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【風まかせ文芸部】雨|エッセイ


タイトル:雨の日の輪郭

雨は、不思議だ。

晴れの日には見えなかったものを、
少しだけ見せてくる。

窓につく水滴。
傘を持つ手。
濡れたアスファルト。

いつも通る道なのに、
少し違う場所みたいになる。

雨の日は、音も変わる。

車の音。
足音。
遠くの話し声。

全部、少し丸くなる。

世界に薄い布が一枚かかったみたいに。

昔は雨が苦手だった。

予定が変わるし、
靴は濡れるし、
空も暗い。

なんとなく損した気分になる。

でも最近は、
雨の日にしかできない過ごし方がある気がしている。

急がないこと。

遠くへ行かないこと。

少し考えごとをすること。

雨は、立ち止まる理由をくれる。

晴れていると、
なんとなく動かなきゃいけない気がする。

でも雨の日は、
空のほうが先に立ち止まっている。

だから、人も少し休んでいい。

雨が降る。

洗い流すというより、
輪郭を少しやわらかくするみたいに。

はっきりしない日も、
悪くない。

そう思えるようになったのは、
たぶん少しだけ、
季節の歩き方を覚えたからだ。



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