海馬年? 【考古学】

謹賀新年。
今年もよろしくです!

年賀状じまいブーム?のせいで、正月のお楽しみが年々少なくなってきました。
しまった方々から代わりにメール等が届くのかというとそうでもなく、お付き合い自体をしまわれちゃった様でなんとも…(涙)
なので、同じ思いをされているかもしれないみなさんの所へ、ソネから賀状を送りつけましょう。
ちょっとだけでもにぎやかしになれば。
くじ付きじゃないけどね~(笑)

2026年の年賀状

なんだかおいしそうなクッキーみたいなのがありますが、これは縄文土器のかけらのイメージです。
実際に粘土で作り、デジタルで加工してみました。
そして右の破片に描かれた、線の内側に縄文を施した図形が「海馬文」です。
名前に「馬」が入っているので、ウマ年の今年にぴったりです!(?)

ただこの海馬文、「カイちゃん」が説明している通り、知る人ぞ知るな感じのマイナー文様です。
縄文土器研究者が100人いたら… 知ってるのは1人いるかどうか?(汗)
検索したって出てこないようなものですから、年明け早々にこんなのをもらった一般の方は、ポカ~ンでしょうねぇ。
ヘンなキャラまでいるし…(笑)

文様の形は、約4,000年ほど前に山陰地方で創り出されたものでして、その周辺で一時期大はやりしました。
ブームになった特徴的な形ということから、何か呼び名があった方が良かろうということで、タツノオトシゴに見立てたのが18年前。
そう、わたしが名付け親なんです。
ただまあ、生物学の新種の命名法のような、厳密な方式はとられていないため、言った者勝ちな世界ではあるんですが(汗)
そして、賛同が得られなければそのまま消えていく…。

先に記したように、知名度の低い呼称ではあるんですけど、地元・山陰の研究者さんには「ご当地もの」ということで認めていただけたようではありました。
その結果、島根の 荒神谷博物館 では、『海馬文様の展開:縄文時代後期の出雲ブランド』と題した企画展が開催されました。
こちら がその紹介ニュース。

残念ながら、名付け親には知らせが来なかったので、実際に観ることはできませんでした。
ニュースなどから断片を集めると、どうやら本物のタツノオトシゴも展示されていたようで。
それが単なる見立てではなく、当時の実際のモチーフだったと勘違いされない展示だったら良かったのですが、最近そのトラップ(?)に引っ掛かってAIにタツノオトシゴの文様(≠ 海馬文)が施された土器の図を描かせて、「これぞ出雲ブランドの海馬文!」としているブログを見つけちゃったので、なんだかモニョモニョ…(汗)

ちなみに、当のタツノオトシゴさんは、そのミステリアスさからか、世界中で縁起物とされているようです。
日本では「竜の落とし子」と書くことから、妊婦さんに縁起が良さそうということで、お守りとしてその干物を携帯してたんだとか。

…こういう「ちなみに」が誤解の元なんですよね~。
展示物の印象の方が文字説明よりは頭に残りやすいですから、ボーッと観てると、「そっかー、縄文人も今と同じで、タツノオトシゴに何かしらの霊力を感じて文様にしてたんだ…。そういえば、出雲の稲佐の浜には海蛇が時々打ち上げられて、大国主命の使いとか言われてるし、当時のタツノオトシゴも同じように…」となる。
いやいやいや、ちがいますからね! 単なる見立て、み・た・て!(笑)

もちろん、文字記録が皆無な縄文時代の話ですから、本当にタツノオトシゴをモチーフにしていたという可能性はゼロにはなりません。
でも、文字はなくとも、土器研究によって文様の変遷は大まかにわかっており、それによると特定のモチーフがあったとは思いづらい。
前に書いた 縄文キノコの話 と同じく、こうやって「古代のロマン」を駆逐してしまうことにためらいがないわけではないのですが、今回はわたしの見立てが「迷信」の誕生を促しかねないので…(汗)

今年の目標のひとつは、この海馬文に関する論文を18年ぶりに改訂することです。
昨年の論文のように難産とならぬよう、ふところにタツノオトシゴの干物を… って、まぎらわしいからやめなさい!(笑)

では、今年もこんな感じでゆるゆる参りますので、お付き合いいただければ幸いです~♪

 【完】

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