ゴルフがくれた縁 第3話 「心地いい人」
気がつけば、俺はエミさんに惹かれていた。
もちろん優しい人だった。
でも、それだけじゃない。
優しさが自然だった。
そこが今まで会った人と少し違った。
エミさんは見た目だけなら小柄で可愛らしい。
でも性格はどちらかと言うと男っぽい。
姉御肌というか、
「姉さん!」
と呼びたくなるようなところがあった。
サバサバしているし、行動力もある。
でも同時に女性らしい気遣いもしっかりできる。
不思議な人だった。
そして何よりすごいと思ったのは、
相手に合わせるのが本当に上手なことだった。
無理をしている感じじゃない。
自然にできてしまう。
俺は昔から、
ストレスを抱えやすい。
考えすぎる。
眠れない。
不安になる。
若い頃からずっとそんな感じだった。
エミさんはそんな俺を理解してくれていた。
だからといって、
「大丈夫?」
と何度も聞くわけでもない。
無理に励ますわけでもない。
変に気を遣うわけでもない。
ただ自然に接してくれる。
近すぎず、
遠すぎず。
放っておかれているわけでもない。
でも干渉されているわけでもない。
その距離感が本当に絶妙だった。
今思うと、
俺はその優しさに救われていたのかもしれない。
それとエミさんといると、とにかく頭が軽かった。
たぶん余計なことを考えなくて済んだからだと思う。
普段なら頭の中にあるストレスや不安、仕事のことや将来のこと。
そんなマイナスな考えが、エミさんといる時だけは不思議なくらい消えていた。
とにかく楽だった。
でも、エミさんに惹かれた理由はそれだけじゃない。
エミさんと一緒にいると、何もかもが新鮮だった。
気は合ったけど、俺たちはたぶん全然違う環境で育ってきた。
仕事も違う。
育った場所も違う。
考え方も違う。
俺が見てきた世界と、エミさんが見てきた世界はきっと違ったと思う。
だからこそ、エミさんの話を聞くのが楽しかった。
知らない世界を教えてもらっているような感覚だった。
例えば、エミさんが普段行くお店。
買い物に行っても、食事に行っても、俺ならまず選ばないような場所ばかりだった。
でも、それが面白かった。
「こんな世界もあるんだな」
そんな発見の連続だった。
エミさんと過ごす時間は、気持ちが楽になるだけじゃなく、俺にとって新しい世界を見る時間でもあった。
そして少しずつ、エミさんといる時間が心地よくなっていった。
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