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点滴で張り合う親子

点滴を何本もする場合は、
腕に針は差しっぱなしになる。

今回も差しっぱなしの予定が、
ちょうど手の稼働するところに
針が当たってしまった。


手を動かすと、皮膚が盛り上がり、
針が浮き上がるような感じに。

「うわぁぁ、なんか怖い。突き破りそう」


点滴を3本打ってから、針を移動。
また新たに針を刺すことに💦



しかし、残念なことに2回目の場所も
筋肉が動くところだったせいか、
点滴が漏れていたようで腫れている、と。



退院当日、もう1回針を刺すハメに…
今回は運が悪かった。


点滴や採血をするときに、父とした話を思いだす。

肝臓がんだった父。
父も、点滴や採血はたくさんやってきた。


私も、さまざまな病気をしたせいで
健康診断の代わりになるんじゃないか
と、いうくらい採血をしていた。



「また採血あったよ」

『回数は俺の勝ちだな』
謎に張り合う父。


「あれさ、上手い人と下手な人いるよね」
と、私の言葉を皮切りに


「採血なら…」
『ベテランだよな!』
と、意見が一致して、笑い合う。



母も、弟も
頭の上に「?」が4つくらい並んだ
顔をしている。

そりゃ、そうだ。
採血の「上手い」「下手」なんて普通は考えない。



『ベテランなら1発だよなー』
と、父がいうと



「そうそう!」
「採血で呼ばれるときさ、ベテランに
 当たりますようにっていつも、祈る」
と、応える娘。


『入院中とか、下手な人だと
 針入れてからほじくるんだよなー』

謎の盛り上がりをする親子。


「でもさ、どんなベテランでも
 昔は新人だったから仕方ないよね」

『それもわかる。でも俺は回数が多いからな。
 頼むー!俺じゃない時に当たってくれ
 って、いつも思う』



確かに。



数が多ければ、出来れば針を刺してから
血管を探したり、ほじくる人には当たりたくない。


___________今回の入院。


3回目の点滴針を刺すとき。
父の『頼むー』が、頭の中に蘇ってきた。


血管が見つかりにくくなったのか
昔より、スッと刺されることが減った気がする。


「はい、ちょっとチクッとしますよ」


(………)

目を瞑って、身構えた私。


チクッ


(おぉ!ラストの人が1番上手い!)



最後の点滴を終え、無事退院。



点滴や採血の話で盛り上がった父は
もう他界しているけれど、


『ろくねこ、やったなー』


と、言われている気がした。



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