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nikudama
【毎週ショートショートnote】ソーセージ座流星群|ショートショート
タイトル:真っ黒コインとソーセージ座流星群
その夜、空には“ソーセージ座流星群”が出ていた。
細長い流星が、
じゅう、と音を立てながら空を横切る。
子どもたちは笑い、
屋台ではパンに挟まれた流星味ソーセージが売られていた。
年に一度のお祭り。
でも、本当の目的は別にある。
流星群の夜だけ、
古いゲームセンターの裏口が開くのだ。
私は真っ黒なコインを握りしめていた。
海賊コイン。
昔、空飛ぶ海賊船で使われていた通貨だと言われている。
それを持っている者だけが、
“裏ゲーセン”へ入れる。
薄暗い店内には、
誰も見たことのない筐体が並んでいた。
光るレバー。
古いブラウン管。
潮の匂い。
奥では、片目の海賊がクレーンゲームをしている。
「取れねぇな」
低い声で笑った。
景品は、瓶詰めの星だった。
「初めてか?」
海賊がこちらを見る。
黒いコート。
金歯。
でも目だけは妙に優しい。
私はうなずく。
「欲しいもんはあるか?」
そう聞かれて、
少し考える。
ゲームセンターには、
願いを景品に変える機械があるらしい。
失くした思い出。
もう一度会いたい人。
叶わなかった夢。
でも、どれも簡単には取れない。
「……分かんない」
そう答えると、
海賊は笑った。
「それでいい」
外では、
ソーセージ座流星群が流れている。
真っ黒な夜空に、
無数の光。
海賊はコインを弾いた。
カラン、と音が響く。
「旅ってのはな」
彼は画面を見たまま言う。
「欲しいもんを探す途中が、一番面白ぇんだよ」
その瞬間、
クレーンが動く。
瓶詰めの星が、
ゆっくり持ち上がった。
ゲームセンターのネオンが、
真っ黒な夜を少しだけ照らしていた。
了

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