【読み聞かせの定番】「どうぞのいす」が教えてくれる、優しさの連鎖と交換の哲学
はじめに
:世代を超えて愛される「どうぞ」の魔法
今回ご紹介するのは、作:香山 美子氏、絵:柿本 幸造氏によるロングセラー絵本『どうぞのいす』です。
1981年11月1日にひさかたチャイルドより初版が発行されて以来、40年以上にわたり愛され続けているこの絵本は、2021年時点で累計発行部数140万部を突破しています 1 2 3。
物語のテーマは、非常にシンプルでありながら奥深い「優しさの連鎖」です。うさぎさんが作った一つの椅子をめぐって繰り広げられる心温まる「取りかえっこ」は、子どもたちに「どうぞ」という言葉に込められた思いやりと、与えることの喜びを伝えてくれます。
本記事では、この不朽の名作の魅力と、作者・絵描きが込めた想い、そして読み聞かせのポイントを、信頼できる情報に基づいて深掘りしていきます。
1. 絵本『どうぞのいす』の基本情報
•タイトル: どうぞのいす
•作: 香山 美子
•絵: 柿本 幸造
•出版社: ひさかたチャイルド
•初版発行日: 1981年11月1日
作:香山 美子氏は、詩人・童話作家として知られ、温かいまなざしと子どもの心に寄り添う言葉選びが特徴です 4。絵:柿本 幸造氏は、素朴で温かみのある画風で、物語の優しい雰囲気を一層引き立てています 5。
2. 物語の魅力:「どうぞ」に込められた優しさの連鎖
物語は、うさぎさんが野原の木の下に作った「どうぞのいす」をめぐって、動物たちの心温まる「取りかえっこ」が繰り広げられます。
あらすじの核心は、ろばさんがどんぐりを置き、きつねさんがパンと、くまさんがはちみつと、りすさんがくりと、そして最後にうさぎさんがいちごと交換して持ち帰るという、優しさの連鎖です。
作者の香山美子氏は、「どうぞ」という言葉には、相手を思いやる気持ちが込められていると語っています 6。この言葉は、相手の喜びを想像し、「使ってください」と提案する控えめな優しさを含んでいます。この椅子は、優しさのバトンを渡す場所として機能し、動物たちは次の誰かのために、自分の持っている「一番良いもの」を置いていきます。この「交換の哲学」は、見返りを求めない親切と他者への想像力という、現代社会においても重要なメッセージを子どもたちに伝えています。
3. 作者・絵描きが込めた想い
作者の香山美子氏は、月夜のウサギの姿から着想を得て、誰かのために黙々と椅子を作るウサギの姿に献身的な優しさを象徴させました 7。香山氏は、この物語を「心と心のやり取り」としての「交換の物語」と捉えています 6。
絵描きの柿本幸造氏による素朴で愛らしい動物たちと柔らかな色彩は、物語の温かい雰囲気を完璧に表現し、動物たちが穏やかに「取りかえっこ」を行う平和で優しい世界観を視覚的に確立しています。
4. 読み聞かせのポイントと教育的効果
『どうぞのいす』は、読み聞かせの教材としても優れています。
読み聞かせの工夫
1.繰り返しのリズムを楽しむ: 物語の心地よい繰り返しのリズムを大切に、声のトーンを変えながら読むことで、子どもたちは物語に引き込まれます。
2.「どうぞ」の言葉を強調する: 物語の核となる「どうぞ」という言葉を、優しく、少し間を取って読むことで、その言葉の持つ重みと温かさを伝えます。
3.動物たちの気持ちを代弁する: 動物たちの心の動きを声で表現することで、子どもたちの共感を呼びます。
子どもたちに伝わる教育的効果
この絵本は、子どもたちに以下の影響を与えます。
•共感力・想像力の育成: 次の人のことを考えて行動する動物たちの姿を通じて、他者の気持ちを想像する力が育まれます。
•言葉の力の理解: 「どうぞ」というたった一言の持つ力、そしてその言葉が優しさの連鎖を生むことを学びます。
•交換・共有の概念の理解: 自分のものと他者のものを交換する、という社会的なルールや、共有の喜びを自然な形で理解できます。
おわりに:優しさのバトンを未来へ
『どうぞのいす』は、優しさという見えない財産が、人から人へと受け継がれていくことの美しさを教えてくれる、哲学的な一冊です。
この絵本を読み聞かせることは、子どもたちの心に、他者を思いやる温かい種を蒔くことにつながります。ぜひ、ご家庭や読み聞かせの場で、この「どうぞ」の魔法を体験してみてください。
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