【那須・日光の旅】わいわいドライブと、ピラミッド温泉 その2

ピラミッド温泉の大浴場は、ピラミッドの下層部にあたる。
「わーい!」
と飛び込んだ大きな浴槽は、温度の違いで3つの仕切りに分かれていた。
男湯とを隔てる壁の中央には、ででんと石柱が。
ちょうどピラミッドの中心部に立っている。
ピラミッド・パワーを秘めた石柱らしい。
3人、裸の付き合いで、あれこれと話題を出してゆくが、やっぱり行き着く先は小説のこと。
「わたしさー、夏から秋にかけて長編を2本書いたわけだけど……そのストレスのせいか、◯キロくらい太っちまったよ……」
無念の告白に、月森さんもかお(位ノ花薫)も、目を丸くする。
もうね……お腹、ぷにぷに。
先日なんか、ワンピを着て電車に乗っていたら、観光客らしき黒人のカップルに、笑顔で席を譲られそうになったくらいだ。
すまん……わたし、妊娠してるわけじゃないんだ。
でも、人情は国も人種もこえて、世界共通なんだな……と、少し嬉しくなる出来事だった。
……などなど、とほほでよきエピソードを想起しつつ、体重を嘆きつつ、女子3人であれこれ話題が尽きない。
温まったところで、露天風呂へ。
これが、とても危険だった。
「泉質の都合で、ぬめってるから気をつけてだってさー」
「やばい、まじで滑る!」
木製の浴槽は、お湯の質の都合で、かなりぬめぬめで、立って移動すると転倒しかねない。
「見て見てー、正座しながら移動できるよ!」
わたしは、とてもすごい事実を発見した。
座りながら、両腕でお湯を漕いでみると、すいーっと身体が前へ進むのだ。
つまり、それくらい、浴槽内がすべりやすいのだ。
お湯はさらさらなのに、木材の部分にだけローションが塗ってある……そんな感触だった。
この露天風呂の脇には、『洞窟風呂』という、とても興味をそそられるお湯がある。
それは壁と天井に囲まれた、露天の中の室内風呂のような様子で、すぐそこに佇んでいた。
偵察係を拝命し、
「この露天、お湯から出る時が一番危険かも……」
と細心の注意をはらって地上へ昇り、素っ裸のまま、てくてくと洞窟風呂の様子を確認する。
「中はね、岩とか飾ってある。壁も、なんとなーく洞窟の岩壁っぽい感じに仕上げてある」
観察しながら、そう伝えると、
「面白そうだね」
「次はそっちに行ってみよっか」
2人も興味津々にささやきあっている。
「これで、お湯が存在していれば、完璧だったんだけどね……」
露天風呂から出ようとしていた2人が、とたん、がっくりした。
洞窟風呂は空っぽで、稼働していなかったのだ……。
まあ。
紅葉の時期を過ぎて冬へ入ったら、那須はオフシーズンということなのだ。
◯
ミストサウナでも長話して、いい感じでふにゃふにゃになり、3人ぞろぞろロビーへ戻る。
「この上の階には、黄金大マンダラってのがあるらしいんだけど……」
瞑想室だ。
ピラミッドの上階で、瞑想ができるのだ。
「階段の前に、ロープが張ってあるね」
つまり、閉鎖されているのだ。
人が来ない時期は、ピラミッドパワーも半減せざるをえない……そういうことなのだろうか。

ロビーの片隅にあった「地球遺産」の扉も気になったが、お風呂だけで満足できた3人は、クールにピラミッド元氣温泉を去るのだった。
※後日、公式サイトで調べたら、地球遺産はパワーストーンなどを展示する美術館だった。

ていうか、わたしもだけど、月森さんもかおも、小説書きだけあって、こういう「面白そうなとこ」への喰い付きと好奇心、すごいよね!
普通に無難に綺麗で楽しめるところ、よりも、ハズレの可能性を恐れずわくわく感をおぼえる場所を選ぶってとこが。
ちな、このピラミッド温泉を提案したのは、かおだった。
そのチョイスに、小説家としての非凡さを感じさせる。
わたしは無難に「ホテル・エピナール那須」という、綺麗で美味しくて広い、普通に人気の高いとこしか提案できなかったのに……。


◯
なお、夕食は宇都宮で餃子を……と思ったけど、当てにしていたとこがダメだったので、宇都宮を本拠とする爆弾ハンバーグのお店で、わいわい楽しくおしゃべりしながら、肉に喰らいついたのであった。
翌日は、月森さんと日光ドライブだ。
次回へつづく…… →宇都宮名物の焼き餃子・正嗣と、凜と凍える日光東照宮

