3分で覚醒!「千の顔を持つ英雄」【第12回】:帰還の拒絶|インドラの宮殿を飛び出し、堀越二郎の「火」を持って日本を救え
さて、3分で覚醒!「千の顔を持つ英雄」シリーズ。第12回を迎えました。
前回は、迷宮の最深部でついに手にする「究極の恩恵(報酬)」についてお話ししました。
自分の「リミッティングビリーフ(思い込み)」という呪いが、最強の武器へと反転する瞬間。
スーパーマリオが巨大化するように、あなたの魂が覚醒するターンでしたね。
前回の記事:
しかし、物語はここで終わりではありません。むしろ、ここからが「英雄」として生きるための、最も過酷で、最も「人間臭い」葛藤が始まります。
力を持ってしまった者ゆえの葛藤と言っていいかな。
それが今回のテーマ、「帰還の拒絶」です。
今回の神話も結構わかりやすい。いや、わかりやすく解説するので、ぜひお付き合いください。
① インドラの「美しすぎる宮殿」
おっと今日はいきなり神話から行きますよ。
ジョーゼフ・キャンベルは、千の顔を持つ英雄の中で、この帰還の拒絶のシーンをさまざまな神話を紹介することで説明していますが、
僕はインドラが好きなので、その中から、今日はインドラのエピソードで紹介しますね。
インドの神、インドラは、自分の権威を象徴するために、天界にあまりにも美しく、あまりにも完璧な宮殿を造り続けました。
その造形美、至福、完成された宮殿は圧巻の一言。
あのビシュヌ神が、「あなたほど、立派な宮殿を作ったインドラは他にはいません」と唸ったほどのもの。
でも彼はその「自分の作った完璧な世界」に溺れ、神としての本来の仕事——つまり、下界の世界を統治し、生命を循環させること——を完全に忘れてしまったんですね。
そして彼は、自分の聖域に閉じこもりました。
「外の世界なんてどうでもいい。この完璧な美しさの中に、永遠にいたい。」
まあ、それを見たインドラの妻「インドラニ」は夫に愛想をつかすんですけどね(笑)
痛いインドラですよね。でもね、現代社会に溢れてますよ。こういう痛いインドラ。
② 現代社会の痛いインドラたち
スーパーパワーを持った人が下界と距離を置くこのインドラの話。
こういう痛いインドラたちを僕はたくさん見てきました。
1、営業時代の売れる人
僕はありがたいことに住宅営業で売れていました。でも住宅営業って売れない人の方が多いくらい難しいし、事実、一部の売れる人でその営業所は成り立っているなんてことが多々あります。
ある時、僕は先輩からこう言われたんですね。
「倉地さあ、売れてる俺たちはいいよな。売れない連中がいるから俺たちはこうしてたんまり金もらえるんだから。売れない連中に俺らのノウハウなんて教える必要はないぜ。だってそいつらがいるから俺らは楽できるんだからな。」
これ、ほんとに言われたんですよ。
その時、僕の心に、ぼわっ!と炎が舞い上がりました。
「こういう奴にはなりたくない!ダッセー。僕が全部教えてやる!」
こうしてこの時から、僕には売れない人がどんどん送り込まれるようになりました(笑)
2、偉大な心理学を抱き抱えて外に出さない起業家
僕は起業してからとある心理学を学びました。
そこそこ面白い理論で、僕の経営にも役に立ってくれたんですが、それを教える人たちの閉鎖感といったら凄い。
自分たちは偉大な心理学を学んだのだから、教えてなるものか!
わかる人だけにわかれば良い!
目くじら立てて、自分たちのノウハウを守っている。
僕はその人たちに言ったんですね。
「そんなにすごいならマーケの力使って世間に広めたらいいのに。」
って。
そしたら営業の時と同じ言葉が返ってきた。
「そんなことしたら私たちの立場がなくなります!」
これね、典型的な「非英雄の行為」なんです。
千の顔を持つ英雄の中で、キャンベルはこういうことをする非英雄のことを、「悲劇の存在」と呼んでいます。
ムチュクンダ王、プラティエーカ・ブッダ、これでもかと紹介されていますよ。そしてインドラもね。
② 破壊なくして、創造はない
神話は一人の英雄の覚醒によって、それが社会に恩恵としてもたらされた時、大きく世界は変わると言っています。
それをする人こそが英雄だと。
でも、それをすると古い体制や古いノウハウが役に立たなくなったり、市場を壊したりすることがあるんですね。
だから英雄はビビるわけです。
「私がこのスーパーパワーを広めたら、誰かが死んでしまうかもしれない。誰かの働き場所がなくなってしまうかもしれない。」
この葛藤が英雄を苦しめます。
・人力車の時代、車が開発されたらその市場は消えました
・スマホが登場したらガラケーは無くなりました
・液晶テレビがブラウン管をなくしました
そういうこと。
特にとてつもないスーパーパワーを報酬として得た者は、市場を焼け野原にしてしまう力を持っている。
そのまさに典型例が、前回紹介した堀越二郎だと思います。
③ 堀越二郎の葛藤

映画『風立ちぬ』のモデルにもなった飛行機の設計技師、堀越二郎は、「美しい飛行機を作りたい」という純粋な夢を持っていました。
しかし、時代が彼に求めたのは、一機でも多く敵を落とすための「殺人兵器(戦闘機)」の設計です。
彼は、自分のスーパーパワー(設計能力)を、戦争という泥臭く、残酷な現実に投げ込みます。
「美しい夢」を「人殺しの道具」という形にして、世に放った。
一見、それは悪魔の所業に見えるかもしれません。
しかし、彼は「美しい飛行機が作れないなら、俺は作らない!」と聖域に引きこもることをしなかった。インドラにならなかった。
自分が作る戦闘機が、焼け野原を作ることを知りながら、彼は自分の全能を時代の要請に捧げた。
