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『自分らしさに向かって(仮)』#7

◀︎『自分らしさに向かって(仮)』#6

モーリスさんのところを訪ねてから、さらに4日をかけて、追加で受注した猫探し28件すべての聴き取りを終えた。

この4日間で、ビリーが可能性の高い居場所を伝え、ルナが見つけてきた猫は8匹。モーリスさんのところを訪ねる前までに見つけていた3匹と合わせて、達成済みは11匹になった。

2人チームに必要な課題pt、30ptには、まだまだ遠かった。おまけに、ビリーの《気配察知》では、未発見の19匹らしき猫の気配が、すべてフェリス男爵家の居城に集まっていた。

ルナにこのことを伝えれば、後先考えずに突っ走っていきそうだったので、まだ伝えていない。

そのせいで、ルナは、

「ビリーの勘、今回は苦戦してるね」

「課題達成率も評価に入るから、このままじゃまずいよね。最初に28件も受けなければよかったかも……」

などと、好き勝手に言われていた。

ルナは走ってるだけじゃん。見つけてるのは、ほとんど俺なんだけどな。

そんな言葉を飲み込んで、ビリーは苦笑いだけを浮かべていた。

学院の実質的オーナーであるフェリス男爵には睨まれるわけにはいかない。事情がわかるまで、手出しはできなかった。

とはいえ、このままでは実習期間内に課題達成できず、留年してしまう。他の課題を探すしかないと覚悟を決めて、ルナと一緒に学院の依頼リストを見に行くことにした。

仕事探しは1件10ptと、猫10匹分と魅力的だった。ビリーは、学院に依頼してくるくらいだから、そう簡単に見つかる案件ではないだろうな、と浮かない顔をしていた。

すると、ルナが、

「あっ!モーリスさんだよ!」

「ビリー!これ受けようよ!猫10匹分だよ!」

「それだけ難しいってことだよ」

「モーリスさんから借りた、錠前と貯金箱とハサミ、モーリスさんの言う通り、『絶対』にダメだった!」

「ダメ!って何が?」

「錠前は開かないし、貯金箱は取り出せないし、ハサミは切れなかった!」

「それ、ダメじゃん!」

「でしょ!凄いよね!モーリスさん!」

「……」

ビリーには、何が凄いのかが、わからなかった。

「それだけ、ものづくり職人としての技が凄い!ってこと!」

「えっ?」

「確かに、そういう見方もできるか……」

「あっ!仕事、案外見つけやすいかもしれな……」

と、言いかけて、ビリーは口を閉じた。

だったら、なんでモーリスさんは自分で仕事を見つけられないんだろう。

そんな疑問が、ビリーの中に残った。

ビリーが黙り込んでいると、ルナが、

「この間借りた、錠前と貯金箱とハサミ、返しに行きたいから、この依頼受けちゃおうよ!」

ひとりで返しに行けばいいじゃん、と想ったが、口には出さなかった。

あと19pt、獲得しないといけない。

その現実に背中を押されて、ビリーはしぶしぶ頷いた。

『自分らしさに向かって(仮)』#8▶︎

※ featuring シンフォニム「見方が変える」
「才能、見方、評価」

※ このオリジナル創作小説の世界観から、Sunoで生成した楽曲です。




 

それぞれのことばが、
迷いながら創るあなたの、小さな創作のヒントでありますように。
#創作のヒント
#思考のヒント


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Photo: Unsplash
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