バリアフリー対応型信号機とは?
内閣府が毎年発行している「交通安全白書」によると、日本全国に設置されている交通信号機の総数は2019年が設置数 (基) のピークとなっており、その後はいくつかの施策を除いて減少傾向にある。2025年現在も伸びている施策のうちの一つが「バリアフリー対応型信号機」である。ただし、言葉からその内容を正確に理解できないのではないだろうか。この記事では中身とその効果を解説する。
バリアフリー対応型信号機の定義と機能
「バリアフリー対応型」信号機と聞いて、読者の皆様はどういうものを想像するだろうか。「横断歩道と歩道の間の段差をなくしたのかな?」とか「横断歩道に点字ブロックをプリントしたのかな?」等、色々なものを想像するかもしれない。
実は、バリアフリー対応型信号機は、高齢者、身体障害者等による道路の横断の安全を確保するための機能を付加した信号機、つまり「バリアフリー法の基準に適合した信号機」という意味である。
具体的には、音響機能、歩行者用青時間延長機能、または経過時間表示機能を付加したもの、あるいは歩車分離方式のものとすること、とされている。
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それぞれの機能の内容は以下の通り。
歩行者感応式信号機 (歩行者用感知器)
高齢者等、歩くのが遅い人が横断歩道を渡っていたときに、青信号を自動で延長する信号機。精度のよい歩行者用感知器 (カメラ等の画像探知器やミリ波レーダー) で横断歩道上の歩行者の動きを感知し、時間内に渡りきれない恐れがあった場合、自動的に青信号を5~15秒間、延長する。2010年に全国で初めて、警視庁が東京都台東区と千代田区の2カ所の交差点に試験導入した。
試験結果が良好であったため、2011年以降全国的に本格的な導入が進められている。


「歩行者支援信号」という名前で展開されている
高齢者等感応式信号機 (青延長用押ボタン式信号機)

歩行者用青時間延長機能を持つ信号機のことで、「体の不自由な方」「青延長用」等と書かれた白箱の押しボタンが付いている。このボタンを機能させると、歩行者青信号の時間が延長される。


高齢者等感応式信号機 は「携帯用発信機」を使用することで遠隔操作が可能となっている。携帯用発信器は身体障害者福祉法に定められている「日用生活用具」に指定されており、各区・市町村より「歩行時間延長信号機用小型送信機」「シグナルエイド」などの名称で給付などが行われる場合がある。

新型では押しボタンからタッチ式スイッチになった。尚、このボタンを押しても赤信号の歩行者用信号が青に変わるわけではない。
(視覚障害者用)音響用押ボタン式信号機

後述の音響式信号機の一種だが、「目の不自由な方」「音響用」等と書かれた白箱の押しボタンを押すことで誘導音が鳴動する。音響用押ボタンは、周辺への音響の影響を考慮して設置している。

新型では押しボタンからタッチ式スイッチになった。尚、このボタンを押しても赤信号の歩行者用信号が青に変わるわけではない。

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これらの2つの機能を併せ持ったタッチ式スイッチも設置されている場合がある。また、健常者用の黄色い押しボタン (赤信号の歩行者用信号を青に変える)が併設されているスイッチやボタンもある。
ちなみに、白い押しボタン箱からは「ピピッ、ピピッ」と一定間隔のビープ音が流れ続けている。






(視覚障害者用)音響式信号機
音響式信号機は、目の不自由な方が安全に横断できるように、「視覚障害者用付加装置」または「音響式歩行者誘導付加装置」のある信号機のこと。1955年 (昭和30) 9月に東京都杉並区の視覚 障害者施設付近の交差点に、ベルの鳴動により赤信号と 青信号を判別できる信号機が設置されたのが始まり。昔は「盲人用信号機」と呼ばれていたが、「盲人」という言葉が差別用語に当たるために名称が変更となった。
視覚障害者用付加装置
歩行者用信号が青のタイミングで横断歩道の両端から音響(「ピヨピヨ」「カッコー」などの擬音)を鳴動させ、誘導を行う。昔はメロディ式 (「とおりゃんせ」や「故郷の空」)も使われていたが、2003年以降は擬音式、かつ「異種鳴き交わし方式」が有効とのことで方式が統一されつつある。
音響式歩行者誘導付加装置
歩行者用信号機が青信号になった時「信号が青になりました」と音声が鳴る。

経過時間表示機能付き歩行者灯器
信号機の表示面に、青になるまでの待ち時間や青が点滅するまでの残り時間を表示することで、歩行者が安全に横断できる時間を見通せるようにするもの。
歩行者支援装置(高度化PICS)
高度化PICSとは、通信装置(BLE路側機)を付加した信号機とスマートフォンをBluetooth通信で連動させ、歩行者信号の状態をスマートフォンに送信するものである。一部の信号機では、スマートフォンの長押しにより、押しボタン操作、歩行者用信号の青信号の延長、音響式信号機の音を鳴らすことができる。

歩車分離式信号
歩行者等と自動車等の交錯が全く生じない信号表示、または歩行者等と自動車等の交錯が少ない信号表示による信号制御のこと。「スクランブル方式」「歩行者専用現示方式」「右左折車両分離方式」「右折車両分離方式」のいずれかの方式のことを指す。
詳しくは以下の記事を参照されたい。
根拠となる法律
2006年 (平成18) に施行された通称「バリアフリー法」と呼ばれる「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」および、その前身である2000年 (平成12) 11月に施行された通称「交通バリアフリー法」と呼ばれる「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」に従って都道府県公安委員会が「交通安全特定事業」を作成し、これに基づき実施するものである。
この法律の施行後に、都道府県公安委員会が基本構想に位置づけられた交通安全特定事業により信号機を設置する際には、バリアフリー対応型信号機の基準に適合することが義務付けられている。
全国の設置数
警察庁が毎年公開している。「都道府県別交通信号機等ストック数」でバリアフリー対応型信号機の基数が公開されている。
2002年 (平成14)には約1.1万基だった設置数は、2025年 (令和7) 3月末時点で4.5万基、すべての交通信号機のうちの約22%がバリアフリー対応型となっている。
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