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ゴルフがくれた縁   第2話         「車の窓越し」     

エミさんは、俺とは普段なら接点のない人だった。

俺は職人。

エミさんは都内で働く会社員。

詳しく言うと違うのかもしれないけど、少なくとも俺の周りにはあまりいないタイプの人だった。

だから最初は不思議な感じだった。

そんな二人が、一緒にゴルフへ行くようになった。

話も合った。

気も合った。

そして何より、エミさんといる時はなんとなく気分が軽かった。

そんなある日、俺はコロナにかかってしまった。

今みたいに普通の風邪という感じではなかった頃だ。

最初の何日かは高熱が続いて、本当に苦しかった。

エミさんも心配してくれた。

数日経って熱は下がった。

体調も少しずつ良くなってきた。

でも当時は、熱が下がったから終わりじゃなかった。

10日くらいは外に出られない。

人にも会えない。

元気になってきたのに普通の生活に戻れない。

そんなストレスとモヤモヤがあった。

そんな時だった。

エミさんが、

「家の近くまで行くよ」

と言った。

俺は、

「まだダメだよ」

と言った。

するとエミさんは、

「車の窓越しに渡したいものがあるだけだから」

と言った。

それだけのために来るの?

そう聞いたら、

「暇だから(笑)」

と笑っていた。

結局、何をもらったのかは覚えていない。

でも来てくれたことは覚えている。

たぶん俺が嬉しかったのは、物じゃなかったんだと思う。

あの頃はみんな人との距離を取っていた。

会いたくても会えなかった。

そんな時に、わざわざ顔を見に来てくれた。

ただそれだけのことだった。

でも俺には、その「ただそれだけ」が嬉しかった。


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