【MySpace の Facebook への完敗】なぜ2006年世界最大のSNSは3年で消えたのか?
序章:史上最大の転落
2006年、MySpaceは世界の頂点にいた。

ユーザー数:1億人超
訪問者数:🇺🇸米国で最も訪れられるウェブサイト(GoogleとYahoo!を超える)
月間ページビュー:240億PV(Googleと同レベル)
News Corpによる買収額:5.8億ドル(2005年)
しかし、わずか3年後の2009年…
Facebookに追い抜かれる
ユーザー離れ加速
広告収入激減
そして2011年6月:
Specific MediaとJustin Timberlakeに3,500万ドルで売却
買収額の約1/16
何が起きたのか?
この記事では、世界最大のSNSがわずか3年で消えた理由、
News Corp(Rupert Murdoch)の失敗、カスタマイズ自由の文化がなぜFacebookのシンプルさに敗北したのか、
そしてJustin Timberlakeという意外な登場人物まで、
MySpace衰退の全貌を明らかにする。
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第1章:MySpaceの誕生と爆発的成長(2003-2005年)

創業者たち(2003年)
Tom Anderson(トム・アンダーソン):
カリフォルニア大学バークレー校卒
インターネットマーケティング企業eUniverse勤務
Chris DeWolfe(クリス・デウルフ):
Tom の同僚
eUniverseのマーケティング部門
誕生のきっかけ
2003年当時のSNS:
Friendster(2002年創業):当時最大のSNS
しかし、速度遅い、バグ多い
Tom と Chris の考え:
「もっと良いSNSが作れる」
「音楽とカスタマイズが鍵」
2003年8月1日:
MySpace.com 正式ローンチ
革新的機能
1. プロフィール完全カスタマイズ:
HTML/CSS使用可能
背景画像、音楽、動画埋め込み
**「自分だけのウェブページ」**感覚
2. 🎵音楽特化:
アーティストがページ作成
ファン直接交流
楽曲試聴可能
3. Top 8 Friends:
親友8人をプロフィールに表示
誰を選ぶかが社会的イベントに
4. "Tom"がデフォルトフレンド:
全ユーザーの初期フレンドがTom Anderson
親しみやすさ
爆発的成長📈(2004-2005年)
2004年:
ユーザー数:500万人
音楽アーティストが続々参加
Arctic Monkeys(後に世界的ヒット)
The Killers
Lady Gaga(初期キャリア)
2005年初:
ユーザー数:2,500万人
1日あたり新規登録:20万人
文化現象化:
10代の必須ツール
「MySpace URL教えて」が挨拶代わり
「Top 8 から外された」= 友情破局
Google検索ランキング(2005年):
検索語1位:"MySpace"
第2章:News Corp買収 - Murdochの大勝利?(2005年7月)
Rupert Murdoch の野望
Rupert Murdoch(ルパート・マードック):
News Corporation会長兼CEO
メディア帝国:Fox、Wall Street Journal、20th Century Fox等
2005年当時の危機感:
インターネットに出遅れ
若者離れ(テレビ→ネット)
「デジタルメディアを支配せよ」
買収劇(2005年7月)
競合:
Viacom(バイアコム):MTV等保有
News Corp vs Viacom の入札戦
News Corp勝利:
買収額:5.8億ドル(約620億円、当時)
対象:MySpaceとその親会社Intermix Media全体
当時の評価:
「高すぎる」批判多数
しかし、Murdoch:「若者へのアクセスに5.8億ドルは安い」
Tom ViacomのCEO Tom Freston:
買収失敗で2006年解任
後に「感謝状が欲しい」とジョーク(買収しなくて正解だった)
買収直後の成長加速
2005年7月-2006年:
ユーザー数:2,500万人 → 1億人超
わずか10ヶ月で7,500万人増
月間新規登録:600万人
2006年6月:
米国で最も訪問されるサイトに
Google超え
Yahoo!超え
2006年時点:
ページビュー:240億PV/月
Alexa USランキング:4位
第3章:最盛期(2006-2008年) - しかし暗雲

ピーク(2008年4月)
ユーザー数:
🌐グローバル:約1億1,500万人
🇺🇸米国:7,000万人
売上(2008年度):
8億ドル
主に広告収入
Google広告契約(2006年8月):
3年契約、総額:9億ドル
MySpace検索・広告をGoogle提供
しかし、問題が顕在化
問題1:広告だらけ
News Corp、収益最大化に走る
ページに広告増加
ユーザーエクスペリエンス悪化
読み込み遅い
問題2:スパム・フィッシング
セキュリティ脆弱
迷惑メール・フェイクプロフィール増加
問題3:性犯罪者問題
未成年者と性犯罪者の接触懸念
2006年:性犯罪者プロフィール削除開始
しかし、イメージダメージ
問題4:技術的負債
カスタマイズ自由 = コード複雑化
ページ読み込み遅い
モバイル対応遅れ
問題5:経営陣の混乱
Murdoch、「Fox コンテンツ配信に使えない」と不満
2009年6月:Peter Chernin(News Corp COO)退任
Tom Anderson、Chris DeWolfe、Murdochの側近から外れる
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第4章:Facebook の台頭(2004-2009年)

