『自分らしさに向かって(仮)』#15
◀︎『自分らしさに向かって(仮)』#14
リリアが向かいの2階の女の子に手招きをしてからしばらくすると、呼び鈴が鳴った。
「もしかして、あの子かしら?」
セバスちゃんがドアを開けると、《ミエル・ミネット》の箱を手に下げた少女がドアの前に立っていた。
「お招きに預かった……ようなので、ココプリ持ってきました!」
リリアが立ち上がり、ドアに近づいた。
「ようこそ。よくいらしてくださいました。私はリリアと言います」
「あなたは、ひょっとしてココさんですか?」
「はい、ココですが……。私、どこかで名前を伝えましたか?」
「いいえ。でも、私もココさんも向かいの2階から、よく通りを眺めていましたよね。何度もお見かけしていました」
ビリーとルナも立ち上がり、ドアの方へ向かった。
「こちらは、ビリーさんとルナさんです。私も今日、初めてお会いしたんです」
「お2人が、あなたは《ココプリ》の名付け親のココさんじゃないかと話していたんですよ」
「はじめまして、ビリーです。よろしく」
「はじめまして、ルナだよ。よろしくね」
「はじめまして、ココだよ。よろしくね」
「あっ!みんなココプリ食べてたんだね!じゃあ、これ《おかわりココプリ》ということでどうぞ」
ココはココプリ6個入りの箱をリリアに手渡した。
ココプリのことや、ルナの錠前好きのこと、ビリーの足が遅いこと、それにルナが毎日のようにビリーからココプリを奢ってもらっていることまで、話題は尽きなかった。笑い声の絶えないまま、楽しい時間が過ぎていった。
けれど、ココ自身のことに話が及ぶと、ココはそのたびに少し黙り込んだ。やがて誰も、それ以上は訊かなくなった。
日も傾いてきて、そろそろお開きにしようかというとき、ココが切り出した。
「また、明日も遊びに来ていい?」
「ええ。明日も10時ごろから、私はここに来ていますから、ぜひいらしてください」
「セバスちゃんが、私たちの代わりに猫を連れてきてくれるから、ここに来れば課題ポイントも少しずつ貯まるし、明日も来るよ!」
「僕も来るよ。ルナにココプリ奢らなくてよさそうだしね……」
「みんなありがとう!」
ココは笑っていた。
みんなと一緒に笑っていた。
それでも、その笑顔はどこか少しだけ寂しそうに見えた。
『自分らしさに向かって(仮)』#16▶︎

※ featuring シンフォニム「秘密と友達のあいだで」
「秘密、葛藤、友達」
※ このオリジナル創作小説の世界観から、Sunoで生成した楽曲です。
それぞれのことばが、
迷いながら創るあなたの、小さな創作のヒントでありますように。
#創作のヒント
#思考のヒント
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Photo: Unsplash
(c) s.f.出版
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