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【 レビュー 】 手のひらよりも小さな LoFi モジュラー・ドラム・シンセ ▶︎ Bastl Instruments - KASTLE DRUM

2026.6.2 追記
気づいたこと


チェコ共和国・ブルノに拠点を置く電子楽器メーカー Bastl Instruments(バストル・インストゥルメンツ) が、Kastleシリーズの一つとして2020年にリリースした超小型モジュラー・ドラム・シンセサイザー 『 KASTLE DRUM 』(カストル・ドラム) を購入しました。

この記事では、KASTLE DRUM(以下、KDの特徴や使ってみた印象、購入に至った理由などをご紹介します。

※本記事は筆者の主観に基づいており、内容に誤りが含まれる可能性もあります。あらかじめご了承ください。

【 目次 】

・Bastl Instruments
  
▶︎▷▶︎ チェコといえば…

・KASTLE DRUMとは
  
▶︎▷▶︎ 主な特徴
  ▶︎▷▶︎ パッチについて

・ランダム性の高いマシンを探して
  
▶︎▷▶︎ 2機種に絞る

・購入の決め手
  
▶︎▷▶︎ 特に重視したポイント

・気づいたこと
( 2026.6.2 追記 )
 音質変化
 予期せぬノイズ

・Ambient Ø と Kastle Drumのセッション
  ▶︎▷▶︎ Ambient Ø のスペースにぴったり
  ▶︎▷▶︎ サウンドについて
  ▶︎▷▶︎ sync同期について

・最後に

・開封の様子


【 Bastl Instruments 】

まずは、Bastl Instruments(バストル・インストゥルメンツ)についてご紹介します。

以下は、公式サイトThe Storyにある内容を要約・翻訳したものです。

The Story

2011年、音楽仲間でありアーティストでもある Václav Peloušek (ヴァーツラフ・ペロウシェク)Ondřej Merta (オンドジェイ・メルタ)は、かつてのチェコスロバキアのDIY愛好家(通称「Bastlíři」)へのオマージュとして、Standa Filip にちなんだプロジェクト「Standuino」を立ち上げ。

▼ Standuino 2pi - Noise Synthesizer

2013年に「Bastl Instruments」(チェコ語で「bastl=自作・改造(DIY)」の意味)として正式に会社を設立。シンセモジュール「Trinity」シリーズを発表し、高評価を得る。

▼ DRUM 1.1 Trinity by Bastl Instruments

2014年には、代表作となる「microGranny 2.0」を発表。会社の成長が大きく加速。

▼ microGranny 2.0 - handmade granular sampler

2015年にはシンセショップ「Noise.Kitchen」をオープンし、木製パネルのユーロラックモジュールを展開。

2022年、アナログモジュラー・シンセ/サウンドプロセッサーの革新的なモデル「Softpop SP2」が誕生。

▼ BASTLxCASPER: SOFTPOP SP2


とくに初期製品には、

ビジュアル面でもサウンド面でも
非常に個性的な印象

を受けました。

当時、Standuino が発売された頃には即完売し、手に入らなかった記憶があります。(今聴いても味があって良い音だなと感じます)

その後も新製品が出るたびに気になっていたのですが、当時はキーボードでの演奏が活動の中心だったこともあり、自分のスタイルには合わないかなと思って見送っていました。


Be local with the Planet in mind
(地域に根ざしつつ、地球全体を意識する)

Bastl Instrumentsはチェコ語でbastl=自作・改造(DIY)」という文化に深く根ざしており、テクノロジーに対して手を動かして関わることを大切にしています。

しかし同時に、既製品のハードウェアに盲目的に従うのではなく、社会のニーズに合った形でこの文化を再構築したいと考えています。だからこそ、私たちは自分たちで楽器を開発し、DIYキットを提供し、ワークショップや講座を開催しています。

これらの活動を通して、地域の人々の音楽制作への関与を促し、コミュニティの意識を育み、電子音楽制作への情熱を伝えようとしています。

Bastl Instruments公式サイト

ただ、製品を見れば見るほど、メーカーが大切にしている想いや哲学がしっかりと伝わってきます。

なにより、

手作りの良さが伝わる音

にとても魅力を感じます。

チェコ共和国について詳しくないですが、Bastl Instruments の製品には、他の電子楽器にはない

独特の雰囲気や文化的な背景

を感じます。

▶︎▷▶︎ チェコといえば…

ちなみに、筆者が大好きなインディーゲームメーカーAmanita Design 』(アマニタ・デザイン)も同じチェコ共和国にあります。

▼ SAMOROST 3(サモロスト)

チェコ語「サモロスト」は、生き物に似た根や木片を意味しますが、同時に、世間のことなど気にしない人を表す言葉でもあります。様々な意味を持つ素敵なチェコ語だと思います。

引用元:スチームフォーラム(Amanita Design 創設者 Jakub Dvorský (ヤクブ・ドヴォルスキー)さんによるインタビュー)

▼ Machinarium(マシナリウム)

