40代、体まで壊すわけにはいかない
正直に言うと、
この仕事を始めてしばらくは食事のことなんてほとんど考えていなかった。
どうもこんにちは、更科暁斗です。
朝は菓子パンひとつ。
昼は、だいたいコンビニ。
仕事中は、時間的にも場所的にも、コンビニくらいしか開いていないことが多い。
選んでいるというより、そこに行くしかなかった。
そんな感覚に近い。
カップ麺に、おにぎりを三つくらい追加する。
とにかく腹が満たされればいい。
そんな感じで、運転の合間にかき込んで、また運転席に座る。
今思えば、血糖値なんて爆上がりだったと思う。
しかも、それだけ食べているのに、家に帰ってからも普通に食べていた。
仕事中に食べて、帰ってからも食べる。
今なら「そりゃ太るわ」と思う。
でも当時は、特におかしいとも思っていなかった。
「こんなもんだろう。普通だよ、ふつう」
そんなふうに、どこか開き直っていた。
体力を使う仕事だし。
食べる時間もバラバラだし。
外に出ている以上、食事が雑になるのは仕方ない。
そうやって、私は自分に都合のいい言い訳を並べていた。
食事に気をつけるようになったのは、今から一年くらい前のことだ。
それまでは、二人前くらいの量を平気で食べていた。
というより、それが自分の普通だった。
きっかけは、ひとつではない。
小さな違和感が、いくつか重なった。
まず、ズボンのボタンが閉めづらくなった。
これは地味に効く。
体重計の数字より、服のほうが容赦ない。
「いや、これは洗濯で縮んだだけだろう」
そう思いたくなる。
でも、そんな都合よく腹まわりだけ縮む服なんてない。
次に、街を歩いている時だった。
ふと、店のガラスに映った自分のシルエットが目に入った。
思わず足が止まった。
「あれ、誰だこのデブのおっさん??」
いや、もちろん自分である。
分かっている。
分かっているのだが、受け入れたくなかった。
自分の姿というのは、毎日見ているようで、案外ちゃんとは見ていない。
鏡の前では、無意識に都合のいい角度で見る。
でも、街中のガラスは遠慮がない。
真正面から、現実を突きつけてくる。
極めつけは、久々に会った人から言われた一言だった。
「太った?」
これには何も言い返せなかった。
「いや、最近ちょっと忙しくて」
「服が厚いから」
「むくんでるだけ」
そんな逃げ道を探そうとしたが、口から出てこなかった。
図星だったからだ。
仕事柄、毎日それなりに歩いてはいる。
運転の仕事とはいえ、実際にはかなり歩く。
車を引き取りに行く。
駅まで歩く。
また現場まで歩く。
「運転の仕事なのに、こんなに歩くのか」と思うくらい歩く日もある。
それでも太る。
★ちなみに普段どれだけ歩いてるかはこちらの記事で
つまり、単純に食べすぎていたのだと思う。
そして、基礎代謝も若い頃とは違う。
歩いているから大丈夫。
体を使う仕事だから大丈夫。
そんな話ではなかった。
ようやくそこで、少しずつ食事を見直し始めた。
最初に変えたのは、朝ごはんだった。
菓子パンをやめて、納豆と味噌汁にした。
正直、最初は面倒だった。
袋を開ければ食べられる菓子パンに比べたら、納豆と味噌汁はひと手間ある。
でも考えてみれば、私は日本人である。
ずっと日本の食材を食べて生きてきた先人たちの体の延長に、
自分の体もある。
それが合わないわけがない。
もちろん、難しい栄養学を語れるほど詳しいわけではない。
たんぱく質がどうとか、発酵食品がどうとか、専門的なことを偉そうに言うつもりもない。
ただ、菓子パンだけで朝を済ませるよりは、納豆と味噌汁のほうがまだ体に良さそうだ。
最初は、そのくらいの感覚だった。
それと、今の仕事にしてから、睡眠時間だけはしっかり取るようにしている。