Facebook誕生(2004年2月)
Mark Zuckerberg(ハーバード大学生):
「TheFacebook.com」ローンチ
当初:ハーバード学生のみ
特徴:
実名制
シンプルなデザイン
クリーンなインターフェース
カスタマイズ不可(全員同じデザイン)
拡大戦略
2005年:
全米大学に拡大
ユーザー数:550万人
2006年9月:
一般開放(13歳以上、誰でも登録可能)
2007年:
Facebook Platform発表
アプリ開発可能(Zynga等が台頭)
2008年:
ユーザー数:約1億人(MySpaceと同レベル)
なぜFacebookが勝ったのか
理由1:シンプルさ
MySpace:カスタマイズ自由→ごちゃごちゃ、読み込み遅い
Facebook:クリーン、速い、直感的
理由2:実名制・本物の友人
MySpace:匿名多い、スパム多い
Facebook:実名→本物の友人とつながる
理由3:📱モバイル対応
Facebook:早くからモバイルアプリ
MySpace:遅れる
理由4:プラットフォーム戦略
Facebook:アプリ開発可能(ゲーム、クイズ等)
MySpace:閉鎖的
理由5:年齢層
MySpace:10代中心
Facebook:大学生(18-24歳)から始まり、大人に拡大
追い抜きの瞬間(2008-2009年)
2008年4月:
MySpace ピーク:1億1,500万ユーザー
2008年5月:
Facebookがグローバルユーザー数でMySpace追い抜く
2009年:
Facebook:5億ユーザー超(全世界)
MySpace:約7,000万ユーザー(米国)
グラフの推移(ComScore データ):
2008年8月から MySpace訪問者数減少開始 📉
Facebook は右肩上がり 📈
2009年、完全逆転
第5章:必死のリストラと迷走(2009-2010年)
Owen Van Natta CEO 就任(2009年4月)
Owen Van Natta:
元Facebook COO(2005-2008年)
Amazon 出身
Murdoch の期待:
「Facebook を知り尽くした男」
MySpace 再生
Van Natta の決断:
30%リストラ(1,000人→700人)
「人員過剰が機敏さを阻害」
しかし…:
News Corp の官僚主義に阻まれる
Google 広告契約(9億ドル)が足かせ
契約上、広告実験できない
新機能開発制約
2010年2月:
Van Natta、わずか10ヶ月で辞任
理由:「変化のペースが遅すぎる」「文化が凝り固まっている」
さらなるリストラ(2009年6月)
400人解雇(従業員の約30%)
残り:約1,000人
リブランディング試み(2010年11月)
"New MySpace":
音楽特化SNSへ転換
デザイン刷新
しかし、時すでに遅し
第6章:News Corp の大損失売却(2011年6月)

売却決断
2011年時点のMySpace:
月間ユニーク訪問者:約4,500万人(ComScore、2011年1月)
Facebook:7億ユーザー超
Twitter にも追い抜かれる
News Corp:
累積赤字
Murdoch:「もう無理」
Specific Media + Justin Timberlake
2011年6月29日:
Specific MediaとJustin TimberlakeがMySpace買収
買収額:
3,500万ドル(推定、約37億円)
News Corp、5%未満の株式保持
比較:
2005年買収:5.8億ドル
2011年売却:3,500万ドル
損失:5.45億ドル(約94%減)
Specific Media:
Tim VanderhookとChris Vanderhook 兄弟経営
オンライン広告会社
Fortune 500企業にサービス提供
Justin Timberlake:
シンガー・俳優
映画「ソーシャル・ネットワーク」でSean Parker役
MySpace に個人出資
クリエイティブ・ディレクター就任
Timberlake のコメント:
「ファンがアーティストと交流し、音楽を聴き、映像を見て、かっこいいモノを発見し共有できる場が求められています。MySpaceはその可能性を秘めています」
さらなるリストラ
2011年売却後:
従業員:500人→250人以下
第7章:その後の迷走(2011-現在)
"New MySpace"再リブランディング(2013年1月)
Justin Timberlake 登場:
大々的PR
音楽SNSとして再出発
コンセプト:
Spotify + Facebook的な音楽発見プラットフォーム
デザイン刷新(黒基調)
結果:
話題にはなるも、ユーザー戻らず
月間訪問者:約5,000万人(ピーク時の半分以下)
度重なる転売
2015年:
Specific Mediaの親会社、Viantに改名
2016年:
Time Inc. が MySpace買収
2018年:
Time Inc.、Meredith Corporationに買収
MySpace も Meredith傘下に
データ喪失事件(2019年3月)

