【上田】レトロな喫茶店に、読書はよく合う 亜羅琲珈(あらびか)のホットサンド
前回:【上田】なじみすぎて、旅行というより、もはや帰宅 別所温泉・上松や
わたしの中で、上松やさん史上最大に充実した一泊を終えて……。
たっぷり豊かな朝食を楽しんで……。
(今日は、上田映劇さんで、ついに映画を観るな……)
前から気になってた名画座だ。
上松やさんの朝食の美味しさは、これまで何度も書いてきたけど、今回も軽〜く触れておきたい。
まず、中央の箱膳には、ご飯のお供になるお菜だらけ。
おしながきを見ると……茶樹茸のきんぴら、香の物(梅干しとか)、鶏のナムル風。
手羽先と大根の煮物は濃厚な旨味で、緑色の大根おろしは板長手作り卵焼きに乗せても、ご飯に乗せてもよい。

脇には肉味噌もあって、これまたご飯のお供だ。
そうした、ご飯が進むおかずの前に、信州産りんごジュースをぐいっと飲み干す。
爽やかな甘味とほのかな酸味が、寝起きの身体に染みいる。
てんこ盛りのサラダには、りんごドレッシング。
具材がたっぷり入ったお味噌汁で、食欲が盛り上がってきたところで、ご飯にぴったりのあれやこれやを口へ放り込む。
海苔は「心の自由劇場」と銘打った袋に入っているのが、上松やさんならではだ。



やがて蕎麦の汁が煮たって、そこへ蕎麦と馬肉の時雨煮を投入。
蕎麦の風味に、時雨煮の甘辛さが絡む。




などと堪能している間に、今度は鮭が焼き上がる。
銀鮭の奏龍味噌幽庵笹蒸し焼きという、字面を見るだけでも「なんか……すごく美味しそうだ」というインパクト満載。
これまたご飯が進んで、三杯目になっちまう。
なお、奏龍(なきりゅう)味噌とは、上田の地元味噌で、お味噌汁にも使われている。
そこはかとなく甘味を感じる味噌だ。

満腹になったところで、りんごプリンにて締めくくり。
これを少しずつ惜しむように舌へ乗せながら、
「ああ、これでまたしばらく、上松やさんの味とはおさらばか……次は、いつ来るかな……」
少し、寂しくなる。
○
亜羅琲珈(あらびか)という、レトロな喫茶店がある。
今はなき平林堂書店さんがあった場所の近くで、池波正太郎・真田太平記館もすぐそばにある。
この辺の道筋が雰囲気よく、車を付近に停めては、よく目的もなしにそぞろ歩きしていた。
なので、この喫茶店の前もよく通っていたけれど、入ったことはなかった。
今年の4月、上田城の千本さくら祭りへおもむいた時、上田の魅力を発信し続けているおいでよ上田(おい上)さんと、これまた上田に詳しいくろねこさんとお会いして、知己を得ることができた。
そのくろねこさんがよく行く喫茶店で、SNSでもしょっちゅう紹介していたので、とても気になっていたのだ。
正直に言おう。
てっきり「亜羅珈琲(あらこーひー)」だとばかり思い込んでた。
よくよく見ると、珈琲の「珈」と「琲」が逆だった。
亜羅琲珈(あらびか)が正解だった。

なんて勘違いをしていたなんて、おくびにも出さず、レトロな風情に満ちた入口を涼しい顔で開ける。
中は、期待通りの内装だった。
まるで、時が止まっているかのような空間だ。
古い形のランプがぶらさがり、骨董の柱時計が入り口に鎮座している。
白壁に、暗褐色の柱や梁が走っている。

「うわあ……」
軽く感動していると、
「おや?」
声をかけてきた男性がいた。
くろねこさんだ。
「やあ、のどかさん、奇遇ですねえ」
「ええ、ほんと奇遇ですが、お会いできるかなー、と期待してました」
なんという猿芝居だ。
前日、わたしはSNSで「亜羅琲珈でランチをするかも」とポストしていて、くろねこさんもそれに反応していたのだ。
直接「お会いしませんか」と誘うのも迷惑かなあ……と遠慮して、行くことをほのめかすにとどめておいた。来てくださることを期待しつつ。
まあ、あれだ……わたしは人見知りなのだ。
照れ笑いしながら、奥のテーブルへ。
本当ならホットコーヒーを味わいたいところだけど、さすがの暑さに、
「アイスカフェオレで」
くろねこさんと、ひとしきりお喋りで盛り上がる。
上田の知己が、少しずつ増えてゆく。
嬉しい。
やがて、わたしは読書タイムに移行。
時の流れがゆったりした喫茶店は、読書につきづきしい。

ランチとして、何がおすすめかを訊いたら、ホットサンドを勧められた。
まるで衒いのないサンドだ。
喫茶店では、こういうのを食べたい。
たっぷり山盛りのキャベツを寝床に、焼き目がついたサンドが4切れ。
具はハムときゅうり、そして溶けてはみ出たチーズ。
外枠の焼き固めた部分は、パリパリしている。
ハムとチーズの優しい塩味と、焼けたパンの香ばしさが、鼻腔を満たした。
つづく……【上田】レトロな映画館・上田映劇
