・ ・・・

【 目次 】

・プロジェクトファイル

・サウンドの方向性

  TRACK 1 - パッド(コード)
  TRACK 2,3 -シーケンス
  TRACK 4 - ノイズ(RMBL)

・ポイント 1:偶発的な要素を入れる

・ポイント 2:スケール内でランダマイズ

・ポイント 3:整えて、崩して、戻す

・・・ ・・・

【 プロジェクトファイル 】

以下のURLより、

演奏動画で実際に使用した
ファイルを無料でDL

できます。
https://www.dropbox.com/scl/fo/svuckdfikltfcyx21f2f3/AIb2laOT6vO7CC6GvQohrzE?rlkey=ela5m0lfnd8764m629r5jjeuw&st=rcjp0dm6&dl=0

ダウンロードできるファイル:

・E.ANA_1.syx

実機へのインポート手順については、以下の記事を参考にしてください。

***ファイルの二次配布、商用利用はいかなる場合も許可していません
***ファイルのインポートに伴う損害について、筆者は一切責任を負いません
***インポート時は事前にバックアップを取るなど、自己責任で行ってください

・・・ ・・・

【 サウンドの方向性 】

各トラックの音色設定:

TRACK 1 - パッド(コード)
TRACK 2 - シーケンス
TRACK 3 - シーケンス
TRACK 4 - ノイズ(RMBL)

コード進行で楽曲の雰囲気を構築しながら、偶発的な展開を意図して、ステップ数をあえて中途半端に設定したり、ランダムシーケンスを活用しました。


TRACK 1 - パッド(コード)

SIN.M - サイン波を倍音モーフィングする波形を選択。ストラクチャーはPAD2 を使用し、片方のオシレーターのピッチを1オクターブ下(-120)に設定して、厚みとうねり を加えました。ステップ数は57に設定。

コード進行は以下の通りです。

Cm/Bb | F Cm/Bb | F 
Eb | Fsus4  | Eb |  Fsus4 
Dm | Eb | Fsus4

マイナー調で少し寂しげな空気感を出しつつ、sus4コードで空間が徐々に広がっていくような構成を意図しました。

▼ ストラクチャーについて完全解説しました。


TRACK 2,3 -シーケンス

どちらもランダムシーケンスをONにし、トラック2は4、トラック3は1ステップで音が移るように設定。

またPANをトラック2、3でそれぞれR35、L35に設定し、ステレオ的な広がりを演出しました。


TRACK 4 - ノイズ(RMBL)

RMBLはおそらくゴロゴロと雷鳴?が鳴ることを意味するRUMBLE(ランブル)だと思いますが、

風で木々が揺れるようなイメージ

で、断続的に鳴るように使用しました。


【 ポイント 1:偶発的な要素を入れる 】

クラシカルなアンビエントは、基本的に音色をゆったりと変化させながら少しずつ展開するスタイルですが、リスナーを意識した場合、

単に音を重ねていくだけでは
飽きてしまう可能性

もあります。

Ambient Ø には、ループベースの制作を自動で変化させるための

「ランダムシーケンス(RND SEQ)」
機能が搭載

されています。

ランダムシーケンスの設定方法:

