友達と笑い合える英語は2年で身につきます。でも、大学の講義についていける英語には7年かかります【海外大学への道①】
全3回のシリーズで、高校から海外の学校に通い、そのまま現地の大学へ進んで卒業するという道について書いていきます。
今回はその第1回。
大学で正規留学する“前の3年間”で、どんな違いが生まれるのか?という話です。
日本の高校を出て、いきなり海外の大学へ。その1年目に何が起きるか、想像したことがありますか
「留学するなら、大学生になってからでいいんじゃないか」
そう考えるご家庭は多いと思います。
正直に言うと、僕も中高生の海外留学について学び始める前は、同じように考えていました。
でも今、同じ質問をされたら、答えははっきりしています。
自分が行きたいと思うなら、早ければ早いほどいい。
その理由を、これから3回かけて書いていきます。
今回考えたいのは、日本の高校を卒業して、いきなり海外の大学に入った1年目に何が起きるか、ということです。
もちろん、大学からの留学がダメだという話ではありません。
ただ、その手前(高校3年間)で留学があるかないかで、大学の4年間の中身がまったく別のものになるんです。

英語には2つのレベルがあって、身につくまでにかかる時間がまるで違います
ひとつは、友達と笑い合ったり、買い物をしたり、ホストファミリーと今日あったことを話したりする英語(いわゆる「日常英会話」ですね!)。
もうひとつは、専門書を読んで、レポートを書いて、教室で自分の意見を組み立てて話す英語(いわゆる「アカデミック英語」)です。
言語学の研究では、「日常英会話」が身につくまでにおよそ6か月から2年、「アカデミック英語」には5年から7年かかると言われています。
同じ「英語ができる」というひと言でまとめられていますが、必要な時間はまるで違うんですね。
やっかいなのは、「日常英会話」のほうが先に伸びることです。
久しぶりに電話をして、お子さんが流暢に話す声を聞けば、親としては安心しますよね。
本人も「もう英語は大丈夫」だと感じます。
でも、そこから先が本番なんです。
大学の講義で求められるのは、「アカデミック英語」のほうですから。

高校の3年間は、その5年から7年のうちの3年を先に使っておく時間です
僕はこれまで、留学期間ごとに子どもたちがどう変わっていくかを、たくさん見てきました。
最初の3か月は、いちばんストレスを感じる時期です。
相手の話す言葉が聞き取れず、身近な人と最低限の意思疎通ができるようになったと感じるくらい。
ところが1年くらい経つと、英語との向き合い方が変わって、「英語で楽しめる」ようになります。
そして2年を超えたあたりで、大きな変化が起きます。
「英語が分かる、分からない」という次元から、学んでいる内容そのものにフォーカスして“学びを深める”という次元へと移っていくんです。
3年以上になると、「英語はできて当たり前」という基準値に変わります。
ここで大事なことをひとつ。
留学生活が2年を超えた時点でも、アカデミックな場面で使う正しい言葉遣いや、ライティングの表現力は、まだ課題として残っています。
つまり高校の3年間は、5年から7年かかる助走のうちの3年を、先に使っておく時間なんですね。
大学から留学する人は、この助走を、専門課程の勉強と同時に始めることになります。

洗濯は週に1回、お風呂はシャワーだけ。その“当たり前”に慣れるのに、どれくらいかかると思いますか?
海外の生活は、日本と細かいところが違います。
湯船につからずシャワーだけ。
洗濯は毎日ではなく、週に1回程度。
野菜が食卓に出てこない日もあれば、遊ぶといっても出かけずに家で過ごすことが多い。
そして、それぞれの家庭にハウスルールがあります。
夕食の時間が毎日決まっていたり、シャワーを使える時間が決まっていたり。
こうした違いに慣れていく作業には、確実に時間とエネルギーがかかります。
高校生の場合、ホストファミリーや学校の先生方が生活のあらゆる面で手厚く支えてくれる環境で、これを済ませていくことになります。
一方、大学から渡航する人は、同じ作業を、単位と成績がかかった状態で進めることになるんです。
しかも、そばで見ていてくれる家族がいない環境で。
同じ壁でも、越えるときに何を背負っているかが違うんですよね。

