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第15話 科の木 ー 片我れ

 で、山形の人たちは、そこの場所に小学生の頃とか、そういう時に見学に行ったりするのが当たり前だったの。

※現在画像制作中!

 「エッ、科の国っていう長野県の国の名前の始まりなのにもう今はもう山形県にしかないの?」

うん!

 「そこって行ってみたいな櫻ちゃんは行ったことある?」

 でも少し捲し立てるように早口で言った…
うん実はね、
桜先生こと武田先生(#オジィちゃん先生)
から話を聞いていて、いつか! って憧れていたの。

そうしたら、私のいとこによしこちゃんっていう子がいて。
 昔、小学生の頃かな?
よしこちゃんが一緒にどう? って、連れていってもらったことがあって。
そこの公開してる、機織りをしているところとか、そういうのを見たことがあるわ。

 「私絶対行ってみたい。
ねえ、いつかって絶対連れてってよ!」

もちろんよ。 一緒に行こう。

「でもさ、それって変じゃない?」

何が?

「だって、なぜか山形には信濃の国が 2つもあるでしょう!? 」

 2人はその時にある山形出羽国と信濃の国の縁を、ただの不思議な縁ではなく、何か確実な縁を感じ始めていた。



 と、
そうこう言ってると、
お目当てのあんかけ焼きそばがやって来た!

 ママが、ゆっくりお召し上がれ、と言ってくれた。

二人は、わぁ〜 いただきまぁ〜す!

 桜、ありがとう…
でも、ごめんね…
 さっきの話を聞いたら、
どうしても、ここのあんかけ焼きそばが食べたくて…

 だって、これで帰っちゃったら、ずっと食べなかったことを山形で後悔しちゃうでしょ?

  私も食べたかったから、大丈夫! と、言ったら、ママが「まぁ、なんて嬉しいことを…!」と言ってくれた。

 二人は食べはじめて、大喜びしながらニコニコしてまるで双子の兄弟幼少期からの友達、ずっと一緒の幼稚園も小学校も中学も高校も一緒に育ったような仲良しのお友達がそこにいるように美味しそうに頬張り、
上田名物に舌鼓を打ったのです。

 しばらくして、
二人の話し声がしはじめると、
頃合いを見計らってママが来てくれた。

お皿、下げるね、と言ってテーブルを片付けてくれた。

 しばらくすると、
いちごジュースは、食後すぐだと口に合わないから、コレを飲んで少し休ませてね。
良かったら声をかけてね、と言ってプーアル茶を出してくれた。

 口の中がスッキリするのと同時に、
朝からの興奮が、ゆったりとした午後の時間になってほのぼのと寛ぎはじめた。

 櫻がママに、
実は私もう一つ、後ろ髪を引かれたくない事があって…、聞いてもいいですか?

ママが何? と答えると、

 何で、そんなに桜ファミリーと仲良くなったのかが知りたくて。
困っているところを助けてくれたから、だけじゃない気がして…
何だろうと思ったら、それを知りたくて…

 私はいいけどと言うと、
桜も、私も聞きたい! と言うと、
少し待っててね、といって店を準備中にした。

 いちごジュースを運びながら戻ってきて、
私も座っていい? といいながら隣の席に座って、お店閉めたから他に誰もいないからね、と一言いって、
 もしかしたら、女性同士とか男性同士とか、お互いに分かる話があったせいかもしれない…


 そしたらね、実は桜ちゃんのお母さんが教えてくれたのよ。
 なんで 1年間も外へほとんど出なかったのか?

 そうしたら、お母さんが妊娠した初期の頃に、つわりがひどくて動けなくなったり、そんなことでご飯も食べれなくなって、とっても辛い時期があって、その後もそういう体調不良もあって、マタニティブルーみたいになっちゃってたんだって。

 で、外へ行くのが嫌で、だからお父さんは少しでも早く帰って、家のことをやったり、買い物もお父さんが行ったり、お母さん自身ももともとは内向的な人じゃないから、こんなんじゃ自分もダメになっちゃうって焦る気持ちばっかりだったんだって。

 そうしたら、お宮参りもあって、久しぶりに外に出たところ、心が晴れるような思いをして、おじいちゃん、おばあちゃんが来て桜ちゃんのことを大喜びしてる姿を見て、自分の子供がこんなに喜ばれるんだ、
 そういう思いの中でだんだん気分が晴れていってお宮参りの翌日少し出てみようかって気分の良さそうなお母さんにお父さんが言ったところあんかけ焼きそばが食べたいって、そう言ってくれてそれで実は来てくれた話はさっきしたよね?

