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【アマノ文筆クラブ】去る者は追わず|エッセイ
私は、去る者を追わない。
追ったこともあるけれど。
追いかけた先で得られるのが、理解ではなく傷なら、
その手はもう離していいと、心が教えてくれるから。
人はときどき、棍棒外交みたいに、
「正しさ」を武器にして他人の心へ土足で踏み込んでくる。
あれは忠告ではなく、支配の確認。
優しさの皮をかぶった、自己顕示の衝動。
私は、それに屈しない。
けれど、そんな一撃を受ければ、
胸の奥に小さな棘が刺さる。
抜こうとすると痛くて、
そのままにしても疼いて、
どうすればいいのか分からなくなる瞬間だってある。
でも、ガイア理論のように、
心もまた、ひとつの小さな世界だと思う。
風が吹き、雨が降り、嵐が過ぎれば光が戻るように、
私の内側も循環していく。
痛みを受けた場所から、
やさしさが芽を出す日もある。
だから私は、無理に笑わない。
無理に強がらない。
棘が刺さったなら、
刺さったまま、少しだけ心に寄り添う。
やがて自然に抜ける日が来ると知っているから。
去る者は去る。
追わないことで、
私の世界には、必要な人だけが残る。
そこには温度があって、
まっすぐな言葉があって、
私を尊重する眼差しがある。
私は、私の世界を大切にする。
静かで、美しくて、時々あったかい涙が流れるような、
そんな場所を守りながら生きていく。
了

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