保護者からの質問にどう答えるか:僕なりの思考プロセス
こんにちは。今日もつらつらと書き連ねていこうと思います。
今回は、保護者の方から質問を受けたときの対応について書いていこうと思います。
小児リハビリが他のリハビリと大きく違う点は、親御さんと一緒にリハビリを受けられることです。
言うなれば「お子さんのリハビリ」と同時に「親御さんへのケアや説明」も行っていく。僕自身、親御さんと一緒にお子さんのより良い未来にアプローチしていくことを大切にしています。
親御さんとの関係性を築き、しっかりと治療の説明をすることはとても重要です。
ただ、特に小児リハの経験が少ないセラピストだと、説明が難しかったり、うまく言葉にできなかったりすることもあると思います。
さらに小児リハは、エビデンスが限られている上にかなりの個別性がある分野。だからこそ「どう答えるか」よりも「どんな思考プロセスで答えるか」が大事だと考えています。
そこで今回は、僕がよく受ける3つの質問を例に挙げて、僕ならどう答えるか、どんな考え方で答えているかを紹介します。
よくある3つの質問
「いつ頃歩けるようになりますか?この子は治りますか?」
「週1回通うだけで大丈夫ですよね?家では何をすればいいですか?」
「遊んでいるだけに見えるんですが、これって意味あるんですか?」
質問1:「いつ頃歩けるようになりますか?この子は治りますか?」
この質問は本当に多いです。
僕は基本的に 断言はしません。
歩けるかどうかは多くの要素が絡むため、一概には言えないからです。ただし、歩行獲得の可能性が高いケース(例:片麻痺のお子さんなど)については、その旨を伝えるようにしています。経験的には多くのケースで3歳頃までに歩行を獲得するので、その目安を伝えます。
一方で、重度の障害があり独歩が難しいと考えられる場合でも、「歩けません」とは言いません。
代わりに、
「歩くためには足裏の感覚を整えていきましょう」
「まずは安定した立位を獲得していきましょう」
など、“今できることを積み重ねていく”姿勢を強調します。
「治りますか?」という質問は特に難しいですが、親御さんがその質問をする背景には「少しでも希望を持ちたい」という想いがあります。その想いを無下にすることは絶対に避けるべきです。
僕なら「◯歳頃に座位が安定してくると思いますよ」というように、見通しを持てる機能を具体的に伝えることが多いです。
質問2:「週1回通うだけで大丈夫ですよね?家では何をすればいいですか?」
この質問には、できるだけ丁寧に、正直に答えるようにしています。
まず基本的には、数は多いに越したことはないです。実際に「集中リハビリ」にはエビデンスがあり、リハビリの頻度が高いほど効果が高いことが示されています。
ただし、「大丈夫ですよね?」の裏には、
「もっとやりたいけどできない」
「週1回しかできなくて申し訳ない」
といった親御さんの不安や自責の念が隠れていることがあります。そこを汲み取ることも重要です。
だから僕は、
「学校生活や家庭の事情を考慮しながら頻度を決めていきましょう。でも数は多い方が効果的です」
と伝えるようにしています。
「家で何をすればいいですか?」については、その子にとって一番大事なことを一つだけ伝えるようにしています。
例:
握り込みが強い → 感覚入力を意識した遊びを取り入れる
側弯が気になる → こまめな姿勢調整を心がける
ここは完全に「個別性」を大事にしています。
質問3:「遊んでいるだけに見えるんですが、これって意味あるんですか?」
これは「説明不足のサイン」だと思っています。正直、この質問をされると「まだ伝え方が足りなかったな」と反省します。
僕は必ず、遊びの中にどんな狙いがあるかを伝えるようにしています。
例えば:
立っておもちゃで遊んでいる → 実は支持基底面内での小さな重心移動の練習をしている
座って遊んでいる → 体幹の安定や踵をつける感覚を育てている
親御さんにとっては「遊んでいるだけ」に見えても、セラピストとしては「治療的な意味のある遊び」なんです。そこをきっちり説明することで、安心感につながります。
僕なりの基本スタンス
3つの質問を通して、僕が大事にしているのは次のポイントです。
断言はしないけど、曖昧にも終わらせない
希望と現実のバランスをとりながら、次の一歩を示す
「週1で十分」とは言わない
現実的な範囲で、もう少し頻度を上げる工夫を一緒に考える
遊びの意図は必ず説明する
親御さんが納得できる言葉で、治療の狙いを伝える
質問の裏にある気持ちを汲み取る
不安や自責の念を感じ取って応える
まとめ
今回は、保護者からよくある質問3つを例に、僕なりの思考プロセスを紹介しました。
もちろん、これが“正解”というわけではありません。
親御さんのキャラクターやセラピストのスタイル、その時々の状況によって答え方は変わってきます。
大切なのは、親御さんの思いに寄り添いながら、今できることを一緒に積み重ねていく姿勢だと思います。
