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海外の大学は、英語を身につけに行く場所ではありません。いきなり“学問”が始まります【海外大学への道②】

全3回のシリーズで、高校から海外の学校に通い、そのまま現地の大学へ進んで卒業するという道について書いています。

今回はその第2回。
前回は、大学に入る前の3年間で何が済んでいるのか、という話でした。
今回はその先、海外の大学の4年間そのものの話です。

教室で手が挙がらない。これが本当にきついのは、実は大学に入ってからです

海外の学校に入った子が最初にぶつかるのは、「言いたいことがあるのに、手が挙がらない」という状態です。

聞き取れないからではありません。
日本の教室では、黙って座っていることが正しい生徒の姿でしたよね。
その感覚のまま座っているから、手が挙がらないんです。

ただ、高校生のうちなら、まだ大丈夫なんです。
なぜなら、先生も周りの生徒も、「この子は留学生だ」と分かっていますから、言葉が出てくるのを待ってくれます。

問題は、留学経験がなく、日本の感覚のまま大学に入ってしまった場合です。

大学には、その猶予がありません。

ここから先は、その海外の大学が実際どんな場所なのかを見ていきます。
たぶん、多くの方が思い浮かべている大学生活とは、かなり違うはずです。

週に何百ページも読んで、そのうえで自分の考えを書いて出す。それが毎週続きます

日本の大学というと、大教室で講義を聞いてノートを取る風景を思い浮かべる方が多いと思います。
海外の大学は、そこがまるで違います。

授業の前に、指定された文献を読んでくることが前提になっています。
その量が、科目ひとつで週に数十ページ、いくつも重なれば数百ページになります。
そして授業では、読んできた内容について意見を交わします。
読んでいない学生は、その場にいる意味がないんですね。

さらに、数万語に及ぶ長いレポートを、自分の主張と根拠を組み立てて書き上げることも求められます。
教授も、周りの学生も、世界中から集まっています。
その中で自分の考えを言葉にして、議論の場に置く。

これが毎週続いていくのが、海外の大学のリアルです。

成績が下がると、その国にいられなくなります

もうひとつ、知っておきたいことがあります。

留学生は、学生としての在留資格で、その国に滞在しています。
つまり、決められた単位を取り続けられなければ、学生でいられなくなり、そのまま帰国ということになるんです。

日本の大学のように「単位を落としたから、もう1年通おうか」という感覚とは、まったく違います。

しかも成績は、期末のテスト一発では決まりません。
毎週の課題、レポート、そして議論への参加が、そのまま積み上がっていきます。

つまり、最初の学期からずっと結果を出し続ける必要がある。

高いお金を払って渡ったのに、途中で帰らざるを得なくなる可能性もある。
これが、海外の大学のいちばん厳しい部分です。

そのプレッシャーやスキル不足を補うために必要なのが、前回お話しした「アカデミック英語」なんですね。

大学が見ているのは、英語が話せるかどうかではありません

ここまで読んで、気づかれたかもしれません。

海外の大学は、英語を身につけに行く場所ではないんです。

英語は、入学した時点で「できて当たり前」のものとして扱われます。
その前提の上で、いきなり学問が始まる。

見られているのは、専門の中身について自分の考えを持っているかどうか。そして、その考えを根拠つきで人に示せるかどうかです。

日本にいると、留学と聞けばどうしても「英語を身につけるためのもの」というイメージになりますよね。
でも大学留学は、そこがゴールではなく、スタート地点なんです。

この違いを知らずに大学から渡ると、想像していたものとの落差にかなり苦しむことになります。

日本の高校を出てすぐ大学留学すると、最初の1年から2年が“慣れること”に使われます

では、日本の高校を卒業して、いきなり海外の大学に入るとどうなるでしょうか。

前回お話ししたとおり、授業についていけるレベルの英語が育つまでには、5年から7年かかると言われています。
そこに、初めての海外生活も重なります。

その状態で、週に何百ページのリーディングと、長いレポートと、議論への参加を同時にこなしていく。
現実的には、最初の1年から2年は、慣れることにかなりの力を使うことになります。
「多くの人は大学卒業まで5年〜6年を費やしている」という現実もあるんですね。

もちろん、その中で必死に食らいついて卒業する人はいます。
僕自身、21歳で渡米して、アメリカの州立大学を4年で卒業していますから、不可能だとは思っていません。

ただ、正直に言えば、専門をじっくり深められるようになったのは後半でした。

高校から現地にいた子は、1年目から専門の話に入っていけます

一方で、高校の3年間を現地で過ごしてきた子はどうでしょうか。

言葉も、生活も、授業のかたちも、すでに通り抜けた後です。
だから入学した最初の学期から、慣れることではなく、学ぶことに力を向けられます。

同じ4年、同じ学費でも、そこに詰め込めるものがまるで違ってきます。
そして4年をまるごと専門に使えた学生には、他の人が持っていないものが積み上がっていきます。

・世界中から来た学生と、同じ土俵で議論ができる。
・研究室に入ったり、現地の企業でインターンをしたりする機会にも、手が届くようになる。

専門の力と、複数の文化を行き来できる感覚が、同時に育っていくんです。高校の3年と大学の4年、合わせて7年。
長いように見えますが、この積み重ね方をした人は、そう多くありません。

「大学生活なんて、どこでも同じようなもの」と思っていませんか

多くの方が思い浮かべる大学生活は、ご自身が日本で過ごした4年間だと思います。

サークルがあって、アルバイトがあって、その合間に講義に出る。
僕もそういうものだと思っていました。

でも、ここまで見てきたとおり、海外の大学はまったく別の場所です。

読んで、考えて、書いて、話す。

それを4年間続けられるかどうかで、卒業できるかどうかが決まります。
だからこそ、その4年間をどんな状態で(どんな準備をして)迎えるかが、決定的に効いてくるんですね。

慣れることから始めるのか、学ぶことから始められるのか。
その分かれ目が、高校の3年間にあります。

日本で親御さん自身が過ごした大学生活の感覚を、そのままお子さんの4年間に当てはめることはできません。

うちの子には、慣れることではなく、学ぶことにその4年間を使ってほしい。
払う学費が同じなら、中身の濃いほうを選ばせてあげたい。

そう思う方にとって、高校からの正規留学は、重要な選択肢の1つだと言えますね。


次回は最終回です。

その4年間を使い切って卒業した人が、その後どんな場所で必要とされているのか。
「英語ができるなら通訳か商社かな」で止まっているとしたら、少しもったいない話なんです。


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