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【毎週ショートショートnote】急性カーテンコール中毒|スケジュール.幼稚園.チャラ男|ショートショート

――カーテンが閉まる音が、世界の終わりみたいに聞こえた。

王立幼稚園の園庭に建つ、小さな野外舞台。
チャラ男の吟遊詩人・リオは、今日も子どもたちの前で歌っていた。
朝露の残る草の香り、カラフルなスケジュール札が風に揺れ、どこかに天使の笑い声がまざる。

歌い終えた瞬間――ぱちぱち、と小さな拍手。
リオは深く一礼した。
けれど、その瞬間、胸の奥で何かがはじけた。

「……あぁ、もう一度。もう一度だけ、拍手が聞きたい」

それが、はじまりだった。

彼は夜になっても舞台に立ち続けた。
観客はいない。
けれど月が彼の観客となり、星がライトのように瞬いた。

「アンコール! アンコール!」
風が彼の声を真似して叫ぶ。

誰もいない舞台。
けれどリオはやめられなかった。

――それが“急性カーテンコール中毒”。
魂がステージと結ばれて、現世に戻れなくなる呪い。

翌朝、園児たちは言った。
「リオお兄ちゃん、星になっちゃったんだね」

その夜、静かな園庭に、ブーツの音がひとつ。
月明かりの下、微笑むリオがもう一度だけ、歌い出した。

“ありがとう。みんなのおかげで、最後のカーテンが下りたよ。”



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