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【風まかせ文芸部】黄金の記憶|エッセイ


タイトル:黄金の記憶の手触り

黄金の記憶、と呼びたくなる瞬間がある。

特別な出来事だったわけでもないのに、
なぜか色だけが強く残っている時間。

夕方の光や、
誰かと交わした短い会話や、
何気なく笑った場面。

思い出そうとすると、
細かいことは曖昧なのに、
全体のやわらかい輝きだけははっきりしている。

それはきっと、
そのときの自分が感じていた温度や、
安心や、ささやかな喜びが、
そのまま残っているからなのだと思う。

すべてを覚えているわけではない。

むしろ、ほとんどはこぼれている。

それでも、
残ったものがやさしく光っているなら、
それで十分なのかもしれない。

黄金の記憶は、
特別な日だけにあるものではない。

ふとした日常の中に、
静かに紛れている。

見つけようとしなくても、
あとから振り返ったときに、
そっと光る。

それは、
時間が少しだけやさしくなった証のようなもの。

これからも、
気づかないうちに増えていくのだろう。

そのひとつひとつを、
無理に掴まなくてもいい。

ただ、心のどこかで、
やわらかく灯っていればいいと思う。



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