①トラックを選択
②func + ステップ13(RND SEQ)を押下しONにする
③func + ステップ12(RND STEP)を押下し任意の値にする

例)トラック2の設定

・打ち込んだステップ数:64
・ランダムステップ数:4

シーケンサーの再生を開始すると、最初のステップがランダムに選ばれ、そこから4ステップ進んだ後、次もまた別の場所から4ステップ……という具合で再生されます。

例)
シーケンサー再生開始

3小節目
5 6 7 8  の順で4ステップが鳴る

1小節目
1 2 3 4 の順で4ステップが鳴る

4小節目
13 14 15 16の順で4ステップが鳴る

こうすることで、

音が鳴るタイミングやフレーズが
偶発的になり、

他のトラックのフレーズと鳴り合わさることで、同じパターンがループされるのではなく、

常に異なるパターンが
自動的に生成される

ようになります。

雲の形のように偶発的なパターン

トラック3に設定したランダムシーケンスの「ランダムステップ」の値は1なので、1ステップ進むごとに異なる位置のステップが鳴ります。

つまり、

トラック2、3が組み合わさって
鳴ることで、自動的に
複雑なパターンが生まれます。

また、コードを打ち込んだトラック1のパッドのステップ数は57に設定しています。

トラック1のステップ数57の表示
4小節目のステップ9までLEDが点灯

意図的に中途半端なステップ数にすることで、曲が進行するにつれて、16ステップ固定で鳴るトラック4のノイズパターンとのタイミングが徐々にずれていき、結果として

全体のパターンが有機的に変化

していきます。

クラシカルなアンビエントではテンポが遅く、リズムも明確でないため、分かりやすい変化(ポップな要素)を作りにくいという側面があります。

しかし、

ランダムシーケンスの活用や、
ステップ数をあえて
中途半端に設定するなどの工夫

によって、たとえ緩やかな曲調であっても、豊かで複雑な変化を生み出すことが可能です。

▼ アンビエントの曲作りのコツは下記をご覧ください

・・・ ・・・

【 ポイント 2:スケール内でランダマイズ 】

ランダムシーケンスを用いる場合、

スケールに沿った音を使用すること

をオススメします。

この曲のコード進行

Cm/Bb F Cm/Bb F 
Eb Fsus4 Eb Fsus4 
Dm Eb Fsus4

にそって、たとえば以下の音階を使ってシーケンスを打ち込むことで、ランダムに動いても、不協和音にならず、偶発的に生み出されるいい感じの響きになります。

C  D  Eb  F  G  A  Bb

*実機をお持ちの方は、シーケンサーを再生しながら、トラック1の音色を使って下記画像のオレンジ色になっているキーボードを好きなように弾いてみてください。

演奏しながら好きなツマミを動かして
音を変化させると…

・・・ ・・・

【 ポイント 3:整えて、崩して、戻す 】

これはアンビエントに限らず、多くのジャンルで応用できるテクニックです。

まずは、心地よく感じられるコード進行や音色を作り、フレーズを打ち込んで曲を構築していきます。

その後、さらにアートな要素(芸術的)を
加えたり、よりクリエイティブな
雰囲気を加えたいときには、

一度整えた状態から意図的に崩し、
また元に戻すという手法が効果的

です。

ポイント1で紹介したランダムシーケンスも、まさにこの考え方の一例です。

たとえば、トラック2と3は曲の始まりから終わりまでランダムにステップが動いていますが、最初に打ち込む段階ではコード進行を担当するパッドとフレーズが完全に調和するようにしました。

また、トラック1のパッドは64ステップで打ち込んでおり、この状態でも音楽として十分に成立します。ただ、繰り返し聴くだけでは面白くないと感じました。

そこで、トラック1のステップ数をあえて中途半端に設定し、トラック2と3にはランダムシーケンスを適用することで、

「整った状態から崩す」
→「予測できない展開を作る」

というアプローチをとりました。

さらに、各パラメーターをリアルタイムに変化させることで、ゆったりとした展開の中にも意外性のある響きを散りばめています。

まとめると:

▶︎ パターン構築時

第1段階目の崩し:
→ 中途半端なステップ数やランダムシーケンスの活用によって、整った打ち込みパターンを崩す。崩しすぎないことがポイント。

▶︎ パフォーマンス時 

第2段階目の崩し:
→ リアルタイムで複数のパラメーターを操作し、ランダムに動く状態からさらに音を崩す。
 その後、「元の状態に戻す」動作を繰り返すことで、有機的な変化を生み出す。

2段階目のポイントは、

音を崩すときの
「度合い(強弱)」に
ダイナミクスを持たせる

ことです。

たとえば、不協和音が混ざっても、リズムがズレても構いません。ただし、その後に “元に戻す” ことが大切です。

崩したままだと
変化の 「 差分 」 が
マイナスのままになり、
高揚感が感じられません。

整った状態から崩し、また整った状態に戻す。

この

「 崩し 」 と 「 整え 」 の循環

があることで、聴き手の中に開放感や安心感、そして高揚感といった「心に響く何か」が生まれます。

・・・ ・・・

以上、Ambient Ø を使用して「偶発性を活用したアンビエントを制作するためのコツ」についてご紹介しました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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