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micho
【青ブラ文学部】指差呼称|ショートショート
タイトル:『星を動かすオルゴール』
世界の始まりは、一つの音色だったと言われている。
天の図書館で星を管理する見習いの少女ルナは、毎朝欠かさず仕事をしていた。
「北の星座、位置よし。」
「流星の通り道、よし。」
「夜空の明るさ、よし。」
一本の指を空へ伸ばし、指差呼称をすると、星々は安心したように瞬いた。
その日の最後の仕事は、銀色のオルゴールを巻くこと。
静かな旋律が流れ始めると、惑星は回り、季節は巡り、命が息づく。
ところが、ある朝。
ルナはうっかり寝坊し、オルゴールを巻き忘れてしまった。
世界は静まり返る。
風も止まり、星も動かない。
「大変!」
慌ててゼンマイを巻いた瞬間。
オルゴールは今まで聞いたことのない大音響を響かせた。
ドンッ!!
光がはじけ、色が生まれ、無数の星が一斉に飛び散る。
まるで新しいビックバンだった。
世界は少しだけ広くなり、誰も知らない星座が夜空に増えていた。
館長は苦笑いしながら言う。
「失敗にも意味がある。宇宙は、ときどき予定外の音色で美しくなるんだ。」
その日からルナは、毎朝変わらず指差呼称を続けた。
「今日の宇宙、よし!」
すると夜空のどこかで、オルゴールは今日も優しく歌い始めるのだった。
了

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