【ショートショート】私の居場所
私の名前はリン。
家庭の事情で親元を離れ、私だけがこの家に越してきた。不安しかなかった。なんで私だけが、と何度も思った。
幸い、歳の近いサキとはすぐに打ち解けた。
私がまだ環境に馴染めず、不安で眠れなかった時、サキは自分の部屋に私を招き入れてくれた。ベッドで一緒に寝てくれることも多かった。
ケンは私より年下の男の子だ。サキを取られたと思ったのか、いつも私に八つ当たりしてくる。
取っ組み合いのケンカをしたこともあった。
最近は、年齢も体格も大きい私が我慢することにしている。
お母さんは優しいけど、怒ると一番怖い。
お父さんは初めから私にも、サキやケンと同じように接してくれた。
ここに来るまでは、家の中で過ごすことが多かった。今は、晴れた日に外に出て、街を探検するのが楽しみだ。風の匂いを感じて、太陽の光を全身に浴びながらリフレッシュする。
私がひとりで出歩こうとすると、お母さんは心配する。だからいつもサキと一緒だった。時々はケンもついてきた。
前の家では、あまり食事に気を使うことはなかった。でも今はお母さんが栄養にも気を遣ってくれる。
お父さんが休みの日には、よくドライブに連れて行ってもらった。
来たばかりの頃は不安だったけど、今なら自信を持って言える。
ここは私の居場所。
今日もお母さんは、美味しくて栄養のあるご飯を用意してくれた。
「リンちゃん、ケン、ご飯よ。」
そう言ってお母さんはドッグフードをお皿に盛り付けた。
読んでくださってありがとうございます。
修理屋と喫茶店を舞台にした小説も書いています。少し長いですが、こちらも読んでもらえたらうれしいです。
「修理屋は喫茶店の片隅で。」