 実はイチゴジュースを飲んでみたら、食が進まなかったお母さんが、
それがきっかけで食べれるようになったんだって。

 それでお父さんはうちの弟と仲良くなって、店の帰り道にファームに寄って、実は奥さんの体調が悪いんだけれど、もしよかったら加工にするような規格外の安いのを、そういうものが出た時でいいので送ってもらえないかと尋ねてみたところ、弟はいいよと言ってくれたそうで、お父さんはほんとに感謝していたようで、
 それから、弟がちょこちょこ送ってくれるようになって、お母さんはそれが楽しみで食べているうちにどんどん回復したんだって。

 そうしたら、数ヶ月後に実は大喜びで来たのがなんと山形のさくらんぼを持ってきてくれたのよ。


 実はね、そのさくらんぼには、
ちょっとした物語があって、さくらんぼってこんなに高いのになんでこんなにたくさん持ってきてくれたのかと思ったら、
お父さんの知り合いのなんていうのかな読み方がわからないんだけど、

 「寒い」っていう字を書くところに住んでいる。
軽部さんという知り合いが、そこは農家じゃないのね。

 でも奥さんの実家が佐藤錦という木のさくらんぼ農家で、
ところがお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんがもうみんな歳でできなくなって、いつも軽部さんの奥さんは足繁く実家へ通ってさくらんぼのお手伝いをしてたんだって。

 である日、兄弟にも聞いてみたらみんな仕事が忙しいということから軽部さんご夫婦がメインになって、さくらんぼ栽培を手伝うことになった、そうしたら初めてのさくらんぼなんだけど、形が悪いけどって友達のさくらパパのとこに送ってきてくれたんだって。

 これから奥さんがさくらんぼ農家をメインにして仕事していくからよろしくねって、
 それで箱を開けてみたら、お父さんがびっくりして見てみてって、お母さん何これって。
 そうしたらこれさくらんぼじゃないよねって。
なんでこんなにでっかいの? って 2人でびっくりして、すぐに 2人で食べてみたら、実は美味しいけどこれさくらんぼの味じゃないよ? ねって。

 なんだろうな何だろうって 2人で考えたら。
お父さんがアッこれ!
すっごく熟した完熟のもうトロトロの柿みたいになった。ネクタリンの味だ! ってお母さんもそうそう、普通のさくらんぼの味じゃないよね。

  2人で美味しい美味しいって食べたんだって、それで友達のお祝いに注文をして、お母さんの実家とかにも送ってもらってお世話になってるとこにもついでに送ってみたんだって。
 でもみんなこんな立派なの美味しかったヨ! って言うだけでそれ以上の反応がなんかあんまりイマイチだったんだって。

自分たちはこんなに大騒ぎして食べるぐらい美味しいのにねって。

 そしたら友人の軽部さんがなんか気の毒だなって、これはこんなに美味しいってみんながもっと伝えてあげないと。

 みんなの声をもっと伝えたら、もっと頑張れるよねって、そうお父さんが言ったんだって、
実はねそうしたらお母さんが、時々弟が送ってきてくれるイチゴを食べて元気が出たのとそのさくらんぼを食べて、本当にようやく普通のご飯が食べれるっていう風に戻ってったんだって。

 それで、でもどうしたらいいんだろうって悩んでたんだって。
 コレ、分かる人って他にいないよね…って 2人で顔を見合わせてたら…

 それで慌てて取り寄せて上田まで来てくれたんだって。
どうしてもマスターと私に食べてもらいたいって。

 そして、いつも送ってくれている弟のところにも、このさくらんぼを買ってお礼にって置いてきたんだって、そんなこと言ってくれるなんてもうほんとに嬉しいじゃない。
それでね 1つ食べさせてもらったの。

 そうしたらさ、ほんとよもうびっくりするぐらいほっぺが落ちるかって思うぐらい美味しくてマスターも私も声が出てええって大喜びしたの。
これがさくらんぼの佐藤錦って大きなスーパーや青果店で結構お値段高く売ってるけど、みんなこんなんじゃないよ。

 普通のさくらんぼのサイズだよ。
そしたらお父さんがやっと嬉しいあのイチゴがわかる人たちがこんなに褒めてくれるなんてと、そう言って大喜びしたのよ。

 それでその美味しい評価のメッセージを伝えるために、送ってくれたお礼にと弟の所のイチゴを買ってくれて、その中にメッセージを入れて、お友達の山形のさくらんぼ農家の軽部さんのところに送ったっていうのね。
 だからお父さんの中にはきっと山形の友情があって、
だから山形の人たちにはどうしてもこのイチゴを食べてもらいたい。
そういう思いがあったんだろうなって…

 私そう思ったのよ。もう間違いないわ。
はぁ、ほんとにこんな風に山形と縁があるなんてなんて素敵なの…!



