① 雰囲気のいいアンビエントを演奏する時のコツ
※内容の充実を図るため、予告なく更新する場合があります。
今回の記事では、ハードウェア機材を使用してブライアン・イーノに代表されるいわゆる
「古典的なアンビエント」を
ライブで演奏する時のコツ
をシェアしたいと思います。
主に初心者の方でアンビエント音楽を演奏することに興味がある方に向けてポイントを絞って書きます。
演奏動画を撮影したり、ライブや配信で演奏する時の参考にしていただければ幸いです。
内容はあくまで筆者の主観的な考えですのでご了承ください。
▼アンビエントの作り方は以下の記事を参考にしていただければと思います。
【 前提 】
アンビエントは弾き語りやPOPS、ロックなどと違い
極力メッセージ性をなくし、ダイナミックな展開を避け、
穏やかな音色、緩やかな変化、空間の奥行き感が特徴
です。
そして
音を鳴らす場所との調和が重要
になります。
【 ライブでの機材選び 】
シンセサイザーなどの電子楽器での話になりますが、「機材選び」のポイントは以下です。
・シンセ音源とシーケンサーがあること。またはある程度の小節数をループできる機能がある
・クオリティの高いリバーブ
ひとつずつ説明していきます。
・シンセ音源とシーケンサーがあること。またはある程度の小節数を
ループできる機能がある
アンビエントにも色々なスタイルがあると思います。
筆者のオススメは、どちらかと言うとギターやピアノなどの生楽器を「A→B→サビ→間奏といった展開」があったり、「人力で間違えずに演奏する」というスタイルではなく、それらの楽器を演奏したとしても、
シーケンサーやルーパーを
再生しながらゆっくりと
音を変化させていくスタイル
です。
そういったスタイルのアンビエントに向いている機材はたくさんあります。例えば、Torso S-4、Elektron model:cycles(以下、mc表記)、KORG volca modular、LIVEN Ambient Ø、LIVEN Evokeなど
シンセ音源とシーケンサーが内蔵された機材
をオススメします。(音源がドラムだけのものを除く)
▼SONICWARE LIVEN Ambient Ø アンビエント特化型マシン
MIDIについて理解されている方は、音源とシーケンサーを別々に用意しても表現の幅が広がるのでいいと思いますし、機材へのコストを下げて、できるだけコンパクトにしたい場合は音源とシーケンサーが一体となったLIVEN Ambient Øなどのgroovebox(グルーヴボックス)がいいと思います。
機材選びのポイントは
ランダムに音を変化させることが
できるかどうか
です。
例えば、mcの場合、シーケンサーにそのまま打ち込むと64ステップ(1小節に16分音符が16個 それが4小節)ですが、音符の単位を変更できるので打ち込むフレーズによっては4小節以上も可能です。

またステップ(音が鳴るひとつの単位)ごとに音を変化させてそれを記録できるパラメーターロックと呼ばれる機能があるため、フレーズをループさせながら非常に多彩な変化をつけることができます。
他に有力な機能として、打ち込んだ各ステップの発音確率の変更ができます。
実践的な使い方の例としては、以下があります。
シーケンサーにフレーズを打ち込む
ステップのいくつか発音確率を変更
トラックごとに異なるステップ数に設定
こうすることで、シーケンサーを再生するだけで自動で無限に変化していくサウンドスケープを作ることができます。
この状態の上にさらにノブを回して音色変化を加えると、展開のバリエーションを増やすことも可能です。
▼mcについて詳しくは下記の記事をご覧ください
他には、modern soundsのセミモジュラーシンセ「pluto」(プルート)には2つのオシレーターにそれぞれ4ステップのシーケンサーが付属しており、タイミングをランダムにできる機能があります。

先ほどのmcと比べると音のバリエーションは少なく、シーケンサーに打ち込むということができず、できることは限られています。
しかし、制限はありつつもパッチ(信号の流れ)を組むことができ、リアルタイムに各ツマミを触ることで
偶発的な要素(=ランダム性)を
音楽に取り入れることが簡単
にできます。
またMIDI入力がついているので、MIDIキーボードを接続するとノート情報を送れたり、外部のシーケンサーや機材とクロック同期することもできます。
他の機材ではRolandのサンプラーSP-404MKIIやAIRA Compactシリーズ、Ableton Moveなどもアンビエントに使えると思います。
話がそれますが、
機材を選ぶときは、できるだけ
自分の直感を大事
にした上で、スペックや価格を考慮して決めることをオススメします。

