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裁量労働制と変形労働時間制の拡充や要件緩和をしないよう求める緊急要請書

連合の芳野友子会長は裁量労働制および変形労働時間制の拡充(拡大)や要件緩和をしないよう求める緊急要請書を上野厚生労働大臣に手渡したました。(2026年5月18日)*追記:翌日(5月19日)連合はサイトに要請書(2026年度 連合重点政策)を公開。これと別に緊急要請をしたかは不明。また上野大臣は記者会見で「緊急要請等をいただきました」と発言(2026年5月20日)


毎日新聞報道

毎日新聞は本日(2026年5月18日)『連合、裁量労働制の拡充反対を緊急要請「長時間労働常態化も」』と見出しをつけた記事の中で「高市早苗首相が上野賢一郎厚生労働相に検討を指示している裁量労働制と変形労働時間制の見直しを巡り、連合の芳野友子会長は(5月)18日、両制度の拡充や要件緩和をしないよう求める緊急要請書を上野厚労相に手渡した」と報じました。

つまり連合(日本労働組合総連合会)芳野友子会長は、裁量労働制や変形労働時間制の拡充(拡大)や要件緩和をしないよう求める緊急要請書を上野賢一郎厚生労働大臣に手渡したということです。

その毎日新聞の記事には「緊急要請書は、裁量労働制について『適用労働者の方が長時間労働の割合が高く、裁量や適切な処遇が必ずしも確保されていない実態がある』と指摘」と書かれています。

また記事によると、緊急要請書には「変形労働時間制の見直しで議論されている労使合意の要件緩和は『結果として長時間労働の常態化や生活時間の設計を毀損(きそん)しかねない』」と記載されています。

そして連合の芳野会長は記者団の取材に応じ、経団連など使用側(経営側)は「裁量労働制の拡充(拡大)は『生産性向上に資する』と主張するが、その根拠はなんら示されておらず、やはり現場の実態をしっかり見てほしい」と述べています。

NHK NEWSは、芳野会長が「裁量労働制の拡充(拡大)によって長時間労働を助長しかねないという危機感を持っているので、丁寧な現場の実態の把握や議論を期待したい。その点は大臣にも十分、ご理解いただけているのではないかと期待している」と話していたと報じています。

時事通信報道

時事通信も本日(2026年5月18日)『裁量制の安易な拡大に反対 連合会長、厚労相に直接要請』と見出しをつけた記事を配信しました。

時事通信の記事には「連合の芳野友子会長は(5月)18日、上野賢一郎厚生労働相と同省で面会し、裁量労働制の対象業務の安易な拡大や要件緩和について『行うべきではない』と反対する緊急要請書を提出した。経済界は裁量制の対象拡大を求めているが、要請書は『長時間労働の割合が高く、裁量や適切な処遇が必ずしも確保されていない』と指摘。現行制度の適正な運用の徹底を求めた」とあります。

また記事には「芳野氏は面会で『今求められているのは誰もが安心安全に働くことができる労働時間法制の実現だ。長時間労働頼みの経済成長ではない』と強調。これに対し、上野氏は『労使の意見を伺いながら丁寧に議論を進めていく』と述べた」と記載されています。

ANNnewsCH動画

ANNnewsCH YouTubeチャンネルは『連合が裁量労働制など巡り厚労省に要請 芳野会長「健康に働ける環境整備が重要」』とタイトルをつけた動画を公開しています。

追記:2026年度 連合の重点政策

連合ウェブサイトは(2026年)5月19日に「5月18日、上野厚生労働大臣に対して『2026年度 連合の重点政策』の要請を実施しました」と記載した記事を掲載しました。

その連合のウェブ記事によると、「冒頭、芳野(連合)会長が上野厚生労働大臣に要請書を手交した後、『今後の予算編成や政策課題の解決に向け、要請内容について検討いただきたい』と述べた後、神保(連合)事務局長から要請事項について、以下3項目を中心に説明を行いました」とのことです。

(1)雇用保険について、一般会計からの機動的な繰り入れなどによる財政の安定化、本来の役割である「労働者の生活と雇用の安定」に向けた機能強化

(2)職場におけるハラスメントの規範意識の醸成、行所管省庁との連携によるカスハラ対策への取り組み支援、ILO190号条約批准に向けた取り組みの推進

(3)介護人材の確保・離職防止に向けた処遇改善、地域の介護サービス提供体制の維持、ICTやAI活用支援した業務負担軽減、カスハラ対策を含めた安心して働き続けられる環境整備

連合ウェブサイト

連合ウェブ記事によると、要請を受けた上野厚生労働大臣は「働く方々、生活者の立場から現場の貴重なご意見をいただくとともに、厚生労働行政の推進にご理解・ご協力いただいていることに感謝申し上げる」と述べたとのことです。また、その後、上野厚生労働大臣および関係局長等から、以下のとおり回答があったそうです。

