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いじめ対応は初動が命【教育シリーズ⑨】

前回記事をまだ見ていない方は、
先にこちらからお読みいただくことを
お勧めします↓

はじめに

前回記事の中でも書きましたが、

集団のなかで、
ある人の尊厳と安全が、

力関係や集団の圧力に
よって見えないうちに
削られていくこと。

私は、それが
いじめの本質
だと思っています。


そして、
第三者委員会で関わった
様々ないじめ案件を通して、

いじめ問題は初動が命

だと感じるようになりました。
シリーズ最後となる今回は、

私が考える
学校での初動のポイント
をまとめていきたいと思います。


まずは有名な以下の画像から。

ハインリッヒの法則

これは1つの重大事故の背後には
29の軽微な事故があり,

その背景には300のヒヤリハットが
存在するという労働災害領域の法則です。

(※もちろん人間関係は単純な法則だけでは
語れませんが、初動の重要性を考える
一つの比喩として参考になります。)

いじめ問題をこの法則で捉える時、
初動はこの「ヒヤリハット」の
時点 でいじめの芽に気付き対処していく、
ということになります。

この300件のヒヤリハット、
学校現場では毎日のように
生じています。

友人同士のちょっとだけ
行き過ぎた「からかい」、
何気ない「煽り」。

咄嗟に出る反応語としての
「ウザい」「キショい」
「キモい」などのことば。

気持ちのすれ違いや、
言葉のボタンの掛け違い
から生じる齟齬。

こうした言動から湧きおこる
水面下の気持ちの摩擦に、
どれだけアンテナを張れるか。

しかし、学校現場では、

並行して行わなければならない
作業に常に追われるのが
当たり前の状況です。

どんなに優れた教師であっても
300件すべてを未然にキャッチ
するのは極めて困難です。

そこで、次に重要になるのが
29件の軽微なトラブル対応
になります。

そして実質的には、
この段階でどう歯止めを
かけるかが
初動の最終防衛ライン
と言っても良いと感じています。

この段階では
すでにトラブルが生じているので、
子どもから直接事情を窺っていく
ことになります。

しかし、
「話をすると相手に知られて、
より嫌なことをされるのではないか」

など、

脳がまだ
「危険が終わっていない」
と感じて警戒している
場合もあります。

その状態で
矢継ぎ早に質問したり、
話を遮ったり、
沈黙を急かしたりすると

子ども側が意図せず
「正しい答え」
を作ろうとしてしまうこともあります。

結果として、
より混乱が増したり、
虚偽が入りやすいなどの

事態を複雑化させる
話の聞き方

になってしまう可能性があります。

落ち着いた場所でしっかりと
「ここは安全な場所だから大丈夫」

と伝えつつ、

「まずは話せる範囲で大丈夫だよ」
「休みたくなったら言ってね」
「今は答えづらかったら、後からでも良いよ」

などの選択可能性を残しながら
聞いていくことが、

心理的な安全配慮として
大切だと思います。

お子さんによっては、
「大丈夫」

「相手とはもう仲直りした」
などの発言をする場合もありますが、

その言葉を直接鵜呑みにしない
のがベターです。

これは
子どもの言葉を疑うという意味ではなく、
その時点ではまだ安心して
本音を話せないこともあるためです。

そのため、
「何かあったらまた先生に言ってね」

と伝えても、自分から
再度相談してくるとは限りません。

もちろん
それはそうだと思いながら、
担任の先生1人で抱え込まず
「学年会」

「学校いじめ対策組織」
にて情報を共有していきます。

また、
この時点で推測や感想を含めない
事実(人の発言や出来事の経緯など)を
正確に記録しておきます。

仮に重大事態となって
調査委員会が立ち上がる場合、
多くは学校側の初動対応の遅れが
指摘されます。

例えば中学校1年生の場合で、
小学校からの申し送りに
何も記載されていないのを理由に
様子見の判断をして、
結果的に重大事態に発展した場合、

後日そこを指摘される可能性があります。

違和感があった時点で小学校に確認の
電話を入れ、その旨しっかり記録に
残しておくなどの対応が色んな意味で
効果的です。


前回記事で見た通り、
いじめ防止対策推進法が
成立して10年以上が経っているのに、
いじめ件数や重大事態件数は
全く減っていません。
それどころか増えています。

そして
「いじめ問題は社会の縮図」
と言われている通り、
学校現場の個々の努力だけで
解決できるものではありません。

そこで、
新しいアプローチを検討する場として、
2023年に一つの会が立ち上がりました。

それが、
子どもいじめ防止学会
です。

私は非会員なのでHP上の情報しか
持ち合わせていませんが、

全国の学校で頑張っている先生、行政、法曹、医療、研究者など、いじめの予防・防止や、被害に遭った子どもの支援・指導に取り組んでいる方々

一般社団法人子どもいじめ防止学会HPより

だけではなく、

一般の方々保護者など、「いじめをなくすために協力したい」と考えるすべての方々に広く意見を求め、その力を結集することを目指していきます。

一般社団法人子どもいじめ防止学会HPより

とする学術団体とのこと。

いじめ問題に真剣に取り組む
大人が一人でも多く結集し、
全員の集合知をもって子どもの
メンタルヘルス向上に取り組んで
いけると良いですね。

ちょうど第2回の学術大会が
2026年7月に開催されるそうなので、
資料も掲載しておきます。

関心のある方は、
こうした場で議論されている内容も
参考になるかもしれません。

※本記事は子どもいじめ防止学会事務局に
事前に校正を受け、承諾を得ています。


最後に

ここまで全3回のいじめシリーズを
お読みくださり、
ありがとうございました。

非常にデリケートな問題なので、
どう言葉にしたら良いか
とても悩みながら記事をまとめてきました。

いじめ問題に簡単な正解はありませんが、
それでも目の前の違和感を見過ごさない
よう、私も取り組んでいきたいと考えています。

次の記事はこちら↓


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