売れてるから、他の人も使っているからといった理由で決めると、買ってしばらくして使わなくなったり、別の機材を良く思うようになるかもしれません。
経済的に無理をしすぎて、あまりにも高すぎる機材を買うことはオススメしませんが、予算を考えつつ、
手が出せそうな範囲で
その時の自分が
ピンときた機材
を選ぶといいと思います。
・・・
・クオリティの高いリバーブ
メインの機材の次に重要な機材はリバーブエフェクターです。
リバーブエフェクトは
古典的なアンビエントには
欠かすことができない
重要な要素
です。
極論をいうと、先ほどのメイン機材のコストを削ってでも、
質の良い
リバーブエフェクターを
そろえること
をオススメします。
例えば、単体だと音色もいまいち、S/N比も悪く、パッとしないシンセサイザーだとしても、
クオリティの高いリバーブエフェクトを通すと雰囲気のいいアンビエント音楽になる
ことはよくあります。
例えば、筆者がライブで愛用している機材にHologram Microcosm(マイクロコズム)があります。

このエフェクターにはグラニュラーエフェクト、リバーブ、ルーパー、ディレイ、フィルターの機能があり、乱暴な言い方になりますが、これ一台あればどんな機材でもアンビエントな雰囲気を作ることができます。
2024年12月現在、日本では取り扱う代理店がなくメーカー直販になり、個人輸入になるため保証等を考えると入手しづらい点が残念ですが、とても便利で優れた機材ですのでオススメです。
すでに紹介したgroovebox等に質の良いリバーブが搭載されている場合は、別途リバーブエフェクターを買う必要はないかもしれません。
しかし、もし音源機材を複数使う場合は別途リバーブエフェクターを用意した方が最終的な音作りおいて便利です。
他に良さそうなリバーブエフェクター(ペダル)をいくつかご紹介します。
STRYMON / Cloudburst
ストライモンのリバーブの中でも価格がリーズナブルな製品。コントロールできるパラメータは限られていますが、
24bit/96kHz A/D & D/Aコンバータ、
32bit浮遊演算方式の高音質で
どんな楽器にでも使える
透き通るように美しいリバーブの質感
を加えることができます。
コンパクトで軽量(340g)なので持ち運びしやすい点もいいですね。入出力がTRSなのはコンパクトにした代償だと考えたいです。
・・・
STRYMON / BigSky MX
同じくストライモンのリバーブの上位機種。リバーブの音色は説明するまでもなく美しいの一言。
高価ですがそれに見合うスペックで
ジャンルや楽器を問わず使え、
長く使える機材
です。
ディスプレイが大きいので操作しやすく、カラーを含む筐体デザインが美しいのも重要な点です。
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Walrus Audio ( ウォルラスオーディオ ) / Sloer Stereo Ambient Reverb BLUE
価格がリーズナブルですがアンビエントで十分使えそうなリバーブ。ストライモンと比べるとそこまでHi-Fiではない気がしますが、
密度の濃いリバーブの音色に特徴
を感じます。
ディスプレイがなく、制御できるパラメータは限られていますが、細かく設定するというより、
ライブ時にその場で直感的に
音を作ってという使い方が
向いてそうです。
コンパクト、軽量(389g)であることも使いやすいですね。
リバーブをモノラルにした時の暖かさや雰囲気は絶妙で、かつmixノブでPanを自由に振れる点はユニークです。
・・・
Meris / MercuryX
Meris(メリス)の高品質リバーブ。
心地いい浮遊感に包まれるような
独特の質感が美しく、
まるでSF映画の世界に
没入しているような感覚
になります。
プリディレイをディレイエフェクターのように使えるので、
実質リバーブとディレイの
ふたつのエフェクトが入っている
ようです。
価格はリバーブと同じように美しく高価ですが、
ダイナミクス、フィルター、ピッチ等
たくさんのパラメータを
自由にコントロール可能
です。
ストライモンのリバーブが広いジャンルをカバーするのに対して、このMercury Xはどちらかというと
電子楽器系の音楽に機能を発揮しそう
な気がします。
とくにリバーブが重要な要素であるアンビエントに使うと
リバーブ自体を
ひとつの音色(楽器)として