衝撃の発表:
2016年以前のすべてのコンテンツ(音楽、写真、動画)消失
原因:サーバー移行失敗
失われたもの:
約12年分(2003-2015年)のユーザーコンテンツ
数千万曲
数億枚の写真
動画
影響:
Arctic Monkeys、The Killers等、初期キャリアの貴重な記録消失
ユーザー激怒
現在(2025年):
サイトは存在
しかし、2024年10月、リードオンリーモード
新記事投稿なし(2022年以降)
画像ほとんど破損
音楽再生不可
月間ユーザー:
推定:数百万人(ピーク時の1/100以下)
用途:
一部の音楽アーティストがアーカイブ的に利用
ほぼ消滅したサービス
第8章:なぜMySpaceは失敗したのか - 5つの理由
理由1:カスタマイズ自由 vs シンプルさ
MySpace の強み:
HTML/CSS自由→個性表現
しかし…:
ページ読み込み遅い
ごちゃごちゃして見にくい
スパム・悪質コード埋め込み容易
Facebook の勝利:
シンプル
速い
クリーン
教訓:
自由すぎるのは問題
制約がUXを守る
理由2:News Corp の「メディア企業」視点

Murdoch の失敗:
MySpace を「Fox コンテンツ配信チャネル」と考えた
技術プラットフォームではなく、メディアとして扱う
結果:
広告収益最大化に走る
ユーザーエクスペリエンス軽視
技術投資不足
Facebook との違い:
Zuckerberg:「技術プラットフォーム」視点
ユーザー成長優先、収益化は後
理由3:Google広告契約の呪縛

2006年、9億ドル契約:
短期的には大金
しかし、3年間実験できず
制約:
広告フォーマット変更不可
新機能導入困難
Facebook:
自社広告システム開発
柔軟に実験
理由4:モバイル対応遅れ
2007年、iPhone登場

Facebook:
早期にモバイルアプリ投資
2012年「モバイルファースト」転換
MySpace:
モバイル対応遅れ
アプリ使いにくい
結果:
スマホ時代に完全敗北
理由5:経営陣の混乱
2009年以降:
CEO頻繁交代
Tom Anderson、Chris DeWolfe、影響力失う
News Corp内で優先度低下
Facebook:
Zuckerberg、一貫したビジョン
長期視点
第9章:数字で見る MySpace の栄光と凋落
ユーザー数推移

財務
売上:
2008年(ピーク):8億ドル
2010年:約3億ドル(推定)
2011年以降:非公開、しかし激減
News Corp の損失:
買収額:5.8億ドル(2005年)
売却額:3,500万ドル(2011年)
損失:約5.45億ドル
まとめ:教訓とレガシー
MySpace の功績
1. SNSの先駆け:
世界初のグローバルSNS
Facebook、Twitter等の基礎築く
2. 音楽文化への貢献:
Arctic Monkeys、The Killers、Lady Gaga 等を輩出
アーティスト直接ファン交流の先駆け
3. YouTube、Zynga 等を育てた:
動画埋め込み(YouTube成長に貢献)
アプリプラットフォーム(Zynga、RockYou 等)
失敗の教訓
教訓1:自由すぎる = 混沌
カスタマイズ自由は魅力的
しかし、制約がUX守る
教訓2:メディア企業 vs 技術企業
News Corp:メディア視点→広告最大化→UX犠牲
Facebook:技術視点→ユーザー成長→後から収益化
教訓3:短期契約の呪縛
Google 9億ドル契約 = 短期利益
しかし、実験できず→長期的敗北
教訓4:モバイルは革命
iPhone(2007年)登場 = ゲームチェンジ
モバイル対応遅れ = 死
教訓5:経営陣の一貫性
Zuckerberg:長期ビジョン
MySpace:CEO頻繁交代、迷走
最後に:Justin Timberlake の役割
2011年買収参加:
金額は不明(推定数百万ドル)
クリエイティブ・ディレクター
2013年再リブランディング:
大々的PR
しかし、救えず
Timberlake にとって:
映画「ソーシャル・ネットワーク」出演(2010年)
SNSビジネスへの関心
しかし、商業的には失敗
皮肉:
映画でFacebook側の人間(Sean Parker)演じる
現実ではMySpace(Facebookに敗北した側)に投資
MySpace は死んだが、忘れられない
2025年現在:
サイトは存在(かろうじて)
しかし、事実上消滅
しかし、MySpace は SNS史に永遠に刻まれる:
世界初のグローバルSNS
音楽文化革命
Facebook に道を開いた
最大の教訓:
「世界一」は永遠ではない
技術の世界では、3年で王座から転落しうる
MySpace の物語は、栄光、傲慢、そして凋落の物語だ。
2006年、世界の頂点にいた企業が、2011年には買収額の1/16で売られる。
これが、シリコンバレーの現実だ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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