音楽を担当しているFloex(フロエックス)による、

生楽器とエレクトロニクスが
絶妙に融合したサウンドと、
ゲームの世界観との相乗効果

には、かなりの影響を受けました。

ゲームの物語や仕掛けも秀逸でハマりましたし、

手描きをベースにした
ビジュアルもとても魅力的

です。


【 KASTLE DRUMとは 】

Kastle Drum(カストル・ドラム)は、

ボタンやシーケンサーを搭載していない、
グリッチ・ドラムに特化した
超小型のセミ・モジュラー・シンセサイザー

です。
(※正確には、任意に打ち込み可能なシーケンサーは非搭載)

ジャンパー線を使って
パッチ(接続)を行いながら
音を鳴らす仕組み

で、鍵盤もないため、ノブを回して音程や音の長さなどを調整します。

マニュアルには各パッチポイントの解説が記載されており、ある程度は音の変化をイメージしながら音作りが可能です。

ただし、一般的なシンセサイザーのように「ここをこうすればこうなる」といった、意図した通りに音作りができるタイプとは異なり、

偶発的に生まれる音や
予測不能な変化を楽しみながら、
音の可能性を探っていくような
使い方が基本

となっています。


▶︎▷▶︎ 主な特徴

・8種類のドラム・シンセ方式
 さまざまな音色を生み出せる、8つのドラムサウンド・タイプを内蔵

・「noises」アウトプット
 音程感の少ないノイズ系サウンド専用の出力も搭載

・「DRUM」ノブで音色選択
 ドラムの種類を選べるメインノブ

・加速感のあるエンベロープ
 動きのあるサウンドが作れる、チャージ式ダイナミックエンベロープ

・ディケイタイム調整
 音の余韻(長さ)を調整可能

・ピッチ調整とCV入力
 オフセット可能なPITCHノブ+CV入力(アッテネーター付き)で音程のコントロールが自在

・電圧制御クロック(LFO)搭載
 スクエア波/トライアングル波のクロック信号を出力可能

・ステップ電圧ジェネレーター
 ランダム・8ステップ・16ステップのループ再生が可能な電圧パターン生成機能

・2つのCV入出力ポート
 任意の接続ポイントに自由にパッチできるI/O端子

・ヘッドフォン直結OKな出力
 メインアウトはヘッドフォンをそのまま駆動できる出力レベル

・電源は乾電池 or USB
 単3電池×3本、または5V USBで駆動。スイッチで切り替え可能

・オープンソース
 中身の設計情報を公開。改造や学習にも最適

・頑丈なブラック&ゴールドの基板ケース
 美しくて丈夫なPCB筐体をそのまま使ったミニマルなデザイン

本体の他に以下のものが同梱されています。

・パッチケーブル10本
・ステッカー
(電池は付属していません)

株式会社アンブレラカンパニーのWebサイトに、日本語マニュアルも用意されています(購入時に案内が同梱されていました)。

▶︎▷▶︎ パッチについて

以下、公式マニュアルからの一部抜粋です:

・ゴールドの枠が ある 端子は出力
・ゴールドの枠が ない 端子は入力
・⼊⼒と⼊⼒ や 出⼒と出⼒ でも⾃由に接続可能
 (それによる故障のリスクなし)

OUT端子

ミキサーなどへ接続するラインアウトです。

ヘッドホンをダイレクトに接続できますが(⾳声はモノラル)、⾳量を⼗分上げるにはヘッドホンアンプが必要


【 ランダム性の高いマシンを探して 】

SONICWAREのLIVEN Ambient Ø でトラックを制作する中で、最近、

「リズムトラックを少し入れてみたい」
という衝動

が高まってきました。

もちろん、ビートのないアンビエントも大好きなのですが、Ambient Ø のサウンドにリズムを加えることで、

サウンドの可能性が広がり、
楽曲制作がさらに面白くなりそう

だと感じました。

Ambient Øトラック4に任意の音をサンプリングして鳴らせるものの、あくまで環境音的な位置づけのため、細かく制御することはできません。

そのため、別の機材でリズムを加えることにしました。

手持ちのハードウェアでは、Model:Cycles/Cydrums/Digitaktが候補に上がりましたが、いくつか気になる点があり、なかなか決めきれませんでした。

・リズムトラックをそこまで強調したくない
・Ambient Øをメインにしたいので、緻密にリズムを打ち込みたくない
・演奏動画を撮影する都合で、筐体サイズを小さくしたい
・ランダム性のあるリズムがほしい

▶︎▷▶︎ 2機種に絞る

そこで、色々と機材を探していたところ、KD と Crum Drum の2機種が候補に上がりました。

▼ Kastle Drum

▼ CrumDrum

ただし、Crum Drum は以下の理由で見送りました。

・購入が個人輸入
・DIYキットははんだ付けが必要(完成品は高価)
・本体側面にパネルがなく、内部基板がむき出しのため、持ち運びに不安がある

最終的に、KD を選ぶことにしました。


【 購入の決め手 】

・ユーザー動画で聴いたLoFiな音に味があり、自分好みだった
・ランダムなドラムパターンが作れる(シーケンサー非搭載)
・超小型・軽量(70×60×50 mm/約300g)
・ジャンパー線でのパッチが可能で、偶発性が面白そう
・syncによる同期が可能(Ambient Øはsync OUT端子搭載)
・基板むき出しではないため、運搬にも安心
・国内購入が可能
・価格は24,750円(比較的手頃)
・電源はMicro USB(5V)または単三電池×3本