税金の仕組みも、ローンの話も、海外の高校では授業で扱います
海外の教育には、日本の学校にはないものがあります。
たとえば、お金の仕組みについて、税金や株式投資、ローンの話までを学校で掘り下げること。
料理や掃除、洗濯、衣服の修繕といった家庭科の授業も充実しています。
選択科目や課外活動も幅広く、プログラミングや映像制作、ロボット作りに1年以上かけて取り組めたり、地域のボランティアや企業のインターンシップに参加できたりもします。
授業のスタイルそのものも違います。
黒板に向かって黙って先生の話を聞くのではなく、答えは教わるものではなく自分で考えるもの。
覚えることよりも、どう考えたかを人に伝えることが重視されます。
そもそも、クラスという単位の教室が存在せず、生徒は自分が選んだ科目に合わせて移動していきます。
これ、大学の学び方とほとんど同じですよね。
高校で3年過ごした子にとって、大学の学び方は“新しいもの”ではないんです。

大学に入った初日、片方は“慣れること”から始め、もう片方は“学ぶこと”から始められる
ここまでの話を、大学の入学初日に並べてみます。
高校から現地にいた子は、言葉の助走を3年分終えていて、生活の違いにはとっくに慣れていて、授業のかたちも知っている。
だから留学生活初日から、学ぶことにそのまま入っていけます。
日本の高校を出てきた子は、その3つを専門課程の勉強と並行して同時に始めることになる。
同じ4年間でも、中身の密度がまったく変わってくるんですね。
海外の高校の多くは、必要な単位が取れた時点で学年が上がるしくみなので、努力次第では3年ではなく2年間で卒業できるケースもあります。
早く始めることは、遠回りではありません。
僕には、これがいちばん効率のいい使い方に見えています。

「授業についていけるの?」という心配は、親が自分の受けた授業を思い出しているだけかもしれません
「うちの子、海外の授業についていけるのかしら」
この不安も本当によく聞きます。
でも、その不安の中身をよく見てみると、多くの場合、思い浮かべているのは日本の教室なんですよね。
黒板に向かって机が縦に並んでいて、先生の話を黙って聞いて、テストの点数で評価される教室。
自分が受けてきた授業の記憶を、そのまま海外の教室に重ねて心配している。
でも、海外の教室はそもそも形が違います。
成績はテストの点数だけでは決まりませんし、宿題に込められた意味も違う。
そこで問われるのは、点数を取る力ではなく、自分がどう考えたかを言葉にする力です。
だから僕は、「ついていけるか」ではなく「日本の学校にはなくて、海外の学校にはあるものは何か」という見方をしてほしいと思っています。
そこに価値を見出せるかどうかが、いちばん大きな分かれ目になるからです。
うちの子には、慣れることではなく、学ぶことに時間を使ってほしい。
同じ4年間なら、中身の濃いほうを選ばせてあげたい。
そう思う方にとって、高校からの正規留学がどれほど効率のいい選択なのか、想像するのはそんなに難しいことじゃないと僕は思っています。

次回は、その先にある海外の大学の4年間の話です。
同じ学費を払っていても、英語と生活に慣れることで過ぎていく4年と、専門を深めることに使い切れる4年があります。
その分かれ目が、実は高校の3年間にあるんです。
中高生が価値観を大きく揺さぶられる経験ができるのが「海外留学」です。
僕も娘の高校留学(カナダの高校に3年間)をきっかけに、親として様々なことを考え、家族で対話を重ねてきました。
そして、この8年間、YouTubeなどで情報発信するかたわら、同じような不安や疑問を抱える皆さんの応援をしてきました。
そうしたすべての経験を1つのカタチにした書籍『中高生の海外留学 知るたび、自分と未来が広がる本』を出版しました!
留学の基礎知識から、英語力、生活の不安、そして親御さんの疑問まで、包み隠さず本音で語っています。
ぜひ手に取ってみてくださいね。

また、これから本気で留学の準備を進めたい、具体的なプランや現地の情報を相談したいという方に向けて、無料相談・無料カウンセリングも受付しています。
アメリカの大学留学経験者であり、娘の高校留学を応援してきた親の立場の留学パパと、15歳で英語力ゼロからカナダの高校に留学したエリンが、皆さんの不安や疑問について、一緒に考えていきます。
無理な「押し付け」や「留学ありき」の話は一切しません。
ぜひお気軽にメッセージくださいね。

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