縄文きの古 見ぃつけたっ。 【考古学】
考古学の論文を出し、久々にのんびり暮らしておりました。
ただ、今回は枚数制限があったため、書きたかったことの半分しか形にできなかったんです。
だから、完全に頭をオフにはしないよう、続きのことを考えておこうと思いまして。
ということでちょこっと再開したところ… アレレ? これがこうなるならあればああだったんじゃないの!?
…そうです。提出したばっかりなのに、早くもミス、しかも全体に影響する深刻なものを見つけちゃったんです!
アカンやんこれ!!(冷汗)
ちゃんとした出版物の原稿は、書いて終わりではなく、校正もすることになります。
だから修正をするチャンスはまだあるのですが、いやいや、もうそんなレベルじゃなくって、全面書き直しが必要なくらいで…(白目)
なので、もう撤回します!って言ったんです。いろいろと迷惑がかかるから。
でもね、絵の世界と違って締め切りが絶対じゃなかったんですよ…。
ということで今、終わったはずの論文をまた書いているというわけです。
締め切りに追われつつの論文書きという非日常な時間の中、謎の高揚感?があり、確認不足のまま自説を突っ走らせちゃいました。
それがいけなかったんですけど、あのアドレナリン的なものがなければ、そもそも完成しなかったほどの難事業ではありました。
なんか「見えた」気がしたんですがねぇ…(笑)
さて、そんなことをしている合い間に、京都文化博物館で始まった「世界遺産 縄文」展を観てきましたよ。
4年前に世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」から、国宝土偶をはじめ優品・珍品?がゾロゾロやって来たのです。
遠いですし、地理的な範囲も広いので、こうやってまとめて近くで観られるってのは、大変ありがたい機会です。
行ったのは平日の朝イチだったのですが、ひと、多かったです。
たしかに、「縄文ブーム」「土偶ブーム」などという言葉を耳にする機会は増えてました。
ですが、「どうせメディアが作った幻、ないしは一過性のものに違いない」などといぶかしんでいたため、ちょっと驚きましたね。
この調子だと会期終盤には大変なことになるんじゃないかな… 京都の観光シーズンにぶち当たるし!(汗)
展示品は多岐にわたり、興味深いものが山盛りだったわけですが、いちいち語り出したらきりがないので、今回は引っ掛かったものだけ書いてみましょうか。
一番気になったのが、キノコです。縄文キノコ。
もちろん本物じゃなくって、土で作って焼いたもの。
会場ではほぼ全部の撮影がオッケーという太っ腹っぷりだったのですが、あいにく個人ブログに載せてもいいのかという確認を取り忘れたので、展覧会紹介のサイトから頂いてきましたよ。
出典は こちら です。

このキノコさんたち、なぜかけっこう人気のようで、縄文展なんかにはよく出てます。
なんでも、実りへの感謝のしるしだとか、毒キノコの識別用に作ったとか、はたまた幻覚作用をもたらすことから神聖視されていたとか??
※ ここから先は、そうしたロマンを持ち続けていたい人は読まない方がいいかもしれませんので、あしからずです…。
今から10年ほど前に、青森県の大川添(3)遺跡という縄文の遺跡から、鳥形土器とよばれる手に乗るくらいの、鳩サブレ―みたいなシルエットの土器が出土しました。
中には赤い顔料が詰まっておりまして、そしてその口の部分には… 例の「キノコ」がピタッとはまっておりました。
そうです。キノコだと思ってたものは容器の蓋だったんです!
写真で見た方がわかりやすいですよね?
こちらは 青森県埋蔵文化財調査センターさんのサイト からお借りしてきましたよ。
引用の要件は満たしてると思うんですが、しかられませんよねぇ??(汗)

なるほどー、軸を作っておけば蓋がスライドして落ちちゃうのを防止できますね。
じつはこれ、以前から怪しいとは思われていたらしいんです。
中が赤い鳥形土器のすぐそばから、軸が赤くなった「キノコ」が出土した例があったりして。
でも、キノコであることに対する期待にかき消されたのかどうか、なかなかその説は受け入れられなかったようで。
というか、こんな明確な「答え」が出た後でも、依然としてキノコとして出回ってますからね。
さすがに蓋説も併記されつつありますが、それでもズバッと「キノコです!」の方が多いかな。キノコの種類を同定したものも…。
せめて「キノコを模した蓋」くらいにしてくださいよ~。
蓋だとわかったってことの方が、ほとんど答えがわからない縄文考古学においては、ときめくほどに凄いことだと思うんですけどねぇ。
わたしのヘボ論文ではありませんが、期待によって見えないはずのものが見えちゃって、でもその実態はショボい?ものだとわかった場合、それを修正することができるのかどうか?
考古学はロマンあふれる学問ではありますが、研究者・研究機関には心を鬼にして?判明した事実を伝えていってほしいものですね。
それをベースにしていろいろ想いを巡らせた方が、よりリアルで愉快だと思うんだけどなぁ…。
「キノコに似た形をした蓋」は、鳥形土器の赤色顔料を守っておりました。
その顔料を使って何をしていたのかというと、土器に塗ったりしてたんですよ。こんな感じに。
文博特別展のサイト より

赤・黒の漆で塗り分けられております。すごいです!
ほんとに三千年以上前の縄文人が作ったのか?って思いますよね…。
そういえばこれら漆製品の復元品を並べたコーナーもありました。
こちらは写真あげても大丈夫… かな?

デーンとひと抱えもあるようなものが展示してありました。
なんなんですかこれは? こんなのが出土してるってこと、まったく知らなかったんですけど!?(汗)
なんだか存在感がすごすぎて、繊細な「縄文ロマン」がどっか行っちゃいましたよ!(笑)
もしこんな大味な衣装ケースみたいなのが当時の住居には普通にあったのだとしても、蓋説以上にそうしたイメージは普及しなさそうですよね~。
ロマンというのは、われら現代人の(勝手な?)期待でもありますから。
それでは、よりリアルなロマン(?)を抱くべく、論文の修正に戻ります。
超絶マニアックな話なので、「縄文ブーム」であっても誰も見向きもしないでしょうが、また内容をここで紹介したいと思います~。
【完】