存在感を出すことができそう
です。
個人的にカラーリングや筐体デザイン、ユーザーインターフェイス、操作性にも魅力を感じます。次の機材購入の候補でもあります。(高いなあ;笑)
・・・
Old Blood Noise / Dark Light
先にリリースされたDark StarとSunlightのペダルの両方を一つの筐体に融合したペダルです。デザインが個性的ですが、それがそのままサウンドに反映されています。
これまで紹介したどのリバーブとも違う雰囲気です。
モジュレーションが
かかったかのような
揺らぎがあるリバーブ
のように感じます。(レビュー動画での使用設定がそうなっているのかもしれませんが)
どちらかと言うと楽曲に透明感や爽快感ではなく、幻想的な美しさを取り入れたい時に使用するといいかもしれません。
古典的なアンビエントに使用する場合は、リバーブ自体に強い個性があるので、
使用する楽器や音色を
慎重に選ぶ必要がありそう
です。(音色に関して合う合わないがはっきりしそう)
ちなみに上記動画のサムネではサイズが大きいですが、実際はもっとコンパクトです。(サイズ:14.5cm(W)×9.8cm(D)×6.7cm(H))
製品解説は下記リンクのアンブレラカンパニーさんのサイトがわかりやすいです。
・・・
GFI System Solis Ventus
デュアルエンジンを搭載したソリス ヴェンタス。
2 つのディレイ プログラム、2 つのリバーブ、ディレイ + リバーブ、リバーブ + ディレイを好きな順序で使用できたり、ディレイとリバーブから独立して動作する最大40秒のサウンド・オン・サウンドスタイルのステレオスーパーを内蔵している機材。
空へと抜けるような高音質で
美しいリバーブでかつ、
エフェクトのルーティングの
自由度が高いので、
アンビエントの音作りに重宝しそう
です。
大きなディスプレイと操作したくなるような洗練されたユーザーインターフェイスも魅力的です。
・・・
【 おすすめシンセ 】
鍵盤に抵抗がなければですが、Arturia MINI FREAKはアンビエントはもちろん幅広いジャンルで長く使えると思います。
フィジカルモデリング含む音源の種類が非常に豊富でオシレーターを2つ合成でき、アナログフィルターと質の良いエフェクターを搭載し、エディットしやすいインターフェース、外部入力を含む入出力端子も豊富で値段もそれほど高くなくほぼ隙がない仕様です。
ぱっと見のデメリットは37ミニ鍵盤、6音ポリくらいかと思います。
使いやすそうなシーケンサーも搭載しているのでそれでループを組むも良し、別にシーケンサーもしくはルーパーを用意して音を重ねてもいいと思います。
音源の種類が非常に充実し、出音のクオリティも高く、音作りがしやすい非常に魅力的なシンセサイザーだと思います。
【 さらに雰囲気を出せるもの 】
音源、シーケンサーまたはルーパー他に
使うとアンビエントの
雰囲気を出せるもの
を紹介します。

古典的なアンビエントはメロディーを聴かせたり、groove感で場を盛り上げるというのではなく、
空間との調和に大きな特徴
があります。
それは「演奏する場所と音との調和」の他、演奏を聴いているリスナーが、目を閉じて頭の中に浮かべている風景(=場所)との調和も含まれます。
その風景をさらに鮮明にするような音のアプローチが有効です。

例えば演奏する内容に合わせて森の音や都会の雑踏をフィールドレコーディングした素材を重ねたり、風鈴などをマイクで集音してエフェクトしたりがあります。
こうすることでリスナーの脳内にあるイメージが広がり、空間の奥行きを作ることができます。
それらの音(素材)は
いわゆる音の質感(テクスチャー)
となるため、料理で言うところの「隠し味的」な効果があります。
テクスチャーとなる音単体を聞いても退屈ですが、
音楽的な演奏と重ねると
絶妙なアンビエント効果を発揮
してくれるからです。

シンセサイザーなどの電子音だけでなく、
環境音や生楽器の音を重ねることで、
アンビエント音楽としての
「深み」や「厚み」を表現
することができます。
・・・
次回はライブで実際にアンビエントを演奏する際のポイントについて書く予定です。
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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