(1)雇用調整助成金はこれまでの実績を踏まえ必要な予算措置を講じているが、中東情勢による今後の影響について注視していく必要がある。現時点では、雇用情勢に大きな影響は生じていないと考えるが、引き続き緊張感をもって状況を見極めていく。国庫負担については、一般会計から機動的な繰入れが可能な仕組みとしており、財政状況を踏まえつつ、審議会で意見を伺いながら対応していく。

(2)昨年の国会で成立した改正労働施策総合推進法等において、職場におけるハラスメントを行ってはならないことを法文上明確化し、国が規範意識の醸成に取り組むほか、カスハラ対策や就活等セクハラ対策を事業主に義務づけた。これらの着実な施行と履行確保に努める。カスハラは業種・業態に応じた対応が必要であることから、関係省庁と連携して取り組みを進める。なお、これらの対応は、ILO第190号条約の批准に向けた環境整備に資するものであり、条約と国内法制との整合性も踏まえ、批准に向けた検討を進める。

(3)介護人材の確保に向けて処遇改善が重要であり、報酬改定に向けて必要な対応を進めていく。地域の実情に応じた多様なサービス基盤の整備に向け、社会福祉法等改正法案を国会に提出している。ICTやAIなどの新技術の利用促進に向け、都道府県を通じた導入費用の補助やワンストップ相談窓口の設置を進めている。介護現場におけるカスハラ対策についても、全ての介護事業者に対する対応の義務付けや周知徹底をはかっていく。

連合ウェブサイト

なお要請書の2ページには「労働基準関係法制の見直しについては、労働者保護の基本原則を堅持した上で、 労働組合を中核的担い手とする集団的労使関係の強化や、労働時間規制および労働からの解放規制の強化をはかる。時間外労働の上限規制の緩和や裁量労働制の拡充は、『働き方改革』に逆行するものであり、行わない。また、労働監督行政の 体制強化をはかるとともに、長時間労働是正のための監督・指導を徹底する」と記載されています。

追記:上野厚生労働大臣記者会見

上野厚生労働大臣の記者会見が(2026年)5月19日に行われ、記者から「昨日(5月18日)、連合の芳野会長が上野大臣と面会し、裁量労働制や変形時間労働制の要件緩和を行わないよう要請したかと思います。この中であった具体的なやり取りについて教えていただきたいのと、労働市場改革分科会では今月中にも考え方を取りまとめる予定となっていますが、裁量労働制の見直しについては、労使間の意見の隔たりがまだあるかと思います。今後どのように議論をまとめていくのかということも含めてお願いします」と上野大臣に質問しています。

上野大臣は「昨日(5月18日)、連合から、働く者の声を尊重した労働時間法制の実現を求める緊急要請等をいただきました。連合からは、現場の実情を踏まえた、忌憚のないご意見を伺ったものと承知しています。私からは、労働時間規制について、労働市場改革分科会や労働政策審議会において、労使の皆様のご意見を伺いながら、丁寧に議論を進めていく旨を申し上げたところです。また、裁量労働制については、適正な運用が行われれば、労使双方にとってメリットのある働き方が実現できる一方で、制度の趣旨に沿っていない運用がなされた場合には、労働者の健康確保や処遇確保などの観点から問題があるとも指摘されています。こうした点も含めて検討していく必要があると考えています。労働市場改革分科会においては、構成員の皆様から幅広くご意見を頂戴して議論を行っていますが、取りまとめに向けて何らかの方向性を決め打ちしているものではありません。ただ、裁量労働制を含む労働時間規制については、働き方の実態とニーズを踏まえて、運用・制度の両面から、議論を進めていくこととしているので、構成員の皆様の幅広いご意見を丁寧に取りまとめていきたいと考えています」と返答しています。

つまり、記者から「労働市場改革分科会では5月中に考えを取りまとめる予定ですよね」と聞かれて、大臣は「取りまとめに向けて何らかの方向性を決め打ちしはしないし、労働時間規制については運用・制度の両面から議論を進める」と回答。

なお日本成長戦略会議(議長は高市総理)労働条件分科会(分科会長は上野厚生労働大臣)は第1回が3月、第2回、第3回が4月に開催されています。

第3回 労働市場改革分科会の議事録には、水島郁子委員(構成員)は「裁量労働制はうまく機能すれば労働者にとってもよい制度であると考えますが、しかし、裁量労働制と言いながら、早い時間帯に出社を求めるとか、求められる仕事や時間に対する裁量が十分でないとか、裁量労働制がうまく機能しない場面も容易に予想できます。裁量労働制が適正に運用されるために、何が必要でどうあるべきか、慎重な検討が必要であって、労働政策審議会労働条件分科会で議論を深めることが重要な事項であると考えます。拙速な拡大はすべきでないと考えますし、拡大するのであれば、しっかりとした議論と検証が必要と考えます」と発言しています。

つまり「裁量労働制が適正に運用されるために、何が必要でどうあるべきか、慎重な検討が必要であって、労働政策審議会労働条件分科会で議論を深めることが重要な事項である」と意見を述べています。

なお水島郁子委員(構成員)は大阪大学大学院高等司法研究科教授、労働法学者、労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)労働条件分科会委員(分科会会長代理)。

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