手のひらに収まるサイズ感!
micro USB端子で電源供給(電池駆動も可)
Model:Cyclesに付属のmicro USBケーブルを流用
microB - USB A ケーブル

▶︎▷▶︎ 特に重視したポイント

・自分が好きな音が鳴らせそうだったこと
 (エレクトロニカ的な音)
・ランダム性のあるリズムが出せること
・とにかくコンパクトであること

sync同期ができる点も重要でしたが、MIDI同期ではないため、安定性についてはそこまで重要視しませんでした。


【 気づいたこと 】

2026.6.2 追記

音質変化

ライブで実際に使った際に気づいたことです。
当然かも知れませんが、microB - USBケーブルで音が変わりました。

Model:Cyclesに付属のケーブルとamazon製のもので聴き比べたところ、Model:Cyclesの付属のケーブルを使ったときの方が 音の立ち上がり、レスポンス、音量 にはっきりと違いがありました。

またメーカー公式からもアナウンスされていると思いますが、電池駆動( スタンダードなeneloop )とUSBケーブルそれぞれで駆動した場合においても、音の立ち上がりや音量などにはっきりとした違い がありました。

整理すると、音のレスポンス、音量が良質な順番は以下の通りです。

Model:Cycles付属のUSBケーブル> amazon製 USBケーブル > 電池( eneloop )


予期せぬノイズ

筆者はUSBケーブルから給電して使用しています。

その際、USBケーブルは2個口のアダプターに接続してコンセントに挿していました。

2個口に KASTLE DRUM と別の機材を接続し同時に使用したところ、不要な低周波のノイズが発生 しました。

原因を突き止めたところ、USBアダプターに複数機材を接続し使用するとグランドループが発生しそれがノイズの原因 でした。

ノイズがそれほど関係がない家電製品なら無視できるかもしれませんが、音が重要な音楽においては大きな影響になります。

KASTLE DRUM をUSBケーブルからの給電で使用する際は、USBアダプターを個別に用意することでノイズは発生しない ため、この方法をオススメします。


【 Ambient Ø と Kastle Drumのセッション 】

KD 到着後、試験的に Ambient Ø をマスターにして sync 同期させ、セッションしてみました。

▶︎▷▶︎ Ambient Ø のスペースにぴったり

まず何よりうれしかったのは、KD

Ambient Ø のスペースに
ぴったり収まったこと

です。

動画では Ambient Ø の VALUE ノブにかぶるような位置に配置していますが、ロゴの周辺スペースにも設置できました。

今後、作品として演奏動画を撮影する際にも、両方の機材が自然な構図に収まりそうな気がします。


▶︎▷▶︎ サウンドについて

肝心の音については、

LoFi で味のあるノイズやドラムサウンド

が鳴らせて、とても気に入っています。

個人的には、2000年代初期の múm(ムーム)などに代表されるエレクトロニカのリズムトラックを思わせるような、

ランダムさが心地よい有機的な質感

を感じました。

ある程度音色やパッチのバリエーションを試した後は、一つひとつの音をサンプリングしてライブラリ化しようとも考えています。


▶︎▷▶︎ sync同期について

sync 同期は今回が初めての使用だったので、まだ学ぶことは多いですが、完全ではないものの、ある程度制御できている手応えはありました。

右からI/O端子、micro USB端子、出力端子

接続方法は以下の通りです。

Ambient Øsync OUT をステレオミニケーブルで KD 側の I/O 端子(側面)へ接続

KD 本体の I/O「L」端子から「CLK IN」端子へ、ジャンパー線で接続

不安定な感じがありましたが、この方法で、KD 側のクロックが Ambient Ø に同期するみたいです。


【 最後に 】

パフォーマンス用の機材を選ぶ際、演奏動画の撮影も意識しています。

あくまで個人的なこだわりですが、複数の機材がフレームに収まると、どれがメインか分かりにくくなってしまうため、

構図的にできるだけシンプルにしたい

と思っています。

その点、今回購入した KD は、Ambient Ø のリズムトラック的な役割を補いながらもサイズが非常に小さいため、

映像内で自然と
「サブ機材」としての
立ち位置が伝わるのが魅力

です。

また、一般的なグルーヴボックスのように細かくプログラムはできませんが、その代わりに

ランダムなビートを生み出せる点が特徴

です。

この予測できないリズムが、
Ambient Ø の穏やかで緩やかな
サウンドと良いコントラストを生み、
曲全体にユニークなグルーヴ感

を加えてくれます。

今後も、この組み合わせを活かしながら、さまざまな制作や演奏を試していきたいと思っています。

また、新しい演奏動画を公開する際には、note上で解説記事も発信していく予定です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

▼ 演奏動画を制作し『撮影のコツ』について記事を書きました。



【 開封の様子 】

ステッカーなど
単三電池3本でも駆動可


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