マチュピチュまで4時間半の鉄道旅が一人旅最高のコンテンツだった【女一人、世界一周】
だいぶ日が空きました。世界一周、いよいよクスコからマチュピチュ村へ向かいます。前回はこちら。
列車の車両や車窓は30秒の動画にもまとめています。
シャトルバスでオリャンタイタンボ駅に向かい、観光列車に乗り換えるのが最も一般的なルートですが、私は市中心部のサンペドロ駅から列車だけで行くこといしました。
日本語のおもてなし
10月31日早朝6時すぎ、キャリーケースをクスコのホステルに預け、リュック一つでサンペドロ駅へ。列車には大きな荷物を預けられないため、前泊・後泊するクスコ市内の宿が預かってくれます。

列車が止まるのは1日数回だけのサンペドロ駅は、見落としてしまいそうなほど地味なたたずまいでした。駅前にいる女性からコーヒーを買い、駅舎に入ると、乗る車両のドア近くに2人の乗務員が立っています。

パスポートを見せると、同世代とおぼしき男性が「こんにちは。さなえ」と日本語であいさつしてくれました。
その後、
若い男性乗務員が先導してくれ、「景色がいいこちらの席にどうぞ」と、チケットとは違う席に案内されました。
早朝の列車だからか、タイパとコスパが悪いからか、席は1~2割しか埋まっておらず、4人が座れるボックス席を一人占め。

先ほど日本語であいさつをしてくれた男性がやってきて、英語で「私はルイスです」と名乗ってから、所要時間や設備の説明を始めました。
しばらくすると『コンドルが飛んでいく』のBGMが流れ、列車がゆっくりと動き出します。音楽の教科書に載っていた曲を地球の裏側で聴く日が来るとは。いや、ここが曲の原産地なんだけど。
スイッチバックの連続
出発した列車は、のろのろと急勾配を登り始めました。スイッチバックの連続で進んだり戻ったり、自転車の方が速いのではないか。

列車の大きな窓の向こうには、クスコの市街地では見ることができない、幼稚園や朝の市場といった、この地に根を下ろしている人の暮らしがあります。

列車が出発して20分ほどすると、通学している子どもたちの姿が目に入りだす。学校や職場に向かう人々と並走するかのように列車はゆっくりと走行します。

ここは景色的にはいまいちだから、オリャンタイタンボ駅までバスで向かうルートが主流なのですが、その土地の「日常」が好きな私は、こういう素朴な光景に旅情を感じるのです。
コカ茶のサービス
40分走ってようやく隣駅であるポロイ駅に着きました。まだスイッチバックがあるものの、列車は徐々にスピードを上げていき、建物が減り、窓の外には家畜らしき動物がちょくちょく現れるようになります。
午前8時半を過ぎると日差しが車内に入り込み、高山病特有の息苦しさがスーッと消え、標高が下がったことが分かりました。スマートウォッチで血中酸素を図ると、数字が改善していてほっとしました。
スイッチバック中は休憩していた乗務員も仕事を始め、軽食を配り始めました。ルイスがコカ茶にお湯を注ぎながら日本語で「こんにちは。砂糖はいりますか」と聞いてくれます。

車内を流れる民族音楽のBGM、天窓越しに広がる真っ青な空。映画の中にいるような、あるいは大自然の中でティータイムを楽しんでいるような、不思議な没入感。
有名な景勝地が近づくと、乗客が少なくて余裕があるのか、あるいは一人旅の筆者を気にしてくれるのか、その都度若い乗務員がやってきて、指をさして教えてくれます。
空いているから、車内を歩いて反対側の窓から写真を撮るのも自由。サン・ペドロ発の列車はいつもこんな感じなの?だったらすごく穴場じゃないですか。
車内販売でインカコーラ
到着まであと1時間半のところで車内販売が始まりました。ワゴンに乗っているビールやワインを見て「お酒は苦手」と首を振ると、ルイスが「ペルーに来たならインカコーラを飲まなければ」と一押しします。
ペルーの国民的炭酸飲料で、コカ・コーラもその牙城を崩せなかったというインカコーラ。黄色い液体の味は想像もできないけど、そう言われたら買わないわけにはいかない。

コーラと引き換えにルイスにスマホを渡しました。彼はカメラの設定をいじってポートレートモードで私を撮ってくれました。日本語読めないだろうに、操作も慣れている!

発車から4時間20分後、マチュピチュのある駅に到着。あっという間でした。
シャトルバスと観光列車の「王道」のルートだと列車の乗車時間は1時間半。それこそ一瞬なんじゃないかと思います。
誰かとの旅だと、列車の中で喋っていて景色を見落とすとかあるあるですが、1人だと外をぼーっと見たり、乗務員とコミュニケーションしたり、動く書斎的に本を読んだり、この空間を堪能し尽くせました。

窓からの景色は最も安いエクスペディションの座席でもそう変わらないと思いますが、長い列車旅だからこそ、ビスタドームにしてよかったと思いました。