これが、キャンベルの言う英雄の行為。
英雄とは、
「わあ!あれが有名な堀越二郎さん?きゃー!サインくださーい!」
とか言われて、
「まあまあ並んでくれたまえー。はっはっは!」
とふんづりかえることではなく、もっと崇高でもっと残酷で、自分の中の葛藤と付き合いながら、それでも自分のスーパーパワーと世間を融合する者である。
そう、キャンベルは語るわけですね。
映画「風立ちぬ」が発表された時、
「人殺しの道具を作った堀越二郎、ゼロ戦を題材にするなんてけしからん!」
と宮崎監督を批判していた人がいましたが、そういう人に限って、自分がスーパーパワーを持った時、独り占めすることを僕は知っています。
宮崎監督は英雄とは何か?を描きたかっただけだと思いますよ。堀越二郎は神話の英雄そのものですからね。
あとね、もう言っちゃいますよ。
「力」を持たない人の慈悲は、無力です。無責任です。
力を持った者だけが葛藤するんだ。そうじゃない人に、その人の気持ちがわかるわけがない。
燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや
(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)
焼け野原にするのが怖いからと力を使わないのは、一見優しそう見えるけど、実は「現状の地獄(遅れた日本)」を放置する冷酷さでしかありませんよ。
あの時の日本はそれほどひどかった。破壊が起こらないと生まれ変わりはなかった。
そういう時には必ず英雄が存在します。そしてその英雄こそが堀越二郎だったと僕は思います。
④ 破壊なくして、創造はない
ここで、ちょっと僕の話を。僕は最近、webの新しいサービスを日々、寝ずに作ってます。
それはシリコンバレーでは標準で、でも日本ではまだ浸透していない最新のwebの形です。
Next.jsとAIという最新の知能を統合したこのシステムは、正直に言って、恐ろしい力を持つと僕は考えています。
もし僕がこのサービスをローンチしたら、これまでの「WordPressで簡単に作って、保守費用だけもらう」という日本のWeb業界の旧い秩序を、文字通り「焼け野原」にする可能性があるとも思っています。
「そんな力を使っていいのか?」
「多くの同業者の仕事を奪い、市場を混乱させるのではないか?」
そんな恐怖が、僕に「帰還の拒絶」をさせようとします。
「自分たちだけでこの力を使っていればいいじゃないか。それでも十分儲かる。わざわざ外に出て、波風を立てる必要はない。」
しかし、それを考えるたびに、僕の中の炎が、ぼわっ!と舞い上がるのです。
「破壊なくして創造はない!古く、腐敗し、機能しなくなったルールを一度焼き払わなければ、本当の意味で日本のwebは世界から置いていかれる!」
「僕がやらないで誰がやるんだ!」
と。
10年遅れたWebに甘んじ、(最近、シリコンバレーの連中には日本は20年遅れてると実際に言われました。悔しい!)クライアントにただの箱を売りつける…そんなwebでは世界の笑い者のままだ!今の世界のwebは全く違うところを走っているんだぞ!そんな腐った市場は、一度焼け野原になる必要がどうしてもある!
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「それするのわしかい!」
「やるのわしなんかい!」
たびたびの陣内智則登場ですが(笑)
自分の人生、神話、役割を恨みつつ、僕はやりますよ。だってこれまでもそうやってきたから。
どうせ何しなくても、わかってくれる人なんていないんだ。
だったら自分の力を世間と共有して世の中のために働くんだ。
はー、まさか起業してこんな役割が降ってくるとは…。
偉そうなこと言ってますけど、怖いですよ。
堀越さんの気持ちも同じだったのかなあってしみじみと思います。
⑤ まとめ:火を持って日常へ
「火」は村を焼き払うこともできれば、料理を作り、夜を照らすこともできます。
その力を、単なる「市場独占の道具」として使うのか、それとも「日本の起業家の魂を救済し、次の次元へ引き上げるための聖火」として使うのか。
その「意志(SRS:魂の解像度)」こそが、堀越二郎と、単なる兵器商人を分ける境界線です。
おー!かっこいいこと言った!決まったね!
…なんて言うとる場合かい!
僕は、キャンベルが言う、「悲劇の存在」にはどうしてもなれないらしい。
ちなみに、インドラは宮殿を作って調子に乗っていた後どうなったか?宮殿を飛び出し、自分のスーパーパワーを世の中のために使うという決断をしました。
後にインドラの矢(インドラーストラ)と呼ばれるものの誕生です。文字通り、地上を焼き払う力を伴っていますが世界を救う力も併せ持つ。
実はあなたも持ってるんじゃないですか?
抱き抱えているだけで。
その力を解放すれば、世間が、日本が、世界が変われる凄いものを。
もし持っているなら使わないと!
抱き抱えているとキャンベルいわく、「悲劇の存在」になるだけですよ。
葛藤がある?大丈夫。僕と話しましょう。どうせ、わかってくれる人なんていないんだから。でも僕なら多少わかりますから。
この際、とち狂って一緒に神話の旅に出ようではありませんか!
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おー!なんという無責任な終わり方!
ということで以上です。
次回、第13回は、
『魔法の飛行:追っ手を振り切り、日常へ駆け抜ける脱出劇』
聖域から戻ろうとする英雄に、さらなる試練が襲いかかります。
お楽しみに。