これも、何か大げさな決意があったわけではない。
体を動かす仕事だから、寝ないと単純に持たない。
そして何より、運転の仕事は、眠いままやっていい仕事ではない。
少しの油断が、自分だけではなく、誰かを巻き込むこともある。
一瞬で、取り返しのつかないことになる。
だから睡眠は、健康のためというより、仕事をする上での最低限の準備になった。
一年経った今、当時と比べると体型はだいぶ変わった。
仕事でかなり歩く。
そこに加えて、食事も少しずつ見直した。
今では、一日にどれくらい栄養を摂っているか。
カロリーがどれくらいか。
自分なりに気にするようになった。
昔の自分からしたら、なかなか信じられない。
まさか自分が、カロリー表示を見る人間になるとは思っていなかった。
昔なら、たぶんこう言っていた。
「そんな細かいこと、いちいち気にしてられるか」
でも、40代になると分かる。
体は、思っているより正直だ。
雑に扱えば、そのぶん返ってくる。
寝不足も、食べすぎも、運動不足も、若い頃よりごまかしが効かない。
若い頃なら、多少無茶をしても翌日には戻っていた。
でも今は違う。
無茶をした分だけ、ちゃんと残る。
腹にも残る。
疲れにも残る。
顔にも残る。
嫌になるくらい、正直に出る。
とはいえ、別に禁欲的な生活をしているわけではない。
酒はやめていない。いや、やめられない
誰かと飯を食べる時は、細かいことを考えすぎず普通に楽しむ。
揚げ物を食べる日もある。
菓子パンを完全にゼロにしたわけでもない。
それでいいと思っている。
ずっと気を張っていたら、たぶん長続きしない。
健康のために始めたことなのに、それがストレスになってしまったら本末転倒だ。
大事なのは、完璧にやることではない。
崩れっぱなしにしないこと。
私は、そこなのだと思う。
以前の私は、食事が雑になってもこう言い訳していた。
「運転の仕事だし、時間もバラバラだし、仕方ない」
でも今はそうは思わない。
運転の仕事だからこそ、体を雑に扱ってはいけない。
歩く仕事だからこそ、食べ方を考えたほうがいい。
眠気が危険につながる仕事だからこそ、寝ることを軽く見ないほうがいい。
この仕事を続けるためには、自分の体を整えることも仕事の一部なのだと思う。
仕事も、生き方も、私はまだ立て直している途中だ。
副業で失敗したこともある。
仕事が続かなかった時期もある。
遠回りもしてきた。
情けないと思うことも、何度もあった。
それでも今、どうにか働いている。
どうにか生活を立て直そうとしている。
だからこそ、今さら体まで壊してしまったら元も子もない。
人生を一発逆転させるような、派手な話ではない。
菓子パンをやめて、納豆と味噌汁にした。
カップ麺とおにぎり三つを、少し見直した。
睡眠をちゃんと取るようにした。
ただ、それだけの話だ。
でも、40代の立て直しなんて、たぶんそのくらい地味なところから始まる。
服がきつくなった日。
ガラスに映った自分に、少し引いた日。
「太った?」と言われて、何も言い返せなかった日。
あの日の小さな違和感を、見なかったことにしなくてよかった。
体を整えることも、働く力の一部だ。
今は、そんなふうに思っている。
次回は、少し重たい話を書こうと思っている。
過去に起こしてしまった、ある事故のその後のことを。
楽しい話ではない。
むしろ、できれば触れずに済ませたい話でもある。
でも、今も運転の仕事をしている自分にとって、避けて通れない話でもある。
体を整えること。
眠気を甘く見ないこと。
運転席に座る前の自分を、ちゃんと作っておくこと。
それは、ただの健康管理ではない。
誰かを傷つけないための準備でもある。
そんな話に、次は少し踏み込んでみようと思う。