 だから、お父さんは櫻さんが山形の人だって聞いて、大切なお客さんだと思ってお迎えしたかったんだね〜…

二人のさくらは、お腹も心も満たされました。

 2人が食べたお代はいちごジュースやコーヒー、紅茶を入れたらもっと本当は高いのに封筒にある分だけ黙ってマスターが受け取ってくれました。

 本当においしいモノばかりを、ありがとうございました!
そう言ってお礼を言うと、

 ママが、
私たちもいま出るから、駐車場まで一緒に行こう、ちょっとだけ待ってくれる? と話をしてきました。

 すると、
実はちょっとマスターが少しだけ時間を欲しいって言ってるの、
いいかしら? そんな時間取らさないから。
 少しだけ一緒に行ってもらいたいんだけど。

 あっ、どこですか? って、
駐車場へ向かいながら話をして歩いた。

 そう、お城のところ門の入り口に一緒に行きたいんだ!
マスターとママと 4人でお城に向かいました。

 そして、真田石の前に行くと、
マスターがおもむろに、バッグの中からカメラと三脚を出して、立てはじめた。

 ママが、
実は、マスターの唯一の趣味が写真なのよ。
四人で一緒に記念写真を撮ってもいいかしら?
と言うと、二人はもちろん!と応えた。

 マスターが嬉しそうに、
それでは失礼、といって並んでくれた。

 ママが、一言…
私たちの夢が叶ったわ…と呟いた。

 二人は、何か深いものがあると感じて、
ただ黙って立っていた。

 すると、ママが、
実は私たちの息子が若くして亡くなってしまってね、
正直、私たちずっと落ち込んでいたの。

 そんな時に、
何も言わずに、飛び込んで助けてくれたお父さんの行為が、後ろ姿を見て息子とまったくそっくりで…
漏水でビックリしていたのもあったけど、
どこかに、面影を見てたのね…

 そして、お礼も言わずに消えてしまって…
本当に、私たちの窮地を息子が一瞬だけ助けに来てくれたかと思ったわ…

 そうしたら、
ある日、その息子が家族で孫まで連れて帰って来てくれて、
私たちは本当に時間が止まったようだったわよ…

 そうして、今日ったら…
孫が二人になっていて、来てくれて…

 桜ちゃんが来てくれて、
もう20年くらいになるよね…
私たちの凍って止まっていた時計が、
今日、動きはじめたって感じたの…

ありがとう…

 そう言って、
マスターとママは、二人に頭を下げた。

 桜…
帰りも、上田まで送ってくれる?

 「もちろんよ。
帰りは、お父さんとお母さんと、
四人でもいい? と櫻に尋ねる。」

 ママは、泣きながら、
二人の孫、桜と櫻を抱きしめた。

 そんなことない。
私は心を救ってもらいました、そう櫻が言った。

 もうそれが心に傷も跡形もなくなったんだから、もう忘れなさい。
ママが言ってくれて、櫻はハイと返事をした。

 ここに置いてきなさい。
この真田石はね不動の石動かざるを石ここに置いておけば、その思いはもうずっとここに封じ込められて山形に行かないから大丈夫とうなずいて、
さあ早く帰るようにしなさい。

 弟にはまた今店を出たからって伝えとくからね。
パーラーの方にいるからそっちへ来るように言って言ってたから、先にパーラーのほうに顔出してね。

はい。そう言って 2人は上田の街を後に捨てファームへ向かった 。



羽州 出羽国、 信州 信濃国

 この二つの國は、
二つではなく、一枚の紙の裏表…

 片割れではなく、
片我れ…
表は自分の片側…
裏は自分の片側…

前と後
右と左
上と下

 それは、表でも裏でもなく、
それで、一つの姿…

 古の太古の昔から、
東山道という大動脈で結ばれ、
山形と長野は切れることなく、今も一つである。



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【本作品について】

 『さくら咲く』は、原案モデル監修型ストーリーとして、さくら咲くプロジェクトが制作しています。
 実体験と貴重な資料を基に、歴史文化の伝承をより多くの方へ届けるため、
キャラクターに仮託して描いたセミフィクションの紙芝居型ストーリーです。


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さくら咲くプロジェクト公式
【さくサク通信vol1】

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