米国の土木建設の流れをざっくり説明してみる
世界中が大荒れですが土木建設需要は高まる一方。もうしばらくは止まらないでしょうね。人が住めるところが減っていきますから。
ノンビリしている場合じゃないんですよ。
しかし未だに人任せの認識の方が多いでしょう?文句だけは言って。
汚染されれば文句言う。災害が起きれば文句言う。インフラが調子悪かったり高かったりすると文句言う。政治や税金に文句言う。そんで研究者や専門家が必死で分析して、エンジニアが採算ギリギリで知恵絞って改善方法を提案しても、今度は私たちが悪者のように言いがかりをつけて来る。伝統的な文化を守れとか、ここにいる全ての生き物を守れとか、無理難題を言ってくる。訳の分からない政治家や怪しげな団体が、自分の都合で難癖付けて来る。じゃあ何もしないから、その土地が水の底に沈んでも、インフラ崩壊しても、仕事無くなって生活できなくなっても知らんよ、と言うとまた文句言う。そうやって何十年も無駄に過ぎていく。
土木建設と言っても色々な種類があります。近所の水道管工事から、鉱山の沈殿池から都市部の高層建築と駅とトンネルとインフラが融合したようなものまで、もうなんでもありです。アメリカの広大な土地と産業、防衛・軍事の歴史を見れば、大スケールの建設が常に多数進行しているのしているのは想像できますでしょう。
私は単なる技術要員なので大した知識はありませんが、知っている範囲でアメリカの比較的大型の土木建設の流れを、難しい言葉は使わずにざっくり書いてみます。
まず政治でどの事業をやるか決めるところで何年も掛かります。
そして資金枠を決め予算が通らないといけません。日本も同じと思いますが、この時点で大変な時間と労力が使われます。
そして次にこの事業をやる意義、どんな問題が想定されるのか、やらなかったらどうなるのか、経済的・技術的に実行できるのか、文化や環境へのインパクトはどうなるのか、保全はどうなるのか、などなどの評価をします。大きな事業では、大学の研究室が何年もかけてシミュレーションすることもあります。
上記をクリアしても、政治的な理由、住民の理解が得られないなどで、ボツになることもあります。災害が起きて多数の犠牲者が出る事を考えると哀しくなります。
無事に事業が始まると、発注者、建設マネジメント、各種エンジニアリング・設計会社とのチームが組まれていきます。契約の方式は色々ありますが、それぞれが独立して責任を負い、互いを監視し合うので、不明点、問題点、変更すべき点があれば、正式な手順や書類を通しレビューされ、透明性が担保される仕組みです。
そのため、最初から100%完成した設計を作るのではなく、コンセプトから始まり、30%、60%、90%デザインと段階を経て、ファイナルに至るまでのやり取りがあります。この辺のカルチャーも日本と少し違うかもしれません。
設計が完成しても、施工側にとってはここがスタートです。
基本、
ここ抜けてる。ここ矛盾してる。つかこれ無理じゃね?
から始まります。何年もかけて企画、設計されたものもそうなります。
間違いではないのですよ。
設計者が用意するのは完成形であり、そこに至る建設途中の段階を含めた設計では無いからです。つまり施工者はもっと現実的なところ、施工時に発生する現実的な誤差や実際にある材料や機材のスペックも想定して修正していきます。
設計だけではありません。交通整備、安全性、各種インフラの整備、掘削の手順、天候・気温の制約、文化的イベント、祝日、保護動植物、歴史遺産、騒音・振動ルールなど、様々な要因を考慮して工程を作ります。
想定外を想定するような作業をしていきます。
入札の際、施工側は質問しまくります。場合によっては変更も求めます。入札のタイプによっては、設計図と違う工法を提案することもあります。
発注者側の方から、技術的により確実、安全で効率の良いものが求められる事もあります。その結果、工費も抑えられるとなれば、選ばれる可能性が高くなります。
この手間を省くために、発注者が30%や60%の中間設計の時点で施工側の企業に技術的提案と予算を出してもらう形をとるケースもあります。最近はこのケースが増えている感じがします。
実は上記の過程での施工計画が私の主な仕事です。
部分的にAI化しようとはしていますが、ネットに無い知識も含めて、これだけの情報を複合的に考察するには、人間がチームを組んでやるしかありません。
ここ東海岸ではかなり古い資料を読むこともあります。額縁に入れたくなるような図面、部材やフォントに陰影ついた、お札かい!って図面もあります。なんと、こういうのもAIが読み取れるようにしようとしている企業もあるようです。
しかし問題はそこでは無い。それが読めたところで、昔の座標系違くね?からスタートですからね。デジタル化、データ化したところで終わりではないのです。
そういえば、むかーし東京で水道管設計のバイトをしていた時も、水道局でマイクロフィルムで保存された現水道管図面をプリントしてもらうところからのスタートでした。あれはデジタル化されているのだろうか。
現代の最初からデジタル化した資料、図面、調査データもバラバラのソフトで作られたバラバラのフォーマットです。これではお札図面と大して変わりません。
なので送られてくるほとんどの公式ドキュメントはなんとPDFです。
そしてバラバラのスケールと。どうしてなの。涙
なぜかというと有資格者の署名とハンコが付いている契約文書だからです。改ざんされたら一大事。関係者が同じものを共有しないといけません。なのでPDFなのです。日本も同じですか?
というわけで、仕方が無いのですよ。
全世界の企業が、世界基準データベースに合わせる事に同意し、高度なAIが使えるコンピューターとそれを扱える人を保有し、過去のお札図面やタイプライターで書かれたデータも、いちいちデジタル化し、ハッカーに改ざんされたり悪用されることなく共有できる世界だったらいいですけれどね。
米国が単位を合わせる気が無いのはわざとな気がしているこの頃です。
建設DX は、建築や設備など、工程が予測可能で部品をアイテム化しやすい部分、事務処理、測量、写真、管理記録としては有用ですが、この辺は課題も多いのではないでしょうか?
さて入札に勝ち、法的な手続きを無事終えて(流すがここも大仕事)ここまで辿り着いたとしましょう。ここでやっとBIMが登場します。
でも今のところ提出物保管庫、ドキュメント・ビューアみたいな役割で、提出物はまたPDFだらけです。笑
積極的にDX進めているゼネコンでも、専門要員が施工計画や現場とはちょっと違う位置にいて繋がりが薄い印象です。やたら立派な3D現場レイアウトをPDFで貰ったりします。でもさっきのミーティングでレイアウト変わったんだけど…みたいなのが、連動されて更新されたの見たことが無いのです。
結局、自分たちがPDFから起こして図面描いてPDFで提出するという…
PDF地獄。
でもこっちの方が実用的で見てもらえるというね。
そして、検査、施工完了、竣工図、報告書と、またPDFだらけになると。
お。10年前にやったとこのすぐ隣のビルも建てることになったぞ。
あの時のデータ見てみよう。
