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一杯の向こう側 -サケマルシェが訊く- 中島智靖氏の器-日々の暮らしで深まる、中島智靖「枯色線紋」の魅力

前編では、陶芸家・中島智靖氏が「人と違うものを作りたい」という強い動機から独自の技法「枯色線紋」を生み出した背景、そして土や炎の動きを作品に記憶させるという哲学について触れました。

前編はこちらから

後編では、この特別な器が実際の暮らしの中でどのように魅力を発揮するのかを探ってまいります。



■育つ器──枯色線紋が見せる「経年変化」

陶芸家・中島智靖の枯色線紋のぐい呑み。白土と黒土の層が削り出され、使い込むほど変化する質感が特徴。
白土と黒土の二層構造が生む枯色線紋の表情。使い込むほど個性が現れる土の組み合わせです。

枯色線紋の器は、使い続けるうちに少しずつ表情を変化させていきます。

外側には白い土が、内側には黒い土が使われています。
使い続けるうちに、外側の白い部分は少しずつこすれたり、陶器が水や湯、手の油分を吸い込むことで、下地の黒がゆっくりと顔を出してきます。

その変化は一気に起こるのではなく、日々の使用の積み重ねの中で、まるで器が育っていくように進んでいきます。

こうした経年変化は、作り手である中島氏が「楽しんでほしい」と考えていらっしゃる要素のひとつでもあります。同じ器でも使い方によってまったく異なる景色が宿り、それぞれの暮らしとともに器が育っていく点が、枯色線紋の大きな魅力であるといえます。


■酒を美味しくする「口当たり」──お酒好きだからこそ見える視点

陶芸家中島智靖作の酒器の飲み口形状と縁の丸みを上から撮影した写真。口当たりや形状、釉薬の質感が分かる酒器写真
やや開いた飲み口の丸みと縁の薄さが、やわらかな口当たりを生み出しています。

中島氏はご自身も日本酒を嗜まれており、その経験が器づくりに直接反映されています。特にこだわっておられるのが、酒が口に入る瞬間の通りの良さ。

「口が厚いと、酒がすっと入ってこないんです」と中島さんは語り、実際、枯色線紋のぐい呑みは実測で約3mmほどと薄手に仕上げられています。

このわずかな薄さが、酒の繊細な風味をそのまま舌に届けてくれるのです。


■ちょうどいい重さと安定感──日常のための設計

陶芸家中島智靖の枯色線紋ぐい呑み。低重心で安定感のある形状、平らな高台、手に持ったサイズ感が分かる写真。
平たく広い底形状により、日常使いでも安定感のある扱いやすさが生まれます。

手に持った瞬間の安定感も、中島氏が大切にされている要素です。
「重すぎず、軽すぎず」を意識し、酒を注いだ際にもっとも心地よいバランスになるよう調整されています。

また底が平たく広いため、酔って肘が当たったとしても倒れにくい構造。酔っ払いにも優しいその細部の工夫が、日々の酒時間に静かな心地よさをもたらしてくれます。


■まとめ

中島智靖 作 枯色線紋 ぐい呑み。手に持った状態で、内側の青い釉と外側の線紋模様が見える写真。
手に取った瞬間に感じる、青のきらめきと外側の枯色線紋の対比が印象的です。

いかがでしたでしょうか?
中島さんの器が、みなさまの酒時間にどのように寄り添うか、少しでも感じていただけましたら幸いです。

中島智靖さんの器づくりの根幹には、「人と違うものをつくりたい」という強い動機があります。その思いから土の層を削り、土や炎が生み出す動きを器に記憶させるという、独自の枯色線紋が生まれました。

そしてその先にあるのは、使う人がふと手に取ったときの小さな驚きや発見です。経年変化で少しずつ表情を変える景色、すっと酒が入る薄い口当たり、日常に寄り添う重さと安定感。

どれもが、暮らしの中で「こんな変化があるんだ」と気づいてもらうための仕掛けとして機能しています。

中島さんの器は、一度手に取った瞬間だけで完結するものではなく、使い続けるほどにその人だけの姿へと育っていく存在です。

その過程で生まれる小さな驚きや愛着こそが、枯色線紋の本質的な魅力ではないかと感じました。


■中島智靖氏の作品に触れるには

中島氏の作品は、サケマルシェのオンラインショップにてご購入いただけます。
購入はこちらから
酒時間を豊かにする一期一会の器を、ぜひ一度手に取っていただければ幸いです。



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