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【3つのお題に空想のひらめきを第57回】月を拾った子ども.虹のかかる峠.雨を呼ぶ小鳥|ショートショート


タイトル:虹のかかる峠

むかしむかし、山あいの村に、働き者の少年がおりました。

少年は毎日、畑を耕し、本を読み、静かに暮らしていました。

村の人は、その暮らしぶりを見て「晴耕雨読とは、あの子のためにある言葉じゃな」と話していました。

ある夏の日。

少年が峠へ薪を取りに行くと、大雨が降り出します。

すると、一羽の雨を呼ぶ小鳥が空をくるくると飛び回り、山全体を優しく潤しました。

雨が止むと、不思議なことに峠いっぱいへ大きな虹のかかる峠が現れます。

虹のふもとには、丸く光るものが落ちていました。

「これは……月じゃ。」

少年がそっと抱き上げると、それは夜空からこぼれ落ちた、小さな月を拾った子どもだけが持てる宝でした。

その夜、空には月がありません。

村人たちは困り果てます。

けれど少年は、宝物を手放すことをためらいませんでした。

虹の峠へ戻ると、小鳥が羽を広げます。

月はふわりと空へ舞い上がり、元の場所へ帰っていきました。

満月の光は村中を照らし、稲も野菜も金色に輝きます。

神様はその姿を見て、こう言いました。

「欲しいものを手放せる者には、もっと大きな実りを授けよう。」

それからというもの、その村では豊かな実りが絶えることはなく、雨を呼ぶ小鳥と虹のかかる峠は、幸せを運ぶ場所として、今も語り継がれているそうな。


おしまい


*下記企画に参加させて頂きました*


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