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【青ブラ文学部】ホトケノザ|エッセイ


タイトル:春の七草と、やさしい記憶

ホトケノザ、という名前を聞くと、
子どものころの自分は、なぜか少しだけ身構えていた。

春の七草。
せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。

言葉としては知っていても、
正直なところ、七草粥はあまり好きではなかった。

味が薄くて、どこか物足りない。
お正月のごちそうのあとに出てくるその一杯は、
子どもには少しだけ地味に思えた。

それでも母は、毎年当たり前のように作っていた。

湯気の立つ台所、
刻まれる七草の音、
静かに整えられていく一月の朝。

今になって思う。

あれは、ただの食事じゃなかったんだと。

疲れた胃を休めるためとか、
無病息災を願うとか、
そういう意味もあったのだろうけれど。

それ以上に、
季節を整える時間だったのかもしれない。

今、ふとした瞬間に思い出す。

あの七草粥の、やさしい味。

もう同じものは食べられないけれど、
記憶の中では、あの湯気も、音も、ぬくもりも、
ちゃんと残っている。

子どものころは分からなかったものが、
時間をかけて、少しずつ染みてくる。

春の七草は、
そんなふうに思い出と一緒に、
今も静かに息をしている。


お粥


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