『未来を想い描いて(仮)』#1
唐突に電源スイッチが入れられたように、世界が映り込んできた。以前の記憶は鍵がかかり、その向こうは霧に包まれていた。
森のなかの少しひらけたところに立っている。柔らかな陽射しが肌に触れた。森の湿った香りが遅れて鼻に届く。
「現実なの?」
足もとの土を踏み締めてみると、実感が伴っていた。
「ここはどこ?」
と頭の中でつぶやいた瞬間、目の前に半透明な《Map》という画面が現れた。そこには点滅している白い小さな丸が中央にあった。
おそらく、自分の位置なのだろうと察しがついた。しかし、その他の情報は何もない。
「周囲の情報はわからないのかな?」
新たな半透明の小さな画面が現れた。
———
《気配察知(消費MP:1)を使いますか?》
———
「えっ?魔法?使えるの?」
「ていうか、わたしは誰?」
その瞬間《Status》画面が現れた。
———
《Status》
Name: Unknown
Race: Human
Age:17
Job:Thief
LV:1
HP:10/10
MP:3/3
STR:3
AGI:10
PER:10
VIT:5
INT:20
STA:100/100
———
「えっ?英語?日本語じゃないの?」
すると、画面が変わった。
———
《ステータス(Status)》
名前(Name): 不明(Unknown)
種族(Race): 人間(Human)
年齢(Age): 17
職業(Job): シーフ(Thief)
レベル(LV): 1
HP: 10/10
MP: 3/3
筋力(STR): 3
敏捷(AGI): 10
感覚能力(PER): 10
耐久力(VIT): 5
知能(INT): 20
スタミナ(STA): 100/100
———
「あっ!日本語表記もあるんだね!」
「HPとMPはもう日本語なの?」
「ていうか、わたしは日本人なの?それも、英語が苦手な…。」
「口に出さなくても、画面は出るの?」
すると、また、新たな画面が現れた。
———
《Information》
言葉に出さなくても、思念をシステムが読み取り、情報を提供します。
⬜︎今後、このメッセージは表示しない。
———
という画面が現れた。
「日本語と英語、いい感じに混ぜてくれてるのかな?まぁ、それどころじゃないか。」
毎回このメッセージを出されても困るので、チェックを入れた。
「で、なんだっけ?」
「あっ、気配察知がMP消費1か。MPは3しかないのか…。」
「まぁ、使ってみないとわからないし使ってみようかな…。」
「気配察知!」と、頭の中で唱えてみた。
すると、《Map》画面の点滅している白い丸を中心に円形状に情報が展開された。縮尺も付いていて周囲15mの範囲の情報が航空写真のように表示された。
オレンジ色の小さな丸が前方の森の中に表示された。
「《Map》画面ではなく、前方の森のどの辺にいるかわかるといいのにな?」と、頭のなかでつぶやくと、
「《Map》情報を視覚にオーバーレイさせますか?」と訊いてきた。迷う必要もないので、そうした。
すると、前方の森の中にオレンジ色の丸が現れた。それは周期的に飛び跳ねていた。
こちらには気づいていないようで、向かってくる気配はない。
武器として使えそうなのはダガーが一本だけだった。
気づくと、前方のオレンジ色の丸は消えていた。
「えっ!消えた?」
《Map》画面の端に小さく「気配察知オフ」という表示が目に入った。
「時間制限があるのかな。10秒ぐらいかな?」と考えてたら、
———
《時間計測を行いますか?》
———
「一応、測っておこうかな。」
「気配察知」と念じた。
ほぼ同じ場所にオレンジ色の丸が現れた。移動はしてなかったようだ。
気配察知を2回使ったので、消費MP: 2で残りMP: 1のはずだが、なぜかMP: 2となっていた。
「あれっ?」
と、考えていたら、気配察知継続時間が10.00[s]と表示された。
「やっぱり10秒だね」
しばらくして、また気配察知オフとなった。
その間、オレンジ色の丸はほぼ動かなかった。
「気配察知を2回使ったのに、なんでMP: 2なの?」と考えてた矢先に、MP: 3に変わった。
「???」
「こんなにすぐにMPは回復するの?」
「MP回復時間は10秒以上かかってそうだね。これも調べておこうかな。」
「気配察知」
MP回復時間は15.00[s]と表示された。
15秒でMPが1回復ではなく全回復であれば、気配察知は連続的に使ってもMPはなくならないことになる。
今使えるスキルとしてもう一つ「穴掘り」というのがある。消費MP: 3で、最大直径1m、深さ10mの穴が掘れるらしい。
このスキルの確認とMP回復が全回復なのかMP: 1ずつの回復なのかの確認のため、「穴掘り」を使ってみた。
直径1m深さ10mの穴をつくることができ、その部分の土を少し離れたところまでなら移動させることができた。
MP回復は全回復だった。それで気配察知を連続で使用できることがわかった。
「気配察知を自動で連続使用できればいいのにね?」なんて、考えていたら、
《気配察知を連続使用しますか?》と表示された。
「便利な機能あるじゃん!使わせていただきます!」
気配察知がオンになった。
オレンジ色の丸が森の中から近づいて来ていた。それほど移動速度は速くない。ぴょんぴょんと跳ねて移動してくる。
「カエル?うさぎ?」
オレンジ色の丸と距離をとるように移動した。距離を保ちながら姿を確認しようと目を凝らした。
森の中から現れたオレンジ色の丸はスライムだった。
これならダガーでやっつけられるかもしれない。戦ってみて強ければ、逃げればいい。気配察知の連続使用もできているし。

※ featuring シンフォニム「今を重ねて」
「わからない、自分、想い描く」
※ このオリジナル創作小説をイメージしてSunoにつくってもらった曲です。
それぞれのことばが、
迷いながら創るあなたの、小さな創作のヒントでありますように。
#創作のヒント
#思考のヒント
『未来を想い描いて(仮)』索引
『未来を想い描いて(仮)』#2▶︎
Photo: Unsplash
(c) s.f.出版
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