「どんな人が欲しい?」どこまで詳細に描けていますか?
「素直で、元気があって、前向きな人が欲しいんです。」
採用の相談を受けると、こう答える経営者がとても多い。 気持ちはよくわかります。でも正直に言うと、これだけでは採用はうまくいきません。
「素直で元気な人」
それは、ほとんどすべての会社が欲しいと思っている人材の定義で、何も言っていないに等しいのです。
なぜ求める人物像が曖昧になるのか
「どんな人が欲しいか」を具体的に描けていない会社には、共通した背景があります。
まず、「今いるメンバーの何が足りないのか」が言語化されていない。「なんとなく人が足りない」「現場が回らない」という感覚で採用を始めるため、ゴールが曖昧になります。
次に、「その人が入って、何をしてもらうのか」が定義されていない。採用後の業務・責任・期待値が整理されていないまま採用すると、入社後に「こんなはずじゃなかった」が両者に起きます。
そして、「うちで活躍できる人の特徴」を過去の成功事例から抽出できていない。活躍している社員に共通するものは何か——この問いを立てたことがない会社がほとんどです。
専門家がやること
私が採用支援に入るとき、まず経営者と一緒に会社、チームの定性的なゴール、定量的なゴールを確認してから「採用ペルソナ」を作ります。
「〇〇の部署で人が足らないから1人採用したい」
→「(定性的、定量的)ゴールは何ですか?それを達成するためにどんな業務をやる人が足りないのでしょうか?」というように会社の向かうべき方向や現場の業務がイメージできるまで詳細を掘り下げてヒアリングします。
「今一番活躍しているAさん、なぜうまくいっていると思いますか?」 「逆に、過去に採用してすぐ辞めた人、何が合わなかったと思いますか?」 「その仕事を任せるとき、最初の3ヶ月で何ができていてほしいですか?」
こうして掘り下げていくと、「素直で元気な人」が実は「自分で段取りを組める人」「指示を待たずに動ける人」「職人気質の先輩と対等に話せる人」に変わっていきます。
言葉が具体的になると、面接で何を見ればいいかが変わります。 見るポイントが変わると、採用の精度が上がります。
「何となく採用」が続く会社が陥るパターン
採用ペルソナが曖昧なまま面接すると、どうなるか。
面接官が「なんか感じがいい人」を選ぶようになります。 印象で採用し、現場に入れて、「なんか違う」という理由で早期離職が起きます。
これを繰り返すと、採用担当者は「最近の若い人は忍耐力がない」と結論づけます。でも実際は、「合う人を選べていない」ことの方が原因として大きいケースがほとんどです。
製造業の現場でよく見るのは、「手先が器用で一人でコツコツできる人」と「チームでワイワイ動ける人」がまったく違うパフォーマンスを出す、という光景です。どちらが優秀か・どちらがいいかではなく、その現場に合うのはどちらか——これを見極めることが採用の本質です。
最後に
「どんな人が欲しいか」を言語化することは、会社の強みと文化を棚卸しすることでもあります。
人事顧問が採用に入る意味はここにあります。制度や手続きの話ではなく、経営者が「自分の会社に合う人の条件」を言葉にする作業に伴走することです。
一度整理してしまえば、次の採用も、その次の採用も、精度が変わります。
採用がうまくいかないと感じているなら、まず「欲しい人物像の解像度」を上げるところから始めてみてください。
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【著者プロフィール】
人事特化の経営参謀 / 小原裕司(おはらゆうじ)
中小企業の人事課題に特化したコンサルティングを実施。採用、組織開発、人事制度設計を専門とし、これまで50社以上の企業を支援。「大手に負けない採用戦略」「社員が辞めない組織づくり」をテーマに、実践的なノウハウを提供している。
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